39歳 柳沢さん(女性)の相談 その5
文字数 1,351文字
田原すみれ先生と柳沢さん
「なんで、その人と付き合おうと思ったの」
「だってすごくモテるんだもん(笑)なんでかな、清潔感があるというのか、何なのかうまく説明が出来ないけれど、モテるの。優しい、うん、徹底して優しい人だった。」
「素敵じゃない。私も昔モテたんだけどなー。そういう素敵な男性を見抜く力がなかったんだ」
「だって柳沢さん、女優さんみたいに綺麗じゃない。華があるし、美人だし。たくさん男の人が寄ってきたでしょ」
「20代後半くらいまではね」
「どんな感じに?」
「会う人、会う人に食事に誘われたり、告白されるの。私馬鹿だから、すぐについていって、一緒にお食事をするの。そんなことが、高校時代からずっと、約15年間くらい毎日続いたの」
「すごい、へーそんな人生があるんだ」
「ね、もう昔の話だけれども。早くして結婚をしていく友人を馬鹿にしていたの。みんな妥協ばかりして、可哀そうってね。そして、自分は絶対に妥協をしないって心に誓ったの」
「ちょっと、わかる。私も結婚したのは。早くなかったし」
「でしょ。でもさ、この人だって思った人に限って、病的に心配性だったり、浮気性だったり、付き合った時は幸福の絶頂だったのに、幸運だと思ったものが、結果的に私の自由を奪ってしまうの。それって不運っていうんだなって思ったの」
「ふんふん」
「じゃあ、今は昔に比べたら全然モテないけれど、不運って言ったら、不運とは思えなくて、自由があるっていう面からすると幸運かもしれないって思うんだ。だって、幸運に向けてしっかり練ったはずの計画って崩れることが多くない?」
「いつもそんなことばっかり(笑)」
「でしょ。でも若い時は何が何だかわからなかったから、いろんな人を馬鹿にしていたの。でも、今少しだけ大人になったなあと思うのは、人を、物を、社会を馬鹿にすることほど、無駄、というより、自分に跳ね返ってくることはないなあって思うの」
「へー、私も反省しなきゃ。でも、なんでそう思うようになったの」
「だって、39歳まで生きると色んなことが起こるじゃない。あれ、いやだ、もうこのセリフおばさんじゃん」
「大丈夫、私たち立派なおばさんだから」
「熟女?」
「うん、熟女(笑)」
「でね、不運が重なったり、さっきも言ったけれど、幸運だと思ったことが、不運につながってしまったりしてさ、馬鹿にしていた私がさ、いつのまにか馬鹿にされているの」
「どんな感じに?」
「この前さ、横断歩道で信号を待っていた時に、反対側に背が高くて、綺麗な高校生の娘がいたのね、横に彼氏っぽいイケメン君がいてさ。私その日は、ほとんどお化粧もしないで、外出していたから、よほどおばさんに見えたんだろうね、横断歩道が青に変わって近づくと、私の顔を見て、私は絶対あんたみたにはならないって睨みを利かした、目にそう書いてあるの。人生ってそういうふうに出来ているのかって、私学んじゃった。ほかにも色々あるけれど。でさ、こっからがすごく自分を嫌いになっちゃうんだけどさ、その女子高生もまた、自分が年を取ると私と同じ事を繰り返すんじゃないかって、そう思うの。だから、絶対に馬鹿にするのはいけないって、今は本当に思うわ」
「うん、なんかわかる気がする」
おしまい
「なんで、その人と付き合おうと思ったの」
「だってすごくモテるんだもん(笑)なんでかな、清潔感があるというのか、何なのかうまく説明が出来ないけれど、モテるの。優しい、うん、徹底して優しい人だった。」
「素敵じゃない。私も昔モテたんだけどなー。そういう素敵な男性を見抜く力がなかったんだ」
「だって柳沢さん、女優さんみたいに綺麗じゃない。華があるし、美人だし。たくさん男の人が寄ってきたでしょ」
「20代後半くらいまではね」
「どんな感じに?」
「会う人、会う人に食事に誘われたり、告白されるの。私馬鹿だから、すぐについていって、一緒にお食事をするの。そんなことが、高校時代からずっと、約15年間くらい毎日続いたの」
「すごい、へーそんな人生があるんだ」
「ね、もう昔の話だけれども。早くして結婚をしていく友人を馬鹿にしていたの。みんな妥協ばかりして、可哀そうってね。そして、自分は絶対に妥協をしないって心に誓ったの」
「ちょっと、わかる。私も結婚したのは。早くなかったし」
「でしょ。でもさ、この人だって思った人に限って、病的に心配性だったり、浮気性だったり、付き合った時は幸福の絶頂だったのに、幸運だと思ったものが、結果的に私の自由を奪ってしまうの。それって不運っていうんだなって思ったの」
「ふんふん」
「じゃあ、今は昔に比べたら全然モテないけれど、不運って言ったら、不運とは思えなくて、自由があるっていう面からすると幸運かもしれないって思うんだ。だって、幸運に向けてしっかり練ったはずの計画って崩れることが多くない?」
「いつもそんなことばっかり(笑)」
「でしょ。でも若い時は何が何だかわからなかったから、いろんな人を馬鹿にしていたの。でも、今少しだけ大人になったなあと思うのは、人を、物を、社会を馬鹿にすることほど、無駄、というより、自分に跳ね返ってくることはないなあって思うの」
「へー、私も反省しなきゃ。でも、なんでそう思うようになったの」
「だって、39歳まで生きると色んなことが起こるじゃない。あれ、いやだ、もうこのセリフおばさんじゃん」
「大丈夫、私たち立派なおばさんだから」
「熟女?」
「うん、熟女(笑)」
「でね、不運が重なったり、さっきも言ったけれど、幸運だと思ったことが、不運につながってしまったりしてさ、馬鹿にしていた私がさ、いつのまにか馬鹿にされているの」
「どんな感じに?」
「この前さ、横断歩道で信号を待っていた時に、反対側に背が高くて、綺麗な高校生の娘がいたのね、横に彼氏っぽいイケメン君がいてさ。私その日は、ほとんどお化粧もしないで、外出していたから、よほどおばさんに見えたんだろうね、横断歩道が青に変わって近づくと、私の顔を見て、私は絶対あんたみたにはならないって睨みを利かした、目にそう書いてあるの。人生ってそういうふうに出来ているのかって、私学んじゃった。ほかにも色々あるけれど。でさ、こっからがすごく自分を嫌いになっちゃうんだけどさ、その女子高生もまた、自分が年を取ると私と同じ事を繰り返すんじゃないかって、そう思うの。だから、絶対に馬鹿にするのはいけないって、今は本当に思うわ」
「うん、なんかわかる気がする」
おしまい