Folge 62 呪い!?
文字数 1,505文字
下校途中。
靴の底がベロのようにべろ~んと剥がれた。
これでは歩けないと、仕方なく体育館シューズに替える。
恥ずかしい。
裸足よりはマシよ、と二人に励まされながら帰る。
道中カラスに襲われる。
痛すぎる。
も~いたい~よ~と歌を歌った。
途端にカラスはフラフラと飛び去った。
電柱のてっぺんや民家の屋根。
マンションのベランダや看板。
何羽にやられているんだか。
それぞれの場所に着いた途端、全羽地面へと落下した。
歌でカラスがやられただと?
まさか。
見たけども。
認めたくないのだよ。
明らかに美咲の目つきが変わっている。
咲乃からの圧が刺激になってしまったのかも。
美咲も独占欲は強いんだよな。
普段は隠しているけれど。
一度顔を出すと、ヤバい。
お、オレはどうしたらいいんだ。
まだどちらかをなんて、決められないし、決められる立場じゃないんだ。
だって、どちらも素敵じゃないか。
そうか。
妹の時と同じようにしよう。
それがオレのやり方で、それしかできない。
左腕で美咲、右腕では咲乃。
思いっきり抱きしめた。
力を増す。
痛くなるのは承知の上で。
その痛さもオレの気持ちとして受け取ってもらいたかった。
ただ、必死に抱きしめる。
そういや、ここは外だった。
体育館シューズを履いて、カラスに突かれ乱れた髪。
その容姿で美人姉妹を抱きしめている。
路上で。
カッコいい? カッコ悪い?
ご近所さんは慣れているはずだけど。
抱いているのは妹じゃないからなあ。
目立っているよなあ。
急に恥ずかしくなってきた。
二人を開放しよう。
美咲は変わっていないね。
結構オレなりに頑張ってみたのだけど。
本心からの勢い。
慣れていないから手が震えてきたよ。
お尻?
咲乃、どこ見てるんだよ。
ああ!?
爆撃までしてやがったのか!
また綺麗に谷間へ掛けやがって。
汚ねえなあ。
でも替えは無いし。
なんてこった。
体育館シューズを履いて、髪は乱れ、鳥糞を付けたズボン。
まさか。
これって、裕二の呪い!?
あいつ、侮れないな。