星ブー
文字数 1,530文字
ですから、すべて他人をさばく人よ。あなたに弁解の余地はありません。あなたは、他人をさばくことによって、自分自身を罪に定めています。さばくあなたが、それと同じことを行っているからです。
(ローマ:2・1)
どうしたら、そんなに腹が出るのか、そんなつっこみをいつもいいたくなる、黒縁眼鏡の音楽の先生の猪原先生が近藤さんに近づいて、田沖に近藤さんを保健室に連れていくよう指示した。
「もしかして、近藤さんの笛を口にした奴がいるのか」猪原先生は大声でそう言った。その瞬間、どうしよう、これが紛れもない本音だった。ここでばれたら、マジで終わる。下手したら逮捕される。そんなことを思っている間に、男子・女子ともにいろんな疑惑を口にした。男子全員でやったのではないかと言い出す娘、自然の劣化を主張するクラスで一番頭のいい奴、腹が超出ていている猪原先生と一瞬目が合って、やべって思った俺は、咄嗟に、
「星ブーって、近藤さんの席の隣だったよな」混乱の中、俺が普通のトーンでそう言い放った瞬間、俺だけの声が音楽室に流れた。星ブーこと星幸弘は、デブでチビでいつも同じジャージを着ていた。当然女の子からはモテなかった。自分の苗字にブーがつく。ただ、太っているだけではつかない。もしつくのだとしたら、音楽の先生は猪原ブーとなるだろうが、なっていない。申し訳ないが、星ブーには清潔感がなかった。その他、相撲だけは強い、給食は必ずおかわりをするために早食いをしているなど、さまざまな要素が偶然にも重なって苗字にブーがついたんだと思う。それに対して、俺は昔から背が高い、足が長いと言われていた。親父に似て、少しあごのラインがエラを張っているが、女子のウケは悪くなかった。
「ちげーよ、俺じゃねーよ」必死で否定する星ブー。
星ブーが必死になって、否定するほど、女子から、
「最低」「キモイ」「くさい」「鬼」
犯人は俺なのに、俺が罪をなすりつけたとは女の子は思わず、星ブーをけなし続け、俺の言ったことを信じた。その光景を見て、俺は足が震えていた。杉田に目を向けると笑っていて、りょうは星ブーにブーイングをしていた。
その日に放課後、星ブーは、先生に促されて、先生の隣に来て、みんなの前に立たされた。
「本当俺じゃねーんだよ」星ブーは潔白だった。これだけで終わればよかったのに、星ブーはつづけた。
「近藤なんて興味ねーんだよ。ちっとも可愛くねーもん。」この言葉で、担任でもう定年間際の岡崎先生は、
「じゃあ、可愛い娘だったら、そういうことをしてもいいと思ったの」
そう叫んだ。関係ないけれど、岡崎先生は、朝の朝礼時間には、みなさ~ん、という口調で言うから、みんな真似をしていた。岡崎先生がそのセリフを言うと、星ブーも真似をして、純粋な笑顔で俺らのクラスは一瞬ひとつになっていた。また、岡崎先生は昔やたらモテていたことをよく話した。その話題も老弱男女問わず、俺らのクラスを笑いとともに、ひとつにした。その岡崎先生が、ブチ切れると、女子全員が星ブーに切れた。俺は席を立って、
「あのー、近藤さんの縦笛を口にしたのは、俺なんですけど」そう言おうか一瞬迷ったけれど、喧騒の中でそんなことが出来ることはなかった。岡崎先生が、
「さっきのは謝りなさい」そう言うと、星ブーは、
「本当俺じゃねーんだよ。でも、ごめんなさい」泣いて謝ると、神馬さんが、
「男らしくない、やったんならやったって言いなよ」
神馬さんが怒って、叫ぶのは初めてみた。神馬さんを見ていると、
あのー、あなたなんか約3分間もりょうがあなたの縦笛を口に含んで演奏されていたんですけれど、そう思ったが、言えるはずがなかった。
おしまい
(ローマ:2・1)
どうしたら、そんなに腹が出るのか、そんなつっこみをいつもいいたくなる、黒縁眼鏡の音楽の先生の猪原先生が近藤さんに近づいて、田沖に近藤さんを保健室に連れていくよう指示した。
「もしかして、近藤さんの笛を口にした奴がいるのか」猪原先生は大声でそう言った。その瞬間、どうしよう、これが紛れもない本音だった。ここでばれたら、マジで終わる。下手したら逮捕される。そんなことを思っている間に、男子・女子ともにいろんな疑惑を口にした。男子全員でやったのではないかと言い出す娘、自然の劣化を主張するクラスで一番頭のいい奴、腹が超出ていている猪原先生と一瞬目が合って、やべって思った俺は、咄嗟に、
「星ブーって、近藤さんの席の隣だったよな」混乱の中、俺が普通のトーンでそう言い放った瞬間、俺だけの声が音楽室に流れた。星ブーこと星幸弘は、デブでチビでいつも同じジャージを着ていた。当然女の子からはモテなかった。自分の苗字にブーがつく。ただ、太っているだけではつかない。もしつくのだとしたら、音楽の先生は猪原ブーとなるだろうが、なっていない。申し訳ないが、星ブーには清潔感がなかった。その他、相撲だけは強い、給食は必ずおかわりをするために早食いをしているなど、さまざまな要素が偶然にも重なって苗字にブーがついたんだと思う。それに対して、俺は昔から背が高い、足が長いと言われていた。親父に似て、少しあごのラインがエラを張っているが、女子のウケは悪くなかった。
「ちげーよ、俺じゃねーよ」必死で否定する星ブー。
星ブーが必死になって、否定するほど、女子から、
「最低」「キモイ」「くさい」「鬼」
犯人は俺なのに、俺が罪をなすりつけたとは女の子は思わず、星ブーをけなし続け、俺の言ったことを信じた。その光景を見て、俺は足が震えていた。杉田に目を向けると笑っていて、りょうは星ブーにブーイングをしていた。
その日に放課後、星ブーは、先生に促されて、先生の隣に来て、みんなの前に立たされた。
「本当俺じゃねーんだよ」星ブーは潔白だった。これだけで終わればよかったのに、星ブーはつづけた。
「近藤なんて興味ねーんだよ。ちっとも可愛くねーもん。」この言葉で、担任でもう定年間際の岡崎先生は、
「じゃあ、可愛い娘だったら、そういうことをしてもいいと思ったの」
そう叫んだ。関係ないけれど、岡崎先生は、朝の朝礼時間には、みなさ~ん、という口調で言うから、みんな真似をしていた。岡崎先生がそのセリフを言うと、星ブーも真似をして、純粋な笑顔で俺らのクラスは一瞬ひとつになっていた。また、岡崎先生は昔やたらモテていたことをよく話した。その話題も老弱男女問わず、俺らのクラスを笑いとともに、ひとつにした。その岡崎先生が、ブチ切れると、女子全員が星ブーに切れた。俺は席を立って、
「あのー、近藤さんの縦笛を口にしたのは、俺なんですけど」そう言おうか一瞬迷ったけれど、喧騒の中でそんなことが出来ることはなかった。岡崎先生が、
「さっきのは謝りなさい」そう言うと、星ブーは、
「本当俺じゃねーんだよ。でも、ごめんなさい」泣いて謝ると、神馬さんが、
「男らしくない、やったんならやったって言いなよ」
神馬さんが怒って、叫ぶのは初めてみた。神馬さんを見ていると、
あのー、あなたなんか約3分間もりょうがあなたの縦笛を口に含んで演奏されていたんですけれど、そう思ったが、言えるはずがなかった。
おしまい