帰り道

文字数 801文字

帰り道

直美先生のメッセージが終わった後、英子と俺は別の道で帰って、府中駅から歩いて10分くらいする小さなコーヒーショップで待ち合わせをした。お互い。直美先生が言ってくれた、「あなたたちのことを祈っているからね。早く結婚しちゃいなさいよ」の言葉を意識していた。
「直美先生って、本当にスタイル抜群だよね」英子はそう言うけれど、本当に話したいのは、早く結婚しちゃいなさいよという直美先生の言葉であることはすぐにわかった。そして、俺もその話題を話したかった。
「夏目おじいちゃんが、ボンキュッボンって言っていたもんね」俺も全く同感だった。
「修三君だって、そう思ったんじゃないの」
「いやーそういう身なりより、なんかオーラがあった。あと、話が面白かった。」
「うん、確かにオーラがあったね」
俺らはそんなたわいのないことを終始話して、1時間がたったからお店を出ることにした。
いつものように手をつないで、歩いていたら、英子が、
「ねーねー、直美先生が言った、早く結婚しちゃいなさいよという言葉を聞いて、どう思った」
こういうことを英子から言わせてしまうところが、俺のしょぼいところだ。
「すげー嬉しかった。だって、俺クリチャンじゃないのに、そんなことを言ってくれて。英子は」
「嬉しかったし、恥ずかしかった」
英子から話題を振らせてしまったから、俺は頑張って、
「俺英子と結婚したいもん。英子とずっと一緒にいて、老人になってもいつまでも手をつないでいたい」俺はそう言って、英子の頬を人差し指でつんつんと軽くつついた。
「何、くすぐっい、やめて」
俺は何回も何回も軽くつついた。そうしたら英子は、俺の両手を英子の両手で握りしめて、俺の目を見ながら。
「私も修三君と結婚したい。おし、いくぞ、修三」英子はそう言って、俺の右手を引っ張って早歩きをした。英子の家に着く時間がいつもより早く感じられた。

おしまい
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登場人物紹介

篠崎修三・・・20歳で初めて出来た彼女がクリスチャンだった。

佐藤英子・・・修三の彼女。3年前にクリスチャンになった。ちなみに修三とは保育園の時の同級生

上田基一・・・修三と同じ大学で同級生の友達。両親がクリスチャンで、小学校に入る前から教会に通い14歳の時に洗礼を受けてクリスチャンとなる。高校に入ったころから、高校3年生あたりから教会生活やクリスチャンに疑問を抱くようになり、大学に入学してから間もなく教会を離れる。現在は彼女、飲み会など遊ぶことが楽しく、教会を離れて良かったと思っている。

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