希望

文字数 689文字

 今年であの東日本大震災から12年。
 ──もう12年かと思った人もいるし、まだ12年しか経っていないと悲しみに囚われる人もいる。

 少し考えてみよう。
 もし12年前、自分の住む地域が同じような巨大な地震と津波、そして放射能が漏れて被爆していたとしたら?
 とてもじゃないが冷静ではいられないはずだ。
 たまたま地震がそこで起こってしまっただけで、自分たちは対岸の火事のごとく他人事のように見ていた出来事が、もしかしたら明日、自分の身に起こるかもしれないことは理解できよう。

 地球に落ち着く、休憩するという概念は恐らくないだろう。なにせ人ではないから言って聞かせるというわけにもいかない。
 ついでに言えば、日本は地震大国。いつどこでどのくらいの地震の規模になるか、なんてその瞬間ギリギリになるまで誰にも分からない。
 どんなに人類が災害に対して対策をしても、逆に地球からしたら小さないたずら程度にしか感じず、人がしていることなんて自然の前では無駄なのかもしれない。
 しかし無駄だとは思えないのだ。
 どんなに逆境だったとしても、どんなに人が無力だったとしても、人には最後に思いやりの精神がまだ残っている。
 かつて、開けてはならないと言われたパンドラの箱を開けて、その箱の底に最後にたったひとつだけ残ったのは「希望」。
 この希望こそ、人に最後に残された良心──思いやりの精神なのではないだろうか。
 まだ被害のあった地域の復興は道半ば。たとえ亀の歩みのように遅くとも、前を向いて進んでいく皆さんのために、今日くらいは幸あれと願うことにしたい。

 被害を受けた地域の皆さん、復興がんばってください。
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