Folge 51 息抜きは大事
文字数 1,685文字
約束通り、美咲に勉強を教えてもらっている。
なんとなんと。
勉強の事とは言え、話しに困ることが無い。
いい雰囲気で勉強も捗りつつ会話が弾んでいる。
シャープの頭をこちらに向けて上目遣いをする。
女の子の上目遣いってさ、いいよね。
オレだけかな。
ズルいなあって思っちゃうよ。
その宣言はなんなんだ?
そりゃ近いと嬉しいけど。
せっかく二人きりだしね。
たぶん聞き耳たてているヤツがいるんだろうけれども。
今更気にするオレではない。
最近こういう時間が恥ずかしくなくなってきているなあ。
外だとまだ気になることがあるんだが。
美咲が生き生きしてきたな。
弟妹もそうだが、美咲たちも勉強できるんだよなあ。
才色兼備ってやつか。
そんな連中に囲まれているなんてな。
と言ったとたん、押し倒された。
倒され過ぎていないか?
一緒に勉強ってことで、普段の机ではない。
小型テーブルを囲んで床に座っている。
だからこそ押し倒しなんてできるわけだ。
斜めからのフォールを決められる。
カウントスリーじゃ起き上がれない。
はい、オレの負け。
今日は妙に落ち着いている自分。
これぐらいの事ならしてあげたくなっている。
咲乃と一緒にいることの方が多かったのは確かだから。
悪いと思うわけじゃないけれど、同じようにしていたいんだ。
二人共同じレベルで楽しんで過ごして欲しい。
オレにその手伝いができるのなら、いくらでも相手する。
何故とか、どちらがとか、そういうのは考えたくない。
どちらも同じように温かみを感じていてくれ。
頬をくっつけてきた。
双子でも全然違うこの感触。
妹と一緒だ。
それぞれ一人の人であって、双子は同じでは無い。
力説することかよ。
口に出していないからいいものの。
変なテンションになっているのかな。
頬ずりズリズリ。
彼女ではない同級生とのスキンシップ。
なんて思うと妙な興奮を覚えるな。
ヤバい。
いよいよ何かが麻痺してきていると思う。
何かがわからない。
頬ずりを止めて顔が正面に現れる。
部屋の照明が隠れて綺麗な顔を拝みにくくなっている。
はい、この体勢ならキスだよね。
オレも求めていたようだ。
しっくり来ているもん。
同級生とキスするのがしっくりとは。
段々自分が壊れていくような気がしているんだ、この頃。
止めなくていいのかな。
ヤバければ妹が止めてくれるのかな。
答えが出ないから、キスに集中して逃避することを選んだ。
――勉強の続き、できるかなあ。