直美先生の最初の結婚

文字数 2,597文字

そのとき、ペテロがみもとに来て言った。「主よ。兄弟が私に対して罪を犯したばあい、何度まで赦すべきでしょうか。七度まででしょうか。」 イエスは言われた。「七度まで、などとはわたしは言いません。七度を七十倍するまでと言います。(マタイ18:21、22)

高校3年生に受洗を受けて、クリスチャンになった時、彼から聖書をプレゼントされたの。もしかして、私がクリスチャンになって喜んでくれたのは、彼がいずれクリチャンホームを築くための、お嫁さんの候補
に入れてくれたんじゃないかって勝手に想像して、興奮しちゃったわ。
それくらい彼のことが好きでたまらなかったの。
その後、私は高校を卒業をして、保育士になって、彼は半導体のメーカーに就職して、忙しくて疲労もたまっていると思うのに、礼拝の賛美リーダー、礼拝後の青年会のリーダーを毎週していたの。信仰が熱い人で、いつも熱心だったから、私たち若い娘だけじゃなくて、教会の婦人達、牧師婦人からもすごく好かれていたわ。そんな彼が私が23歳の時に、青年会が終わったあと、二人で話したいから今日は夕方まで教会にいてくれないかって言われたの。その時は、私も賛美の奉仕か教会学校の奉仕を頼まれるのかなと思って、夕方まで教会に残っていたの。5時前にはみんな帰って、教会には彼と私と、牧師室にいる先生の3人だけだったの。なんだろうと思ったら、彼が私に椅子に座ろうといって、お互い椅子に座った後、彼がこう言ったの。
「神様に生涯のパートナーのために祈っていると君が示されるんだ。
でも、君は綺麗だし、ただ僕の欲であって、神様の御心ではないかと思いながら、祈っていても、君が示されるんだ」
「これクリスチャンの世界ではなかったら、単なる詐欺師か頭がおかしい人よね」直美先生がそういうと笑いが起こった。
「でもね、クリスチャンの世界では、こういう話をよく聞くじゃない。
だから、彼は本気で言っているなとすぐにわかったの」
「実は諸住先生にも相談したんだ。そしたら、先生もいいんじゃないですか、言ってくださって」
「え、私?」
「そう、直美さん。」彼がそういうと、牧師室から諸住先生が出てきて、
「私たち、プロテスタントのキリスト教は、牧師が結婚相手を決めるようなことはしない。それは直美さんもしっているよね」
「はい」
「直美さんも一度考えいただけないかな。そして、二人とも祈っていかないかな。もちろん私も祈る。もう君らも結婚してもおかしくない歳だ。先生は御心だと思っているんだ。ただ、御心、神様の働きがあるときはサタンが攻撃してくる。だから二人は教会以外では合わないようにしてほしい。誘惑に負けと思うから。でも、メールを交換して、お互いをもっと知ることが大事だと思う。直美さんはどう思う」
「はい、考えてみます。また祈ってみます」私はそう落ち着いて言ったけれど、もう内心は嬉しくて嬉しくて大興奮よ。その日は、携帯のメールアドレスを交換した後、先生が祈ってくださって、お互い別々の道で帰ることにしたの。そして、その1時間後には、彼からメールが来たの。嬉しくてしょうがなかったわ。それから毎日毎日メールをしたわ。私は教会に来て、洗礼を受けてから、祈り課題に彼と結婚できますようにって祈っていたの。でもさ、女性の方が前のめりになるとひかれちゃうんじゃないか、嫌われちゃんじゃないかって心配したから、そういうことは言わないでいたの。私は彼から好きだ、結婚したいというメールが来ても、私も好意をもっていますが、神様に祈って、神様がゴーサインを出すまで落ち着いて考えたいですって、あえてそう言うわけ。そうやって、少し冷静になっている態度をすると、彼から熱いメールがくるの。本当に舞い上がるほど、嬉しかったわ。でも、いつも彼から愛されている、それも私だけに本気で愛して欲しかったから、彼からのメールは本当に毎日嬉しかったし、もう寝られないくらい興奮した日もあったわよ。

それゆえ男はその父母を離れ、妻と結び合い、ふたりは一体となるのである。(創世記2:22〜24)
そうこうしているうちに、3か月が経過しようとするうちに、牧師室に、礼拝が終わってから、夕方に彼と私が牧師室にくるように先生に言われて、その日も5時くらいに牧師室で三人で話したの。先生は、
「どう思う、直美さんとのことは」そう彼に問いかけると、彼は
「御心だと思います。教会以外で彼女と会うこともなく、メールでのやり取りでしたけれど、彼女はいつも祈ってみますと、信仰をもって神様の御心か確認したいと祈っていました。僕は彼女と結婚したいし、御心だと思います」
「直美さんは、どう感じた」
「最初は何が何だかわからなくなったけれど、連絡を取り合ううちに、彼の熱心な私への気持ち、影で教会以外で会おうとか一切なかったし、誠実さ、信仰がある方だと思い尊敬しました。こんな私でよかったら、本当に私でよいなら結婚させていただきたいです。」私がそういうと、
先生は、創世記2:22〜24の「それゆえ男はその父母を離れ、妻と結び合い、ふたりは一体となるのである。」の聖書の箇所をよんだ後、
「あなた達は、結婚しなさい。私だけでなく、教会のみなさんも喜んでくださると思う。今から祈ります」
「先生はそう言って、私たちのために祈ってくださった。あくまで謙虚なコメントをしていたけれど、私は彼以上に舞い上がっていたわ。でも、それを必死で隠していたの。だって、清楚で一歩引いた方が、彼は私を愛して、守ってあげたいと思ってくれると思ったから」先生話をそう言いながら、顔を赤らめて、少女のような表情をしていた。

「私たちは、その半年後に教会のみんなに祝福されながら結婚式をあげた。本当に幸せだった。初めてキスしたのが、結婚式だったの。女として、こんなに興奮、幸せなことはなかったわ。教会の若い娘たちは祝福してくれたけれど、どこか顔を引きずっている娘もいたけれど、そのj娘たちのことを考える余裕なんかなかった。本当に回りが見えなかった。本当に幸せだった。そして結婚してから模範夫婦として、半年後には、結婚している夫婦を対象にしたセミナーの講師を二人でしたの。今考えると、先輩夫婦に対して発言、指摘したり、おこがましいったらありゃしないわよね。

おしまい
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登場人物紹介

篠崎修三・・・20歳で初めて出来た彼女がクリスチャンだった。

佐藤英子・・・修三の彼女。3年前にクリスチャンになった。ちなみに修三とは保育園の時の同級生

上田基一・・・修三と同じ大学で同級生の友達。両親がクリスチャンで、小学校に入る前から教会に通い14歳の時に洗礼を受けてクリスチャンとなる。高校に入ったころから、高校3年生あたりから教会生活やクリスチャンに疑問を抱くようになり、大学に入学してから間もなく教会を離れる。現在は彼女、飲み会など遊ぶことが楽しく、教会を離れて良かったと思っている。

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