罪人

文字数 825文字

すべての人は、罪を犯した。(ローマ:13・23)

英子を家に送ってからすぐに上田に連絡をした。
「合コン、俺行けないよ」俺は英子を裏切るようなことはしたくないから、上田につながるとすぐにそう言った。
「まあ、気持ちはわかる。でも、超至急なんだ。こういったらなんだけど、お前以外は空いていなかったんだ。お願い、てかマジでお願い」
「いや、行かないって。お前も彼女がいるんだろう。あ、二人目を狙っていた娘とはどうしたの」
「あ、別れた。だから彼女は今一人」
「別れたって、付き合っていたのか。どうしようもねーな」
「まあ、何でもいってくれ。あ、そういえば、今日、合コンの神様、荒木先輩が来るぜ」
荒木先輩のことは、耳にしたことがあった。相当の遊び人、何人もの女の娘と付き合っていると聞いて、いつかバチが当たれって思っていた人だ。でも、別世界の人だから、一緒に合コンに行けるならチャンスだと思ってしまった。でも、英子のことを思うと断るしかない。
「もう、いいや、お前。もう、いい。金は俺がだすから」
「え、マジで。いいの」咄嗟にその言葉が出た俺は、教会でいう罪人だと思った。
「お、行くのか」
「うーん」英子に悪いことをすることになる。とはいえ、
1. 合コンで女の娘たちと会える。
2. 合コンの神様と会える。
3. ただで飲める。
4. 正直行きたい。
悩んだ結果、残念ながら1対4の多数決で行くことにした。
「うーん、わかったよ。お前も立場があるからまあ行くよ。でも、マジで英子のことを言うなよ」
本当は行きたいのに、上田の顔をたてるような言い方をした俺はやっぱり罪人だと思った。
「お、マジ。よっしゃー。英子ちゃんのことはもちろん言わねーよ。
てか、俺も荒木先輩も彼女いるしな。てか、荒木先輩なんて8人いるしな」
「8人!?」2番目の合コンの神様に会えるという項目が圧倒的な点数をたたきだした。俺だけでなく、男はみんな罪人だと思った。

おしまい
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登場人物紹介

篠崎修三・・・20歳で初めて出来た彼女がクリスチャンだった。

佐藤英子・・・修三の彼女。3年前にクリスチャンになった。ちなみに修三とは保育園の時の同級生

上田基一・・・修三と同じ大学で同級生の友達。両親がクリスチャンで、小学校に入る前から教会に通い14歳の時に洗礼を受けてクリスチャンとなる。高校に入ったころから、高校3年生あたりから教会生活やクリスチャンに疑問を抱くようになり、大学に入学してから間もなく教会を離れる。現在は彼女、飲み会など遊ぶことが楽しく、教会を離れて良かったと思っている。

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