Folge 75 旅行マジック
文字数 1,813文字
お店が立ち並ぶメインストリート。
この辺り一帯の避暑地向けオアシスといったものかな。
山に籠りつつも、都会生活品が無ければ辛い。
そんな欲を満たしてくれる拠点だね。
別荘からはぞろぞろと徒歩で移動。
もう脚に痛みを感じている。
まだ始まってもいないのに温泉が恋しい。
中学一年の男子、タケルが友達とも遊ばずそんな毎日。
姉があのはしゃぎようだ。
一つ下の弟がそうならないのが心配になる。
本人がそれで幸せを感じられるなら良いけども。
オレではこういう弟にするのが精一杯だぞ、両親よ。
高校一年生に責任感じさせるなよ、まったく。
今できるのは――――
肩をがっちりと抱いて、頭を撫でてやるぐらいだった。
なんだかこっちが寂しくなっちまうよ。
本当にいい奴なんだよな。
可愛い。
周りの目を気にせずゲラゲラと弟を笑わせてみた。
恒例の腰揉み。
いつもすることだ。
それを弟妹は見事に忘れてくれるから効果抜群。
ははは。
しているところを想像すると面白過ぎる。
中一らしい所があって安心した。
モテて当然かもな。
女子はこういう所を見たくて弄りに来ているのかも。
学校じゃ毎日女子に囲まれているというし。
人気のある子には育っているのか。
両親よ。
こいつらの成長を見ないなんて人生損しているぞ!
代わりにたっぷり堪能しておくよ。
道路に倒れてしまったタケルを起こす。
じゃれつつも、さくみさの話は聞こえていた。
そんな感じなのか。
オレたちを気に入ってもらえた。
それは素直に嬉しい。
と同時に――――
おお。
我ながらすんなり言っちゃったな。
珍しい。
他人事の様に言うなよな、自分。
なんだよその褒め方。
あんまり嬉しくない。
カルラの一撃!
これにはツィスカを除いた一同大笑い。
ツィスカのゲージはミリしか残っていなさそうだ。
はいはい、仕方ないですね。
ツィスカをハグする。
そのために四人に囲ませてツィスカを隠す。
囲ませたのに目立っているのか?
そんなはずは……。
しれっと全員が囲みをやめる。
クスクス笑う人もいれば、爆発しろって目の人もいる。
目立っていたようだ。
はい。
長女から公衆の面前でキスされました。
軽くチュッとね。
あのさ、これって……。
オレが恥ずかしくない!?