第77話 刹那的
文字数 791文字
「あー毎日飲んで、女の愚痴聞いて、朝方トイレ掃除で、少し寝て、昼から会議でよ。この前会議でうとうとしていたら、先輩から殴られたわ。修三、きつい、この前、ついに歩くことが出来なくて、金ねーのにタクシーで家に帰ったわ。ぶっ倒れて、起きたら吐いて、気づいたら昼前で、寝坊なんてしたら首になるからダッシュで店に行ったら、ギリ間に合った。俺もうやめてー。情けねーけど、きちー」7月に上田と会ったら、かなり堪えていた。俺は上田の話を聞いていると、甘々の環境にいるなあと思った。課長に気に入れられて、毎晩飲みに連れていかれた。俺はまだ宅建試験が10月だから、仕事をするにも課長なしには動くことが出来ない。地方からホステスに勤めるため、安全な賃貸物件を相談されて、車で運転して何件か回っているうちに仲良くなるケースが増えていた。俺もうぶだから、英子の死の話をしてしまうことも多く、女性はその手の話に同情してくれて、関係を持ってしまうことがしばしばあった。俺は罪という恐ろしさをこの仕事で知った。英子が死んでくれたおかげで、若くて綺麗な娘とセックスが出来る。課長も俺といるメリットを感じて、若い娘とつながる。正直毎日が楽しかった。こんなこといつまで続くんだろうと思うが、英子が死んだ今は将来のことなんてどうだっていい。若さは永遠ではない、英語の授業でその言葉を知って、
英語は覚えていないけれど、その言葉はよく覚えている。俺も、若いホステスも、若さという賞味期限があるものを使って、刹那的に楽しむ。こんな毎日だと上田に話したら、上田はサマリアの女のために今は我慢するんだと言っていた。彼は教会には行っていないし、ホストという職業だけれど、立派なクリスチャンだと思った。英子がいなくなった今、上田というクリスチャンがいて、ほっとする。俺には物事を判断する上での基軸がないから、たまにすごく不安になる。
英語は覚えていないけれど、その言葉はよく覚えている。俺も、若いホステスも、若さという賞味期限があるものを使って、刹那的に楽しむ。こんな毎日だと上田に話したら、上田はサマリアの女のために今は我慢するんだと言っていた。彼は教会には行っていないし、ホストという職業だけれど、立派なクリスチャンだと思った。英子がいなくなった今、上田というクリスチャンがいて、ほっとする。俺には物事を判断する上での基軸がないから、たまにすごく不安になる。