アブラゼミ
文字数 429文字
周りに緑が少なくなったと感じるきっかけは、アブラゼミの声。
毎年家の周りのそこかしこに生えている木々から、こちら側がうるさい! と苦情を入れたくなるほどに迷惑していたくらいのレベルだった。
そんな彼らの声が、今年はほとんど聞こえない。それが、なぜか少しだけ寂しい。
聞こえなくなった理由は、管理していた人が、もう自身で管理しきれなくなった木々を業者に頼んで処分してもらったせいらしい。
昨年の、あのやかましかったアブラゼミの声が無性に懐かしくなった。
家の周辺で、もうあの大合唱は聞けないのだから。
この前、山の周辺へ行った時のことだ。
周辺とはいえ、もちろん山は山なので大規模な伐採はされず、木は豊富に生えている。
その中から、ジージー、ジージーと忙しなく、鳴き止むことのないアブラセミの大合唱が始まっていた。
──ああ、まだ、ここには私の覚えているあの風物詩が残っていたんだな。
胸から込み上げてきた感動に浸りつつ、彼らの大合唱に耳をすませたのだった。
毎年家の周りのそこかしこに生えている木々から、こちら側がうるさい! と苦情を入れたくなるほどに迷惑していたくらいのレベルだった。
そんな彼らの声が、今年はほとんど聞こえない。それが、なぜか少しだけ寂しい。
聞こえなくなった理由は、管理していた人が、もう自身で管理しきれなくなった木々を業者に頼んで処分してもらったせいらしい。
昨年の、あのやかましかったアブラゼミの声が無性に懐かしくなった。
家の周辺で、もうあの大合唱は聞けないのだから。
この前、山の周辺へ行った時のことだ。
周辺とはいえ、もちろん山は山なので大規模な伐採はされず、木は豊富に生えている。
その中から、ジージー、ジージーと忙しなく、鳴き止むことのないアブラセミの大合唱が始まっていた。
──ああ、まだ、ここには私の覚えているあの風物詩が残っていたんだな。
胸から込み上げてきた感動に浸りつつ、彼らの大合唱に耳をすませたのだった。