第１１３話 「魔王軍出現」
文字数 2,083文字
俺が念話でクッカと話しているので、狼男は無視されたと思ったらしい。
凄い目付きで俺を睨むと、大声で吠える。
「うおおお！ この青二才めぇ、無視しおって。俺様こそは兄者が行方不明になった後の魔王軍ナンバーフォー、大狼王リカントだぁ」
何？
大狼王リカントだぁ？
遂に、魔王軍襲来か。
とうとう、来やがった！
でも、今はクッカの具合の方が凄く気になる。
大狼王とやらに尋問をして確かめたいが、仕方がない。
俺は人さし指をくいっと動かした。
多分、兄貴と同じであろう単細胞狼男を挑発する為である。
「分かった。俺はふるさとを守る哀愁の戦士、郷愁マンだ……さっさとかかって来い」
「郷愁マン？ 何だ、そのふざけた名前は！」
「愛する嫁が付けてくれた名前だ。良いから早くかかって来い」
「何だと！ あ～、てめぇ……その落ち着きようは只者じゃあないな。そ、そうだ！ 兄者を知っているのか？ ここらで反応が消えたんだぞ」
反応か……
と、いう事は魔王軍め。
ここに俺が居るのも、これから戦うのもチェックしている可能性があるな？
まあ、良い。
とりあえずこいつを倒して、クッカと帰ろう。
考えるのは、それからだ。
だからこいつを更に……挑発してやれ。
「ええっと、多分お前の兄だと思うが、俺の嫁達を喰らうなどと、ふざけた事を抜かしたから倒したよ」
俺は、兄の仇……
一見、俺が超ヒールのようだが、はっきり言ってこいつの兄ライカンは外道。
嫁ズを無理矢理乱暴して、ハーレムを作り挙句の果てに喰らうなど鬼畜。
当然、死あるのみ。
俺の計算通り、リカントは憤り、悔しさと怒りを露わにする。
「くう！ やはり兄者を倒したのか。 若造の癖にぃ！ 許せん！ 兄者の仇だぁ、者どもかかれい！」
リカントの命令で数十頭の狼が唸りながら、飛び掛かって来た。
こいつらは、この付近でたまに見る狼ではない。
真っ黒で目が赤い。
ふたまわりくらい身体も大きい。
だが、所詮は雑魚。
こんな奴等、しゃらくせぇ！
俺は向かって来る狼共へ魔法の猛炎を浴びせてやった。
あちらから飛び込んで来るから、狙いを定める必要などなく全くの手間要らずだ。
ぎゃうん！ ぎゃん！ くお～ん！ ぎゃうっ！
毛皮が焦げる臭いが、立ち込める。
苦しみもがく狼共……
普通の狼だったら、俺もまだ憐憫の情が湧くが、こいつらは魔王軍の魔狼だ。
悪即斬である。
ひるんだ狼共を、俺は更に焼き殺して行く。
襲って来た狼共の殆どが、瞬時に消し炭と化す。
俺が魔法を、ガンガン使うのを見たリカントが歯噛みする。
「く、くそ～っ、魔法なんて卑怯だぞ！ 俺と勝負しろ！」
はぁ？
俺が卑怯？
先に数を頼み、狼を煽って俺を襲って来たのはどっちだ、馬鹿野郎！
俺の魔法に恐れをなし、残りの狼共数匹は怯えて逃げ去った。
もう敵は、リカントひとりだ。
なので、俺はリカントの挑発に乗ってやる。
「分かった、お前とタイマンを張ってやろう」
「タイマン？」
「1対１で戦ってやるから、かかってこいや～」
「くう！ うおおお！ 兄者の敵だ、死ねぇ！」
リカントは、俺に突進して来る。
そして、大きな拳を振るって殴りかかって来た。
何だ？
兄貴と同じ攻撃パターンか。
単純野郎め！
しかし、拳の速度が兄貴と比べて遅い。
全然、痛そうじゃない。
俺は兄貴の時と同様、片手を出してリカントの拳を止めてやる。
ぺちん！
可愛い音がした。
リカントの拳を、俺の平凡な手のひらがあっさりと受け止めた。
「は！？」
リカント……リアクションも兄貴と全く同じだ。
で、この後は本気出して変身するんだろ。
「てて、てめぇ！ もう許さん！ 本気出すぞ～」
そう言うと、リカントは全身に力を入れた。
「むきっ」と音が聞こえそうな、筋肉の盛り上がり方である。
あはは、やっぱ同じかよ。
でも今度は変身が終わるまで……待たねぇよ！
俺は変身中のリカントの顔面へ、渾身の力を込めて拳を叩き込む。
どっごおおおおん！
リカントの顔が粉々になり、血をまき散らしながら一瞬にして無くなった。
即死である。
目の前に倒れ伏したのは、もう単なる肉塊。
これで、お終 い！
あっさりジ・エンドだ。
俺は、地に倒れこんだリカントの亡骸を見た。
しかし、このままだといけない。
さすがの俺も、学習している。
不死者 になったら困るからケアしとくか。
『クッカ、葬送魔法を使うから、ちょっち待っててくれ』
『は、はい！』
本当は、阿呆な狼男＆配下などどうでも良い。
早く帰って、体調不良のクッカを休ませたい。
俺にとっては戦いより、愛する嫁の方が心配である。
俺は葬送魔法を発動して魔物共の死体を塵にしながら、クッカの身を案じていたのであった。
凄い目付きで俺を睨むと、大声で吠える。
「うおおお！ この青二才めぇ、無視しおって。俺様こそは兄者が行方不明になった後の魔王軍ナンバーフォー、大狼王リカントだぁ」
何？
大狼王リカントだぁ？
遂に、魔王軍襲来か。
とうとう、来やがった！
でも、今はクッカの具合の方が凄く気になる。
大狼王とやらに尋問をして確かめたいが、仕方がない。
俺は人さし指をくいっと動かした。
多分、兄貴と同じであろう単細胞狼男を挑発する為である。
「分かった。俺はふるさとを守る哀愁の戦士、郷愁マンだ……さっさとかかって来い」
「郷愁マン？ 何だ、そのふざけた名前は！」
「愛する嫁が付けてくれた名前だ。良いから早くかかって来い」
「何だと！ あ～、てめぇ……その落ち着きようは只者じゃあないな。そ、そうだ！ 兄者を知っているのか？ ここらで反応が消えたんだぞ」
反応か……
と、いう事は魔王軍め。
ここに俺が居るのも、これから戦うのもチェックしている可能性があるな？
まあ、良い。
とりあえずこいつを倒して、クッカと帰ろう。
考えるのは、それからだ。
だからこいつを更に……挑発してやれ。
「ええっと、多分お前の兄だと思うが、俺の嫁達を喰らうなどと、ふざけた事を抜かしたから倒したよ」
俺は、兄の仇……
一見、俺が超ヒールのようだが、はっきり言ってこいつの兄ライカンは外道。
嫁ズを無理矢理乱暴して、ハーレムを作り挙句の果てに喰らうなど鬼畜。
当然、死あるのみ。
俺の計算通り、リカントは憤り、悔しさと怒りを露わにする。
「くう！ やはり兄者を倒したのか。 若造の癖にぃ！ 許せん！ 兄者の仇だぁ、者どもかかれい！」
リカントの命令で数十頭の狼が唸りながら、飛び掛かって来た。
こいつらは、この付近でたまに見る狼ではない。
真っ黒で目が赤い。
ふたまわりくらい身体も大きい。
だが、所詮は雑魚。
こんな奴等、しゃらくせぇ！
俺は向かって来る狼共へ魔法の猛炎を浴びせてやった。
あちらから飛び込んで来るから、狙いを定める必要などなく全くの手間要らずだ。
ぎゃうん！ ぎゃん！ くお～ん！ ぎゃうっ！
毛皮が焦げる臭いが、立ち込める。
苦しみもがく狼共……
普通の狼だったら、俺もまだ憐憫の情が湧くが、こいつらは魔王軍の魔狼だ。
悪即斬である。
ひるんだ狼共を、俺は更に焼き殺して行く。
襲って来た狼共の殆どが、瞬時に消し炭と化す。
俺が魔法を、ガンガン使うのを見たリカントが歯噛みする。
「く、くそ～っ、魔法なんて卑怯だぞ！ 俺と勝負しろ！」
はぁ？
俺が卑怯？
先に数を頼み、狼を煽って俺を襲って来たのはどっちだ、馬鹿野郎！
俺の魔法に恐れをなし、残りの狼共数匹は怯えて逃げ去った。
もう敵は、リカントひとりだ。
なので、俺はリカントの挑発に乗ってやる。
「分かった、お前とタイマンを張ってやろう」
「タイマン？」
「1対１で戦ってやるから、かかってこいや～」
「くう！ うおおお！ 兄者の敵だ、死ねぇ！」
リカントは、俺に突進して来る。
そして、大きな拳を振るって殴りかかって来た。
何だ？
兄貴と同じ攻撃パターンか。
単純野郎め！
しかし、拳の速度が兄貴と比べて遅い。
全然、痛そうじゃない。
俺は兄貴の時と同様、片手を出してリカントの拳を止めてやる。
ぺちん！
可愛い音がした。
リカントの拳を、俺の平凡な手のひらがあっさりと受け止めた。
「は！？」
リカント……リアクションも兄貴と全く同じだ。
で、この後は本気出して変身するんだろ。
「てて、てめぇ！ もう許さん！ 本気出すぞ～」
そう言うと、リカントは全身に力を入れた。
「むきっ」と音が聞こえそうな、筋肉の盛り上がり方である。
あはは、やっぱ同じかよ。
でも今度は変身が終わるまで……待たねぇよ！
俺は変身中のリカントの顔面へ、渾身の力を込めて拳を叩き込む。
どっごおおおおん！
リカントの顔が粉々になり、血をまき散らしながら一瞬にして無くなった。
即死である。
目の前に倒れ伏したのは、もう単なる肉塊。
これで、お
あっさりジ・エンドだ。
俺は、地に倒れこんだリカントの亡骸を見た。
しかし、このままだといけない。
さすがの俺も、学習している。
『クッカ、葬送魔法を使うから、ちょっち待っててくれ』
『は、はい！』
本当は、阿呆な狼男＆配下などどうでも良い。
早く帰って、体調不良のクッカを休ませたい。
俺にとっては戦いより、愛する嫁の方が心配である。
俺は葬送魔法を発動して魔物共の死体を塵にしながら、クッカの身を案じていたのであった。
