上田の涙
文字数 1,369文字
生まれるのに時があり、死ぬのに時がある。
(伝道者の書:3・2)
家に帰ってから、今日の英子との帰り道の会話を何度も反芻した。幸福、俺はその言葉にしたっている。英子と出会わせてくれたのが、神様なら素晴らしい神様だとも思った。
風呂からあがり、スマホを見ていると、上田からラインの着信が5回もあった。折り返しをすると、
「わりいな、何度も連絡して」上田の声はいつもと違って、
暗かった。
「どうした」俺はそう問いかけると。
「今日、リーダーが死んだ」
「リーダー?」
「俺の愛犬だよ」上田がそういうと、リーダーって名前じゃなくて、肩書につかうもんじゃねーかと思ったけれど、言うのを辞めた。
「そうか、いつだ。」
「今朝の9時半ころ。もう1年前から体力が落ちて、ぐったりすることが多くなったから、覚悟はしていたけれど、いざその日がおとずれるときちーな」
「そうか」俺はそういうしかなかった。俺には動物をかった経験がなかったからだ。
「俺が8歳の時にまだリーダーが赤ちゃんの時に、親父に買ってもらってよ、俺その時兄からいじめられていたから、リーダーと過ごす時間が本当に幸せだったんだ」上田はそういうと、会話が止まった。俺は何も言えなかった。5分くらい沈黙が続いただろうか、いや、時間が長く感じただけで、1分くらいかもしれない。
「俺が教会離れる時に、いろんな人から色々言われた。彼らからしたら、愛情をこめていったんだろうがな。正直両親が悲しい表情を見てつらかった。でも、俺は離れる決断をしたんだ。でも、そんな葛藤していた時期によ」上田はそう言って、また沈黙が続いた。
「家に帰ると、リーダーがいて、俺と一緒に頬をお互いすりすりするんだ」上田は涙声ですりするんだと言った。
「わりいな、修三、付き合わせてしまって」上田はそういうとしくしくと涙を流しながら、しばらく言葉を発さなかった。
「大丈夫か」俺は上田を心配した。上田と話をして、40分くらいたとうとしていた。
「修三」ようやく上田が話はじめた。
「なんだよ」
「お前、いい奴だな」
「いや、お前もだよ。愛犬がなくなったことで、ここまで悲しむお前の方がいい奴だよ」
「俺ら、ずっと仲良くいこうな」
「なんだよ、くさい言葉を言って、当たり前だろ」俺は上田からそう言ってもらって、嬉しかった。
「修三、お前には友情を感じるよ」
「なんだよ、またまたくせーな。恥ずかしいじゃねーか」
「修三、知っているか」
「何が」
「友情って、友が情けないと書くだろう。本当お前は情けない友だよ」
「はっ?おめー意味わかんねーよ」
「お前は情けない友だよ」
「なんだよ、お前の方が情けねーよ」愛犬の死でめそめそ泣きやがってと言ってやろうと思ったが、さすがにそれはやめた。
「俺は少なくと、修三より情けなくねーよ」
「あーなんだかムカつくな」
「今日は泣かせてくれよ」
「なんなら友情のくだり、いらねーわ」
「お前には友情を感じるよ」上田はまたそう言ったから、
「それじゃ、大変だったな。じゃーなー、切るぞ」俺はそう言って、ラインを切った。なんかむかむかするけれど。寝ようかなと思ったら、ラインにメッセージが入っていて、上田からだった。
「お前は情けない友だから、友情を感じるよ。今日はありがとうな」
おしまい
(伝道者の書:3・2)
家に帰ってから、今日の英子との帰り道の会話を何度も反芻した。幸福、俺はその言葉にしたっている。英子と出会わせてくれたのが、神様なら素晴らしい神様だとも思った。
風呂からあがり、スマホを見ていると、上田からラインの着信が5回もあった。折り返しをすると、
「わりいな、何度も連絡して」上田の声はいつもと違って、
暗かった。
「どうした」俺はそう問いかけると。
「今日、リーダーが死んだ」
「リーダー?」
「俺の愛犬だよ」上田がそういうと、リーダーって名前じゃなくて、肩書につかうもんじゃねーかと思ったけれど、言うのを辞めた。
「そうか、いつだ。」
「今朝の9時半ころ。もう1年前から体力が落ちて、ぐったりすることが多くなったから、覚悟はしていたけれど、いざその日がおとずれるときちーな」
「そうか」俺はそういうしかなかった。俺には動物をかった経験がなかったからだ。
「俺が8歳の時にまだリーダーが赤ちゃんの時に、親父に買ってもらってよ、俺その時兄からいじめられていたから、リーダーと過ごす時間が本当に幸せだったんだ」上田はそういうと、会話が止まった。俺は何も言えなかった。5分くらい沈黙が続いただろうか、いや、時間が長く感じただけで、1分くらいかもしれない。
「俺が教会離れる時に、いろんな人から色々言われた。彼らからしたら、愛情をこめていったんだろうがな。正直両親が悲しい表情を見てつらかった。でも、俺は離れる決断をしたんだ。でも、そんな葛藤していた時期によ」上田はそう言って、また沈黙が続いた。
「家に帰ると、リーダーがいて、俺と一緒に頬をお互いすりすりするんだ」上田は涙声ですりするんだと言った。
「わりいな、修三、付き合わせてしまって」上田はそういうとしくしくと涙を流しながら、しばらく言葉を発さなかった。
「大丈夫か」俺は上田を心配した。上田と話をして、40分くらいたとうとしていた。
「修三」ようやく上田が話はじめた。
「なんだよ」
「お前、いい奴だな」
「いや、お前もだよ。愛犬がなくなったことで、ここまで悲しむお前の方がいい奴だよ」
「俺ら、ずっと仲良くいこうな」
「なんだよ、くさい言葉を言って、当たり前だろ」俺は上田からそう言ってもらって、嬉しかった。
「修三、お前には友情を感じるよ」
「なんだよ、またまたくせーな。恥ずかしいじゃねーか」
「修三、知っているか」
「何が」
「友情って、友が情けないと書くだろう。本当お前は情けない友だよ」
「はっ?おめー意味わかんねーよ」
「お前は情けない友だよ」
「なんだよ、お前の方が情けねーよ」愛犬の死でめそめそ泣きやがってと言ってやろうと思ったが、さすがにそれはやめた。
「俺は少なくと、修三より情けなくねーよ」
「あーなんだかムカつくな」
「今日は泣かせてくれよ」
「なんなら友情のくだり、いらねーわ」
「お前には友情を感じるよ」上田はまたそう言ったから、
「それじゃ、大変だったな。じゃーなー、切るぞ」俺はそう言って、ラインを切った。なんかむかむかするけれど。寝ようかなと思ったら、ラインにメッセージが入っていて、上田からだった。
「お前は情けない友だから、友情を感じるよ。今日はありがとうな」
おしまい