みんな悩んでいる

文字数 1,155文字

私は、きょう、あなたがたに対して天と地とを、証人に立てる。私は、いのちと死、祝福とのろいを、あなたの前に置く。あなたはいのちを選びなさい。あなたもあなたの子孫も生き、あなたの神、主を愛し、御声に聞き従い、主にすがるためだ。確かに主はあなたのいのちであり、あなたは主が、あなたの先祖、アブラハム、イサク、ヤコブに与えると誓われた地で、長く生きて住む。(申命記30:19)


田原牧師とすみれ先生

「喫煙所を作ってから、人が増えたわね」
「うん」白ワインを飲みながら、そう言った。
「すみれさんも飲めば」
「うん、じゃあ一杯だけね」すみれさんもお酒が飲めるからよかった。お酒を飲むことに眉をひそめる人ととは結婚できなかった。
「寝る前だからほどほどにね。」すみれさんは優しくそう言って、
「うん、わかった」俺はそう言って、新聞を眺めていた。

翌日の昼
「あのー、30分500円で相談が出来るって、喫煙所に書いていましたけれど、牧師さんはいらっしゃいますか」30代くらいの中背中肉の眼鏡をかけた男性が、1階の教会の玄関でそう言った。
「あ、私が牧師の田原です。」
「あー、あなたが牧師先生ですか」男は少し残念そうな顔をしてそう言った。
「牧師室にいきましょうか」
「あのー僕キリスト教に洗脳されたくないんで、勧誘はやめてくださいね。あと、500円は前払いですか、後払いですか」
「特に決まりはないけれど、じゃ先にいただきましょうか」俺はそう言ってから、500円玉を受け取って、自分にはお釣り用の500円玉がないから、おつりがなくてよかったと思った。
「俺、今年で34歳で、妻がいて、6歳の息子がいて、幸せなんだろうけれども、なんか喜びがないんですよ」
「うーん」俺はなるべくしゃべらないように頷いた。
「最近セクキャバとから女の娘と遊ぶことも始めましたらけれど、その時は楽しいけれど、つまんないですよ」
「今、仕事中ですか?」
「はい、営業なんで、30分くらいのサボりは余裕です」
「そうですか。奥様との関係は?」
「仲がいいですけれど、なんか空気みたいな感じで、夜のあっちの方もしなくなったし。先生は?」
「僕?週に3回くらいかな。子供が欲しいんです」
「週に3回か、随分アグレッシブな牧師先生ですな」男はそう言ってから、
「はあー」ため息を何回もついていた。修三君のそれに似ていると思った。
「このまま、会社に行って、色々我慢したり、社会のルール、会社のルールで、疲弊し、妻と普通に仲良くして、息子が成長するのを見守る。ローンを組むなんて怖いから、組んでいなくて、いずれ老人になって自分で用も足せなくなる。その際、どこに住めばいいのか。はあー、つまんねー生きているって」
「ふーん」俺は頷いた。

おしまい
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登場人物紹介

篠崎修三・・・20歳で初めて出来た彼女がクリスチャンだった。

佐藤英子・・・修三の彼女。3年前にクリスチャンになった。ちなみに修三とは保育園の時の同級生

上田基一・・・修三と同じ大学で同級生の友達。両親がクリスチャンで、小学校に入る前から教会に通い14歳の時に洗礼を受けてクリスチャンとなる。高校に入ったころから、高校3年生あたりから教会生活やクリスチャンに疑問を抱くようになり、大学に入学してから間もなく教会を離れる。現在は彼女、飲み会など遊ぶことが楽しく、教会を離れて良かったと思っている。

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