Folge 88 甘い朝
文字数 1,786文字
ここで色々と振舞ってくれているのは美咲だ。
料理が出来るのは自ずと分かる。
しかし咲乃は――――
おいおい。料理が出来るかどうかを知るために付き合い始めたとか、そんな説明をしたくないぞ
え? んー、どうせ裕二が聞いてくるだろうしな。……他に聞いてくる奴いなかったな
ははは。友達いない方が助かるよ。ボクが独占できるからね
ボクがいれば困ることはないでしょ。妹ちゃんたちも離れないだろうし
そうなんだよな。さくみさが増えたら尚更寂しく無くなった
どうだろ。振り向いた時誰もいないとか、歩いている時腕を掴まれていないとか、そういう時は違和感がある
寝ても覚めても誰かにくっつかれている。
それが日常。
だから、少しでも触れられていないと、あれ? ってことになる。
もうスキンシップ中毒だね。でも大丈夫。ボクが離れないから
でも、キスしたり一緒に寝たり、結構スキンシップだらけだよ?
言われてみれば。
キスが当たり前になっている異性の同級生ってなんだ!?
どちらからもスキンシップしまくっているよな。
なんだこれ。
付き合っていることになるのかな。妹は違うように言うし
妹が彼女というのは? そっちの方がどういう状況なんだか
おお。
妹は彼女だった。
うん、なんだそれ。
全然悪い気がしていないからそのままにしているけどさ。
話しながらバーベキューをした場所へ移動。
まだ炭の匂いが残っている。
それを感じつつイスに座った。
ええっと。
何か忘れている気がする。
あ、料理だよ! 料理が出来るかどうかを聞いていたんじゃないか
座って思い出した。
バーベキューを食べた記憶が蘇ったからだ。
えへへ、気付かれちゃったか。サダメがボクの彼氏気分になってくれたら分かるんだよ、きっと
どうやってもそこへ持って行くんだな。ははぁん、さては出来ないな?
どうでしょうねえ。どちらとも言っていないもん。お楽しみにってことでいいじゃない
なんでおあずけなんだよ。いいじゃないか教えてくれたって
寒さから守ることもあり、並んで座っている。
お互いの腕は当然の様に触れていて。
腕に寄り掛かりながら教えないモーションをされた。
軽く押された圧が、嬉しいから困る。
妹が彼女ならいっそ彼女にしちゃうか。いや、彼女じゃなくてもこうしているし、やっぱり必要無いと思うんだよな
ボク的にはだけど彼女にしてくれたら、なんだかサダメのモノになれた気がして嬉しい
言葉の綾だよ。ほら、今主従関係とか言っているでしょ? あれでも嬉しいんだから
サダメが自分のだ! って想ってくれることを望んでいるのさ。それを『彼女』って言葉に込めているんだよ
はあ……なんとなく分かった気がする。そんなに好きなの?
うん、大好き! サダメ以外、考えられない。前にも言ったけど、自分でも驚く程好き
それに答えてあげられるのかな。咲乃の気持ちと比べられはしないけど、好きなんだよな
袖を掴まれて軽く引っ張られる。
反射的にそちらを見ると、上目遣いの咲乃。
このアングルとその表情、心が鷲掴みにされるんだってば。
ずるいなあ。それこそおあずけだよ
耳たぶを甘噛みされた。
最初は軽く歯を立てられた。
その後はハムハムと……。
その彼女って立場がピンと来ない。でも、妹級に好きにはなっていると思う
それって、彼女級じゃん! あん、聞けて良かったよ。もう、サダメ大好き!
やたら喜んでくれた。
たっぷりキスされた。
そして、二人を朝日が照らし始めていた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)