第１２２話 「魔王軍総攻撃③」
文字数 2,587文字
あああ、クッカが！
クッカが、消えた！
魔王クーガーによって、消されてしまった……
この異世界に来てから、ずっと一緒だったクッカ。
『どじ』で不器用だけど、いつも一生懸命。
俺を「大好きだ」と言ってくれた、可愛くて素敵な女神。
素人勇者と新人女神の未熟者同士、お互いに助け合って、励まし合って、一生懸命頑張りながら成長して来た。
嫁ズへも、本当の妹のように優しく接してくれた……
それを！
よくも！
よくも～っ！！
許さね～っ！！！
俺は、魔王クーガーを睨みつけた。
生まれてから、ここまで怒った事はない。
他人へ、凄まじい憎しみをぶつけた事なんてない。
それくらい、感情が高ぶっている。
しかし、クーガーは俺の怒りなど、全く平気なようだ。
「ほほほほほ、あの駄女神さえ居なければ、勇者ケンは能力を完全に発揮出来ず半人前なのだ」
こいつ！
魔王クーガーめぇ。
……俺の能力発揮条件を……見抜いていやがる。
「く、くそ！」
「エリゴス、やっておしまい。もし勇者ケンを倒せたら、代わりにお前をこの私の夫にしてやろう。私は強い男が好きなのだ」
この女……とんでもないぞ。
自分の楽しみの為に、男を手玉に取ろうとしてやがる。
しかし、魔王クーガーに絶対の忠誠を誓うエリゴスは単純だ。
「おおおっ！ それは嬉しい、本当か！？」
俺への嫉妬から、憎悪に狂っていたエリゴスの機嫌はいっぺんに直った。
魔王クーガーの夫！
それが奴には何よりのニンジンらしい。
でも俺はどうでも良かった。
今、1番大事なのはクッカの安否だ。
そして俺同様、従士達も怒り心頭だ。
『ユルサヌゾ！』
『こらぁ！ クッカ奥様に何をした！』
唸るケルベロスと、ジャンも爪を出して懸命に抗議するが……
「うるさい雑魚共ね、うふふ」
魔王クーガーは、またもやケルベロスとジャンを消してしまう。
怖ろしい魔法だ。
どんな魔法なのか、俺には分からない。
クーガーは、にやりと笑う。
そして煽る。
「これで邪魔者は居ないわね、エリゴス！」
「御意！」
嬉しそうに頷いたエリゴスは、俺へと向き直った。
「勇者ぁ、こうなったら俺と勝負しろぉ！」
「…………」
俺が黙っていると、槍を持ちあげてアピールする。
「やり方は……そうだな。うむ、馬上槍試合 など、どうだ？」
「…………」
「何だ！ 返事をしろ、人間め！」
「……黙れ」
「は？」
「この雑魚がぁ！ 黙れと言っているんだぁ！！！！！」
俺はベイヤールの馬上から一気に飛翔して、エリゴスの顔面真ん中に思いっきり、拳をぶちかました。
天界拳究極奥義、豪拳貫通！
それも、魔力を込めたフルパワー拳だぁぁぁ！
どっごおおおおん！！！
凄まじい音が鳴り響く。
エリゴスは悲鳴をあげる間も無いくらい、呆気なく馬上から吹っ飛んだ。
遠くに吹っ飛ばされたエリゴスは、何度かバウンドして倒れると、「ぴくり」とも動かない。
俺は、仰向けに倒れたエリゴスの傍らまで行くと、奴の兜を無造作に踏み潰した。
「べっこん」と音がして、既にへこんでいた鋼鉄製らしい兜が飴細工のようにぺっちゃんこになった。
俺が踏みつけた瞬間、エリゴスは四肢を突っ張る。
そして「すううっ」と消えてしまった。
奴は、本当に消滅したらしい。
悪魔は基本不死らしいが、魂を破壊されると死ぬのだろう。
多分、俺の魔力で魂が粉砕されたに違いない。
エリゴス自身は勿論、騎乗していた馬までもが煙のように消え失せてしまったから。
さあ、残るは魔王だけ。
クッカの為にも……クーガーを倒さねば。
エリゴスを倒した俺は、ゆっくりと魔王クーガーに近付いた。
魔王が跨った巨大な竜が、俺の殺気に反応して咆哮する。
があああああああああああっ！！！
「舐めるなぁぁぁ！ どトカゲがぁ！！！！！！！」
俺が吠え、ひと睨みしたら、ドラゴンの奴、負け犬のように尻尾を丸めて大人しくなった。
クッカを安否不明にされた俺の怒りは、それほど凄まじかったのだ。
しかし、魔王クーガーは相変わらずだ。
何事もなかったかのように平然としている。
それどころか、笑っていやがる。
くっそお！
クッカにあんな事しておいて、平気なツラしやがって。
こいつを殺してやる。
「おい……不細工魔王！」
「ほう！ 私が不細工か」
俺が罵倒しても、クーガーは動じない。
平然と、受け流している。
俺は凄く悔しくなって、更に激しく罵倒した。
「そうさ！ お前の顔は正直可愛い。だがな、お前の心は最低最悪に不細工だよ」
「ほほほ、不細工な心か……しかし、私の心をこのように醜く、不細工にしたのがお前だとしたらどうする？」
「な、何っ！？」
魔王クーガーの、意外なひと言。
不意をつかれた俺は、大きく目を見開いて呆然としていた。
クーガーの心を醜くしたのは……俺のせいなのか？
そんな事は、ない！
ある筈が、ない。
だって俺は、魔王と今日初めて会ったのだから。
「ハッタリかますなよ、魔王」
俺が罵っても魔王は平然としている。
「ハッタリではない。だがこの場で長々と説明するのは私の性に合わん」
「おいっ！……さっきからわけが分からないぞ」
いくら問い掛けても、答えない魔王。
それどころか……
「ふ！ しっかり見届けて来い」
「何！？」
「真実を……あの駄女神クッカが、何故私にそっくりなのか？ そしてお前がこの世界へ来る事になった理由を含めてな」
真実！？
そして俺が転生した理由 ……だと！？
「え！？ 俺がこの異世界へ来た理由って何だ！」
おいおい！
そんな事は管理神様しか知らない事だろうに！
「うふ！」
魔王クーガーはニッと笑い、ピンと指を鳴らす。
その瞬間。
いきなり、俺の足元の感覚が消え失せる。
「おわっ！」
情けない悲鳴をあげた俺は、まっさかさまに落ちて行くような感覚になり……
あっという間に、気を失ったのであった。
クッカが、消えた！
魔王クーガーによって、消されてしまった……
この異世界に来てから、ずっと一緒だったクッカ。
『どじ』で不器用だけど、いつも一生懸命。
俺を「大好きだ」と言ってくれた、可愛くて素敵な女神。
素人勇者と新人女神の未熟者同士、お互いに助け合って、励まし合って、一生懸命頑張りながら成長して来た。
嫁ズへも、本当の妹のように優しく接してくれた……
それを！
よくも！
よくも～っ！！
許さね～っ！！！
俺は、魔王クーガーを睨みつけた。
生まれてから、ここまで怒った事はない。
他人へ、凄まじい憎しみをぶつけた事なんてない。
それくらい、感情が高ぶっている。
しかし、クーガーは俺の怒りなど、全く平気なようだ。
「ほほほほほ、あの駄女神さえ居なければ、勇者ケンは能力を完全に発揮出来ず半人前なのだ」
こいつ！
魔王クーガーめぇ。
……俺の能力発揮条件を……見抜いていやがる。
「く、くそ！」
「エリゴス、やっておしまい。もし勇者ケンを倒せたら、代わりにお前をこの私の夫にしてやろう。私は強い男が好きなのだ」
この女……とんでもないぞ。
自分の楽しみの為に、男を手玉に取ろうとしてやがる。
しかし、魔王クーガーに絶対の忠誠を誓うエリゴスは単純だ。
「おおおっ！ それは嬉しい、本当か！？」
俺への嫉妬から、憎悪に狂っていたエリゴスの機嫌はいっぺんに直った。
魔王クーガーの夫！
それが奴には何よりのニンジンらしい。
でも俺はどうでも良かった。
今、1番大事なのはクッカの安否だ。
そして俺同様、従士達も怒り心頭だ。
『ユルサヌゾ！』
『こらぁ！ クッカ奥様に何をした！』
唸るケルベロスと、ジャンも爪を出して懸命に抗議するが……
「うるさい雑魚共ね、うふふ」
魔王クーガーは、またもやケルベロスとジャンを消してしまう。
怖ろしい魔法だ。
どんな魔法なのか、俺には分からない。
クーガーは、にやりと笑う。
そして煽る。
「これで邪魔者は居ないわね、エリゴス！」
「御意！」
嬉しそうに頷いたエリゴスは、俺へと向き直った。
「勇者ぁ、こうなったら俺と勝負しろぉ！」
「…………」
俺が黙っていると、槍を持ちあげてアピールする。
「やり方は……そうだな。うむ、
「…………」
「何だ！ 返事をしろ、人間め！」
「……黙れ」
「は？」
「この雑魚がぁ！ 黙れと言っているんだぁ！！！！！」
俺はベイヤールの馬上から一気に飛翔して、エリゴスの顔面真ん中に思いっきり、拳をぶちかました。
天界拳究極奥義、豪拳貫通！
それも、魔力を込めたフルパワー拳だぁぁぁ！
どっごおおおおん！！！
凄まじい音が鳴り響く。
エリゴスは悲鳴をあげる間も無いくらい、呆気なく馬上から吹っ飛んだ。
遠くに吹っ飛ばされたエリゴスは、何度かバウンドして倒れると、「ぴくり」とも動かない。
俺は、仰向けに倒れたエリゴスの傍らまで行くと、奴の兜を無造作に踏み潰した。
「べっこん」と音がして、既にへこんでいた鋼鉄製らしい兜が飴細工のようにぺっちゃんこになった。
俺が踏みつけた瞬間、エリゴスは四肢を突っ張る。
そして「すううっ」と消えてしまった。
奴は、本当に消滅したらしい。
悪魔は基本不死らしいが、魂を破壊されると死ぬのだろう。
多分、俺の魔力で魂が粉砕されたに違いない。
エリゴス自身は勿論、騎乗していた馬までもが煙のように消え失せてしまったから。
さあ、残るは魔王だけ。
クッカの為にも……クーガーを倒さねば。
エリゴスを倒した俺は、ゆっくりと魔王クーガーに近付いた。
魔王が跨った巨大な竜が、俺の殺気に反応して咆哮する。
があああああああああああっ！！！
「舐めるなぁぁぁ！ どトカゲがぁ！！！！！！！」
俺が吠え、ひと睨みしたら、ドラゴンの奴、負け犬のように尻尾を丸めて大人しくなった。
クッカを安否不明にされた俺の怒りは、それほど凄まじかったのだ。
しかし、魔王クーガーは相変わらずだ。
何事もなかったかのように平然としている。
それどころか、笑っていやがる。
くっそお！
クッカにあんな事しておいて、平気なツラしやがって。
こいつを殺してやる。
「おい……不細工魔王！」
「ほう！ 私が不細工か」
俺が罵倒しても、クーガーは動じない。
平然と、受け流している。
俺は凄く悔しくなって、更に激しく罵倒した。
「そうさ！ お前の顔は正直可愛い。だがな、お前の心は最低最悪に不細工だよ」
「ほほほ、不細工な心か……しかし、私の心をこのように醜く、不細工にしたのがお前だとしたらどうする？」
「な、何っ！？」
魔王クーガーの、意外なひと言。
不意をつかれた俺は、大きく目を見開いて呆然としていた。
クーガーの心を醜くしたのは……俺のせいなのか？
そんな事は、ない！
ある筈が、ない。
だって俺は、魔王と今日初めて会ったのだから。
「ハッタリかますなよ、魔王」
俺が罵っても魔王は平然としている。
「ハッタリではない。だがこの場で長々と説明するのは私の性に合わん」
「おいっ！……さっきからわけが分からないぞ」
いくら問い掛けても、答えない魔王。
それどころか……
「ふ！ しっかり見届けて来い」
「何！？」
「真実を……あの駄女神クッカが、何故私にそっくりなのか？ そしてお前がこの世界へ来る事になった理由を含めてな」
真実！？
そして俺が転生した
「え！？ 俺がこの異世界へ来た理由って何だ！」
おいおい！
そんな事は管理神様しか知らない事だろうに！
「うふ！」
魔王クーガーはニッと笑い、ピンと指を鳴らす。
その瞬間。
いきなり、俺の足元の感覚が消え失せる。
「おわっ！」
情けない悲鳴をあげた俺は、まっさかさまに落ちて行くような感覚になり……
あっという間に、気を失ったのであった。
