第10話 語学学校生活

文字数 924文字

 語学学校は違う国の人たちとも触れ合う。

 グループワーク中、舌ピアスをつけているスペイン人と関係ない映画の話をしていて、ピアスを何個も顔につけている短髪のスイス人女性に怒られたりした。
 見た目怖いのに、真面目なスイス人。国民性か?
 スペイン人は怒られてもペロっと舌を見せるだけ…国民性か?
 そして気にする日本人…国民性です。

 違う国の人と接するのも楽しかった。スイス人は多国語を使うので、フランス語も使えないと困る…死活問題だったのだろう。反省しています。ごめんなさい。

 午前中は必須授業で、午後からは選択科目だ。選択科目は中級者以上じゃないとサッパリわからない。私も参加してみたが、無駄に心を無にする修行と化していたので、街に出ることにした。

 街に出る方がまだ人と会話する機会があるので、フランス語習得に役立つ。

 そこでお気に入りの店があった。旧市街地にあったジェラート屋さんだ。
 ニースのジェラート屋さんはイタリアに近いだけあって、本当に美味しかった。私のお気に入りのフレーバーがショコラオランジュというチョコレートアイスにオレンジピールが混ぜられた(多分、それ以外にも色々入っているとは思うけど)味だった。
 濃厚な甘さがオレンジによって爽やかな後口になって、暑くても全然、食べれる。

 そのアイスを知ってから、私はほぼ毎日通っていたのだが、ある日、初日で妙に惹かれていた恭子さんに会った。恭子さんはバニラアイスを買っていた。
(ははーん。私の勝ちだな)と勝手に勝負をしていた。
「私、食べること大好きだから、ここのアイス美味しいって聞いて」とめちゃくちゃエレガントな外見からは想像つかないことを言った。
「え? 私も食べるの好きです。これ、ぜひ食べてみてください」と半ば強引に味見させた。
「あー、美味しい」と言って、私にもバニラをくれたのだが、私の完全勝利だった。
 その時の恭子さんの顔がちょっと幼くて、可愛く見えた。大人の女性だと思っていたのに、(まぁ、私もいい大人な年だったけれど)親しみやすさを覚えた。

 その後、恭子さんもショコラオランジュを求めて店に通ったらしい。

 夏のニースはいつも太陽の光が燦々としていて、空気が乾燥していて、明るかった。













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