バイトの面接

文字数 818文字

よく聞かないうちに返事をする者は、愚かであって、侮辱を受ける。(箴言18:13)

「上田君は、足が長くてスタイルがいいな。声もとおるし、ハンサムだし。」40歳くらいのおじさんの星の店長が一緒にバイトの面接を受けている上田をやたら褒めるから、俺は凹んだ。
「上田君は、ウェイターと厨房どっちをやってみたいかね」
「どちらでもやらせていただければやります」
「なぜうちを受けようとしたかったのかな」店長はまた上田に聞いた。
「人が生きていくために必要なことに、衣食住とよく聞きますが、食事を通してお客様に満足と喜び、コミュニケーションを通して心の中まで満腹にできる仕事を通して何か学べるのではないかと思いました。そして、星は、いつもよく混んでいるように見えるので、食事もお客様との関係も良いからこそと思いますので、そのような雰囲気の中で働きたいと思いました」上田は、女の娘を口説くための訓練をしているせいか、やたら上手な受け答えをした。
「そこまで言われると、しびれるな。うん、わかった。えー、隣の篠崎君は」
「えっ、あ、はい。上田と同じです。はい、すみません」
「それだけか、なんか物足りないな」
「上田の内容に足しますと、料理を作るのが好きなので、星という人気店で、料理を学びたかったからです」俺は、ふだん料理なんかしないくせにいつもの悪い癖で思い付きでものをいってしまった。
「そういうのを、最初に聞きたかったよ」
「すみません」こくりと頭を下げた。
「いいよ、謝らなくて。おし、君らは採用だ。上田君がウェイターで、篠崎君は厨房。なんか良いコンビな気がするな。期待しているよ」店長が満足そうにそう言うと、上田は
「ありがとうございます」と続き、店長と上田だけが握手をした。俺は握手なんかする気がないけれど、ありがとうございますと、こくりと頭を下げた。すると店長は俺にも握手をしてきた。さすが、社会人、店長だなって思った。

おしまい
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登場人物紹介

篠崎修三・・・20歳で初めて出来た彼女がクリスチャンだった。

佐藤英子・・・修三の彼女。3年前にクリスチャンになった。ちなみに修三とは保育園の時の同級生

上田基一・・・修三と同じ大学で同級生の友達。両親がクリスチャンで、小学校に入る前から教会に通い14歳の時に洗礼を受けてクリスチャンとなる。高校に入ったころから、高校3年生あたりから教会生活やクリスチャンに疑問を抱くようになり、大学に入学してから間もなく教会を離れる。現在は彼女、飲み会など遊ぶことが楽しく、教会を離れて良かったと思っている。

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