歩く

文字数 827文字

「明日のことを思いわずらうな。明日のことは、明日自身が思いわずらうであろう。」(マタイによる福音書6:34)

腕だけ羽交い絞めするような恰好で英子の首を軽く締めたままいた。
「こういうのは、いいの?」俺はすこし驚いていた。
「これくらい、いいんじゃない。」
「えっ」俺は咄嗟に声が出た。
「今日のメッセージを聞いて、少し私も自分の信仰を神様に矯正していただきたいって思った」それを聞いて、俺はキスもエッチもOKかも?すぐそういうことを考えてしまった。
「ねえ、修三君、この格好変だし、ずっと止まっているし、通行人の人に失礼だから、普通に歩こう」
「そうだね」俺はそう言って、今日のメッセージで、どういうことが解禁になるのかわくわくした。もしかして、キス?はたまた。そんなことを考えるとにんまりしてしまった。

「歩こう」英子はそう言って、俺の手をつないで、歩いた。俺は口笛を吹いた。歌は自分でも意外だったが、今日聞いた讃美歌だった。
歩く 英子と一緒に 
歩く 英子の手をつないで 
歩く 初恋の人と
歩く 口笛を吹きながら
歩く 横にいる英子をたまに見ながら 英子は見つめ返してくれた
歩く こらからも 
歩く 英子と一緒に
歩く たぶんこのままずっと
歩く いつか終わるのか?英子と一緒に手をつなぎながら歩くの
歩く 今はそういうことは考えたくない
歩く でも、そうなったらどうしよう。
俺はそんなことを考えて、手をつなぎながら 急に無口になった
「ねえ、どうしたの、英子、修三君に対して、なんか負担になることを言っちゃった」英子が悲しそうな顔でそう言った。
「ううん、そんなことないよ」そう言って、口角を下げながらそう言言った。
英子を自宅送ったら、コンビニの車の縁石に座っていて、あっ、そう言えば、と大事なことを思い出した。今は写メを開けても、バイーンという音はならないが、俺の頭の中では、大音量で
「バイ~イン!!」となっていた。

おしまい
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登場人物紹介

篠崎修三・・・20歳で初めて出来た彼女がクリスチャンだった。

佐藤英子・・・修三の彼女。3年前にクリスチャンになった。ちなみに修三とは保育園の時の同級生

上田基一・・・修三と同じ大学で同級生の友達。両親がクリスチャンで、小学校に入る前から教会に通い14歳の時に洗礼を受けてクリスチャンとなる。高校に入ったころから、高校3年生あたりから教会生活やクリスチャンに疑問を抱くようになり、大学に入学してから間もなく教会を離れる。現在は彼女、飲み会など遊ぶことが楽しく、教会を離れて良かったと思っている。

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