第63話 フランスの食材

文字数 1,805文字

 フランスの食材について。
 駅の近くに野菜屋さんがあって、そこで卵が売っているので、そこで卵を買う。本当は早く起きて、朝市とか行けばフレッシュで美味しいものが得られるのだろうけれど、私は出ていくのが億劫なタイプなので、出たついでに買い物していたから、必然的にスーパーか店舗になる。

 なぜ野菜屋さんの卵かというと、スーパーよりも断然美味しいからだ。たまにハズレの時もあるが、スーパーよりも美味しい卵だ。売り切れてるとしょんぼりしてしまう。

 なぜなら卵は私の朝ごはん、目玉焼きに白ごはんという貴重なタンパク源だったからだ。素材の味を最大限に活かした料理…。目玉焼きを毎日食べるのだから、卵のスペックに私の朝ごはんの出来が決められる。卵が美味しければ、ご飯がお菓子用(ライスプディング用)であっても、そこに少しお醤油を足すだけでご馳走になる。
 私はアルミの手鍋でご飯を炊き、手鍋についたご飯は水を入れて、お粥にして綺麗にして最後までいただく。なんというかZEN(フランス人が大好きな言葉ZEN)ライフを送っていた。

 せっかくフランスに行ったのにクロワッサンとかバゲットとか食べないの? と思われるが、たとえ空気が乾いているフランスであっても雨が降ればパンは湿気てしまう。パンを食べるのは天気と相談だった。
(朝にパン屋に行くのが面倒だと言うのが一番の理由だが)だから天気のいい日にしかパン屋には行かなかった。それに費用コストが断然、前にも書いたけれど、お米なのだ。なるべく長くフランスにいたいので、パンをあまり食べずに米を食べていた。

 今でこそ、料理がなんとなくできるけれど、当時はあまりできなかった。できないのでレパートリーも少ない。そんな私が愛した野菜は玉ねぎだった。日本の玉ねぎは本当に甘くて、美味しい。肉じゃが、親子丼、牛丼の中の玉ねぎはメイバイブレーターである。そんなタマネギはフランスでもさぞおいしかろう…と思ったが、何度買っても、日本の玉ねぎのような可愛らしい味わいがない。

「おかしいな? 玉ねぎは味のオアシスなのに…なんか、嫌な主張してくるな」と首を傾げる。どの料理に入れても、控えめに可愛らしい味わいを見せていた玉ねぎが…突如、嫌味な味わいを口に展開してくる。

 そして日本では人参が別に嫌いではないが、特有の臭みみたいなものを感じて、そんなに好んで食べなかった。フランスにはキャロットラペと言うオールニンジンというサラダがある。正直、私は苦手だった。食べれるが、食べようと思ったことはない。ところが…、フランスの人参はめちゃくちゃ甘いのだ。驚いた。臭みはなく、甘さが広がる。なるほど、だからあのサラダが存在するのか! と思った。私はフランスでは人参派になった。甘くて美味しい。

 後、牛乳について、どう扱っていいのか分からない。スーパーでは常温タイプのものが売られている。多くのフランス人はこちらを買っていくようだった。
 もちろん冷蔵スペースにもレ・フレと言うものがあるが、日持ちがしない上に高い。一人でそんなに牛乳を飲むことはないので、たまに買うが、いつも残ってしまった。常温タイプのも大きなボトルだったので、これもまた扱いに困る。
 なので、牛乳は滅多に買わなかった。

 水は石灰が多いから、結石とかできる人が多いからぜひブリタを使いなさい、とパリ在住者から教えられて、置き型の浄水器を使っていた。かなり余裕のある方はミネラルウォーターで顔を洗っていると聞いたが…。髪もパサパサになるらしい。(私の髪は天パでボサボサなのであまりわからなかった)
 日本から持って行った石鹸は全く泡立たなかった。

 話を食材に戻すが、ヨーグルトや、チーズ、蜂蜜、ジャム、栗のクリームなどの種類は豊富で美味しいものがたくさんだった。パンもチョコレートが入っている子供用のパンだけれど、美味しくて、丸っと食べれてしまった。
 
 実は私は料理が苦手だったが、フランス人は料理を楽しんで作る人が多い。包丁ではなく小さなナイフを使ったり、割と器具を使用することが多い。日本だと包丁一本でなんでもやります。千切り、かつらむきといった具合に、料理へのハードルが高い。その点、フランス人は細くカットする器具を使ったりと、技量がなくても大丈夫だと思わせてくれた。
 そしてフランス家庭の料理方法を見て、私は苦手だった料理への意識が変わっていく。
 







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