愛されるより愛するということ

文字数 1,301文字

わたしの目には、あなたは高価で尊い。 わたしはあなたを愛している。
イザヤ書:43・4

「はあー」ため息をつきながら、タバコを吸いながら、夢のことをふ振り返って、へこんだ。
「はあー」
ため息をしたとき、英子からラインがあった。
「おはよう。ねえ、今日会える」
「もちろん」へこむこと、嫌な夢、コンプレックス、いろんなことがあっても、英子が一緒にいてくれる限り、俺はなんとか生きていける。そう思った。

「今日ね、夢を見たの。夢だから聞いて」英子は珍しく、額に汗をかいていた。
「ん、どんな夢」俺は今日の夢があったから、夢という言葉を聞きたくなかった。
「本当、夢の話だからね」また、前置きしたうえで、
「私のところに、行列が出来て、みんな私に告白するの。みんな私のことを愛しているって言ってくれるの。で、私は色んな人と付き合って、私が喜ぶようなことをしてくれるの。有名なレストラン、素敵なドライブ、ブランドの腕時計、ネックレス、スカーフ。すごく嬉しかったの。それが3年も続くの。毎日毎日愛されているとね、私の願い事をほとんど叶えてくれるの。でも、私は、3年間たつころには何にも嬉しくなくなってくるの。そんなときに修三君と保育園の時の以来に、再会するの。おごってくれるのは、108円のジュース。今まで私を愛してくれる人はみんな背が高かったのに、修三君は、ごめん、小柄だったの。でも、笑顔が素朴で、やさしくて、恥ずかし屋で素敵だなって思ったの。
そしらね、直美先生が急に出てきて修三君が好きって話をしたら、英子がね、そのお祈りを神様がしてくださるって信じていたら、きっと叶うわよ。直美先生も祈るからねって言ってくれたの。私ね、神様にこう祈ったの。神様、今まで私を愛してくれる人をいっぱいお与えてくださって、感謝します。でも、愛されていることより、愛することがどんだけ素敵なことを教えてくださってありがとうございます。修三君のことが好きです。愛している、って感情もあります。そう祈ったら、神様は、わたしの目には、すべての人が高価で尊い。 わたしはみんなを愛している。愛すってことは、人間にとって特別な幸せだよ。その修三君は、私にとって、高価で尊い存在だよ。修三君もあなたのことも私が愛している。あなた方は、その愛を受けとって、互いに愛し合いなさい。愛することは本当に素晴らしくて、人生の中でほんの一瞬の奇跡だよって」言うの。私、その夢みて修三君に会いたくて、たまらなかったの。修三君からたくさん愛されたいけれど、私も私なりに修三君への愛を伝えたいとそう思ったの。」
英子はそう言って、俺の両手をとって、素敵な宝石のような目で、おれを見つめた。俺は何があっても、英子を悲しませないように、キスはももちろんのこと、いろんなことをしないようにと、心に誓った。英子は、本当に天使のように純粋で、綺麗だった。そして、そんな英子が俺のことを愛してくれる奇跡に今回は神様に感謝した。
「俺さ、英子を愛している。ほかの女の子から愛されていないけれぢど」
俺がそういうと、英子は優しい目で俺を見つめてくれた。

おしまい
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

篠崎修三・・・20歳で初めて出来た彼女がクリスチャンだった。

佐藤英子・・・修三の彼女。3年前にクリスチャンになった。ちなみに修三とは保育園の時の同級生

上田基一・・・修三と同じ大学で同級生の友達。両親がクリスチャンで、小学校に入る前から教会に通い14歳の時に洗礼を受けてクリスチャンとなる。高校に入ったころから、高校3年生あたりから教会生活やクリスチャンに疑問を抱くようになり、大学に入学してから間もなく教会を離れる。現在は彼女、飲み会など遊ぶことが楽しく、教会を離れて良かったと思っている。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み