大きな背中

文字数 362文字

 子どもの頃は、無性に両親の背中が大きく見えた。
 自分に何かあれば、時に叱り、時に励まし、時に誰より愛情深かった両親。
 年頃になると、反抗期で親に反発ばかりして困らせた。
 今、大人になって思う。なんであんなに反抗したのだろう、と。あの時、あんなに迷惑かけてしまってごめんなさい、と。

 年月を経て、いつの間にかそんな両親の背を追い越し見下ろすようになって、あんなに大きく感じた背中は、案外小さかったことに気づいた。
 この両親の小さな背中を誇りに思う。
 人を一人、成人するまで育てあげることがどれほど困難なことか知っているからこそ、素直に感心できる。
 脇道に逸れず、真っ当な人間に育てることは子育ての中でも特に難易度が高いはずだ。
 もはや尊敬の念しか湧かない。
 いつか自分も、そんな両親のような素敵な親になってみたいものである。
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