神様からの恵み

文字数 4,007文字

悲しむ者は幸いです。その人は慰められるからです。(マタイ:5・4)

そんなこんなで、結婚してからあっという間に4年間が経ってから、彼が平日返ってくる時間が、今まで8時くらいだったのに、12時頃になってきたの。会社の付き合いもあるしと最初は気にしていなかったんだけれど、ベロベロによって帰ってくる日もあったし、何か違和感を感じたの。見ちゃいけないなと思って、携帯を見ると、今まで携帯に暗証番号なんてしていなかったのに、暗証番号がかけてあるの。彼の生年月日や私たちの結婚記念日とか4桁の番号を入れても解除されないの。だんだんあやしいなと思っていたら、ある日突然、彼から、先生と話をして、教会の奉仕を一旦休むことにしたって言うの。私に相談もなく言うから、変だなと思ったけれど、彼も平日忙しかったし、30歳を超えていたし、「今までお疲れ様」って、労いの言葉をかけたの。でも、私に何も相談してくれなかったのは、不満でした。それから1か月後の
土曜日の朝、起きたら、彼が正座しているの。私がどうしたのって、目をこすりながら聞いたら、
「ごめん。妊娠した」って。私はパニックになって、彼の髪をぐしゃぐしゃにしながら、
「何、もう一回分かりやすく説明して」って言ったら、1年前から会社のアシスタントの娘と付き合って、平日の夜に会うようになって、その娘のお腹の中にこどもがいることが一昨日わかったって。それを聞いて、私は彼の首根っこをつかんで、リビングに連れていって、目にするもの全部彼に投げつけたわ。もう騒いで発狂して、なにをいったかほとんど覚えていないの。私、怖いでしょ。それをね、3時間くらいずっと続けたの。それでも、怒りが収まらなくて、その女を殺しに行くとか言って、包丁をもって、玄関にむかうと彼が必死に止めるの。彼を本当に刺す寸前だったわ。でも、今思うと本当にゾッとするけれど、その瞬間だけは冷静になって辞めたの。でも、私は彼の鼻を噛みついて、彼を突き飛ばしたの。ね、本当に女って怖いでしょ」直美先生がそう言うと、俺は英子を見た。真剣な眼差しでメッセージを聞いていた。英子も怒るとそんな風になるのか気になった。
「それで、私は実家に帰って、一か月には離婚届けを押して、ちゃんちゃん。終わったの。教会は私たちの話題でもちきりだったみたい。私は体調を崩して、そとに出られなくなって、保育士の仕事を休職、教会なんてもちろんいけなかったわ。病院に行ったら、鬱病と言われて、実家でお母さんが面倒を見てくれて、ずっと寝込んでいたの。半年くらいしてかな、少しだけ回復して、教会に行きたいと思ったの。そして、行ったら、みんな私を腫れ物扱いよ。礼拝が終わったら、私と同世代の青年会で一緒だった娘が、大丈夫?、私たち祈っているからねって言ってくれたんだけれど、顔にざまーみろって書いてあるの、本当よ。その娘、彼のことずっと大好きだったもの。それからこの教会に行くのは無理だなって思ったの。それからクリスチャンのお母さんがこのままではいけないと思って、知り合いのアメリカにいるクリスチャンの家に泊めさせてもらうようお願いsて、アメリカに行くことにしたの。体重は減って、なんか呂律が回らない状態だったのを覚えている。で、アメリカに行ったら、びっくりしたの。すごく格好いいの、だって、みんな格好つけていなんだもん。カルチャーショックを受けたわ。すごく、自然で自由なの、本当に驚いたわ。自然を見て、神様は大きいな、教会に行ってもいないのに、神様の素晴らしいさを感じたの。本当にアメリカに来てよかったなって思ったの。その1年後に、父親の体調がおかしいとなって、日本に一時帰国したの。父親は甲状腺がんだったけれど、手術が成功してなんとか一命を取り留めたわ。そして、病院で諸住先生に会ったの。それから、彼とのことを初めて先生と話せたの。3時間くらいかね、病院の1階のロビーで。先生がこう言ったの、
「君のもと夫の肩をもつ気はさらさらない。でも、聞いて欲しい」ってね。私は、ふてくされながら聞いてみようと思った。
「笛筒(彼)君はね、中学3年生くらいから、先生、性欲が、性欲を感じてしょうがないんです。というから、私はね、いいよ、教会の人には言わないから、エッチな本でも読んで処理しなさい、って言ったの。でも彼はそれをしなかった。ねえ、普通の学生のようにエッチな本でもこっそり買ってみていればよかったのにね。」
直美先生が、そういうと学生たちがばつが悪そうに、急にうつむきだしたから、俺は笑うのを必死で堪えた。みんな考えていることも、していることも同じだなと思って、笑えた。
「高校になっても変わらず、悩みばかり先生に相談して、教会で見せる顔とは別人だったと言っていた。先生も一度奉仕を外してあげればよかたのに、若い子たちが増えて、先生も教会が大きくなることを増えていることを誇りに感じていて、正直、どんどん教会が成長していくには彼の存在は欠かせなかった。先生は、彼を戦力として考えてしまったと、後悔していると仰っていたわ。そのことを聞いてからね、私、彼はもそごくかわいそうな人だったんじゃないかと思ったの。私たちに見せる顔の裏には、悲惨な葛藤があったんだってね。先生はこうも続けたわ、彼は、神様からそのままで愛されているとか、例え過ちを犯してでも、すでに神様はその彼の弱さをしって、赦してくださるという神様の恵みを知ることがなく、育ってしまったかもしれない、そんな彼を私は戦力として見ていた。本当に私はバカだった。こんなバカ牧師じゃなかったら、彼はもっと自然に育ったんだよ。彼は僕の一番の被害者だったんだ。本当に申し訳なく思っている。彼が君との結婚の後に爆発したのは、sぷいう経緯があったからだ。直美さんも僕の被害者だ」って先生は言うの。
「そんなことない、って私の言い分はそう言えたけれど、彼が被害者だってことはそうかもしれないって思ったの。彼は教会生活を神様からの恵みで過ごしたのではなくて、修行僧のようにストイックに過ごして、壊れそうで、私はそんなことを気づけなくて、彼は爆発した。私も彼の浮気の被害者だったけれど、彼もキリスト教という宗教の被害者だったの。命ある方のイエス様との関係より、形、形式、人からの期を重んじる宗教で燃え尽き症候群になった、純粋、純粋すぎる、そして教会の
成長のために戦力とされた被害者だったの。先生は本当に後悔していて、神様に悔い改めの祈りをして、彼とも私の離婚後に謝罪したんだって。
彼は、私に対して申し訳なく思っていることを真っ先に言ってくれたそう。でも、その後が衝撃的なのが、相手の娘は、浮気をしなければ、セックスまでしなければ、そういう有料の遊びはOKだよって。もっと人間らしく生きなよって言ってくれるんだって。彼はね、別にそれを求めいてわけじゃないんだけれど、生きていくのがすごく楽になったんだって。教会の中ではいつも息苦しくて、家庭を持ったら、クリスチャンホームの夫としてふるまわなければならない。もし、ミスったら妻が教会の人に相談して、情報が回る、そんなことばっかり考えるようになっていたんだって。私はそれを聞いてショックだったけれど、私は当時全く気付いてあげることが出来なかった。そしてもっとすごいのが、彼は先生にそういうお店に言ったことの感想を述べたんだって。快楽があった喜びはもちろんのこと、そういうお店にいってわかったのは、そういうお店の娘の感覚はいたって普通で、神様から愛されている一人の女性に過ぎないって。彼女たちは自分のように聖書とか教会に行くきっかけがなかっただけで、いたって普通で、自分の方がゆがんでいるって。イエス様がサマリアの女性を愛によって変えられたことを初めて理解することが出来たって。そういう女性を馬鹿にしていたことを悔い改めたいって、先生に言ったんだって。私ね、それを聞いて、ずっと私は彼の被害者だと思ったけれど、彼もまた被害者だったんじゃないかと思ったの。そんなことを考えていたら、過去の事実は変わらないけれど、相手の立場に立つこと、神様のように当時の状況を俯瞰的にみることによって、過去は決して今まで私が苦しんでいただけの狭い過去ではなくて、私に関係するみんな色々な思いがあることを知ったの。それで彼を赦せるようになって、私は今まで赦せなかった過去を赦しによって変えることが出来たの。それから、私の人生が変わったのは。また、アメリカに戻って、神学校に入学したら、今の主人に出会ったの。お禿ちゃん、まあ当時は今ほどお禿じゃなかったけれど、禿そうな細い髪だったし、ねえ、私面食いだから最初はなんにもトキメなかったの。」
俺はそれを聞いて、ばつが悪くなって、うつむいた。
「でも、彼と当時の同級生と一緒に過ごすうちに彼と一緒に過ごしたら、神様のすばらしさをいろんな人々に伝えられるんじゃないかって、思ったの。そして彼からプロポーズがあったの。もちろんOKよ、だって主人は、オシャレなレストランで、白ワインを飲みながらプロポーズをしてくれたの。宗教的じゃなくて、自然でしょ。彼は爆発しないと思ってOKしたの」直美先生はそう言って笑顔でメッセージを終えた。礼拝が終わるとみんなから囲まれていて、アメリカに帰る時間もあって、あわただしく帰えろうとしていたけれど、僕と英子を見つけて、
「あなたたちのことを祈っているからね。早く結婚しちゃいなさいよ」って言って、教会を後にした。夏目おじいちゃんが、言ったとおり、直美先生は本当にボンッキュッボンだったから英子が横にいるのに、興奮してしまった。英子と直美先生はハグをしていた。ボンッキュッボン、僕もハグをして欲しいなと思った。

おしまい
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

篠崎修三・・・20歳で初めて出来た彼女がクリスチャンだった。

佐藤英子・・・修三の彼女。3年前にクリスチャンになった。ちなみに修三とは保育園の時の同級生

上田基一・・・修三と同じ大学で同級生の友達。両親がクリスチャンで、小学校に入る前から教会に通い14歳の時に洗礼を受けてクリスチャンとなる。高校に入ったころから、高校3年生あたりから教会生活やクリスチャンに疑問を抱くようになり、大学に入学してから間もなく教会を離れる。現在は彼女、飲み会など遊ぶことが楽しく、教会を離れて良かったと思っている。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み