文字数 353文字

 誰も起きていない深夜。ひっそりと仕事をするモノがあった。
 上空から、ひらり、はらり、と小さな塊が地面へ着地する。
 その塊──結晶は、地面へ留まることなく空中へと溶けていくものが多い。
 運良く留まれたものは、地面を白く染めていく。
 まるで桜が舞い散るかのごとくと言いたくなるが、これは植物ではなく雪。
 きっと誰も見ていないうちに、せかせかと雪は地上を白くするために仕事をするのだ。
 雪は、地域や場所によっては災害にもなるし、場所によっては天からの恵みにもなる。
 でも、雪は元を辿れば水が形を変えただけなのだ。
 水はいつだって循環している。
 こうやって一息ついている間にも、皆が寝静まっていたとしても、休むことなく古代から現代まで全く変わらないサイクル。
 自然ってすごいな。漠然とそう感じてしまったのだった。
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