身内のありがたさ

文字数 1,047文字

 いきなりだった。
 頑強な祖母が、大きな病院へ緊急搬送されたと仕事の途中に叔母から連絡をもらい、職場の人に事情を説明してから慌てて半休で有給を使って午後から上がった。
 入院に必要な持ち物リストを元に旅行用カバンへと詰め込むも、あれこれいるものが多くて後で病院内の店で調達するしかないだろうというものもかなりあったが、まずは詰め込んでしまえと、同じく午後から上がってきていた叔母に荷物確認を手伝ってもらっていた。

 何とか荷物を詰め込んで、今回入院した病院へと急ぐ。
 叔母の車へ乗車し共に行くことになったが、たまたま通院して仕事を休んでいた二人の従兄弟のうちの上の子も祖母が心配だから、荷物持ちとしてという理由で着いて来ることになった。
 緊急搬送先で先に待っていたのは、二人いる従兄弟の下の子。
 彼が付き添っていてくれて、朝から救急搬送、そして手術中の長時間の間祖母に付き添い一人で耐えてくれていた。
 今回一番のMVPだ。

 手術をしてくれた先生から現状の話を聞き、長期入院になりそうと言われ、思考停止しかかる。
 理性で何とか提示される情報を飲み込むも、感情がついていかない。
 この数日中は、付きっきりの完全体制で診てくれることになっているので、よろしくお願いしますと何度も頭を下げてきた。

 ちなみに祖母と面会はできたものの、制限時間があり、あまりいられないので手短に今後必要そうな情報を聞き出していく。
 本人はまさか自分が緊急搬送されて手術されるなんてと悔しそうだったが、大抵そんなものだ。
 しばらく一人だが大丈夫かと心配をかけてしまっていたので、何とかするよと答えた。

 私も前に大きな病気をした時にかかりつけ医から、これは手術がすぐに必要だね、紹介状書くからその大きな病院へ持って行きなさいと言われて、改めて大きな病院で診察されて、こういう病気で手術しないとダメですよと言われてもピンと来なかったのだから。

 病気になってわかること、それは体に無理をさせないこと。
 まだできるだろうと体を酷使するのではなく、まずは周りへ助けを呼ぶことも大切。
 身内でも知り合いでも、入院云々に直接関われなくてもアドバイスや力を貸してくれる存在、理解のある人は必ずいると思う。
 
 ともかく、祖母が順調に回復してくれるように祈ることにする。
 身内がたまたま被って休みだったり休みを取ってくれたので、もし一人だけだったなら慌てふためいて冷静ではとてもいられなかっただろう。
 改めて身内のありがたさを実感した今日であった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み