西川おばあちゃんのこと

文字数 888文字

わたしはぶどうの木で、あなたがたは枝です。人がわたしにとどまり、わたしもその人の中にとどまっているなら、そういう人は多くの実を結びます。わたしを離れては、あなたがたは何もすることができないからです。(ヨハネ15:1~11)


次の日曜日に俺と英子は、田原先生に時間を月に作ってもらい、牧師室で話をした。先生の奥様のすみれ先生も同席した。
「先生、教会の喫煙所を作ったのは、私は良いことというか、神様の元に色んな人が近づけたのは、いいことだと思うんです。でも。一方で西川おばあちゃんが教会を離れてしまいました。今まで、教会の入り口にある生け花を綺麗に整えてくれて、いつも笑顔で、謙虚で、それでいて、財政的なこともたくさん貢献してくれて、そこまでして喫煙所が必要だったのでしょうか」
英子は少し語気が強くそう言った。
「英子さん、聖書のヨハネ15:1~11を一緒によまないか」田原先生はそう言って、田原先生と田原先生の奥様、英子がその箇所を開いて、俺にも見えるようにしてくれて、一緒に読んだ。
「先生は、すみれ先生と二人でジーザス教会を開拓した際に、神様に祈った。先生は会社勤めをしたから、多少お金が残っていたから、この教会を賃貸で借りることが出来たんだ。妻といろいろなことを祈った。いろいろな人が来ては、去っていったし、残ってくださった。その一人が、西川おばあちゃんだった。あった時は、もちろん、僕らも人柄もわからければ、経済的な面でご支援をいただけるということは知らなかった。西川おばあちゃんはね、平日でもよく教会に来た。詳しくは言えないけれど、いつも泣いていた。私やすみれはずっと話を聞く。一番長い時は、3時間半だった」
「そうか」俺はそれ以外言葉が続かなかった。そして、田原先生が続いた。
「僕らは、西川おばあちゃんがいてくださったから、教会を始めたわけではない。もちろん、西川おばあちゃんは功労者で、今だって、連絡を取っている、私の愛が足りなかったってね」
「そうなんですね」英子は少し、安心した声でそう言った。俺は心の中で、アーメン!!何故かそう叫んだ。

おしまい
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登場人物紹介

篠崎修三・・・20歳で初めて出来た彼女がクリスチャンだった。

佐藤英子・・・修三の彼女。3年前にクリスチャンになった。ちなみに修三とは保育園の時の同級生

上田基一・・・修三と同じ大学で同級生の友達。両親がクリスチャンで、小学校に入る前から教会に通い14歳の時に洗礼を受けてクリスチャンとなる。高校に入ったころから、高校3年生あたりから教会生活やクリスチャンに疑問を抱くようになり、大学に入学してから間もなく教会を離れる。現在は彼女、飲み会など遊ぶことが楽しく、教会を離れて良かったと思っている。

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