Folge 86 ババ抜き
文字数 1,437文字
全員がワイワイと、笑いながらゲームタイム。
ババ抜きですけど。
それもメンバーはオレ以外。
ツィスカ……。
厳しい戦いに自らしているようだぞ。
これは……見ている方が楽しい。
ところで。
なぜ見ているだけかと言うと……。
――――オレの獲得。
そう。
一緒に寝る人を決めようというゲームだそうで。
あのさ。
全員とワチャワチャして寝たいんですけど。
咲乃も気合十分。
そういう気になってくれることはありがたいよ、勿論。
一人を愛で捲るのも魅力的ではある。
ではあるのだけどさ。
せっかくの外泊。
全員で、という気持ちが強いんだけどなあ。
そうそう。
弟妹はいつでも一緒に寝られる。
今までもそうだった。
権利を得ないと独り占めできないのは、さくみさ。
このゲームはさくみさのため、かな。
本気でそう思っているツィスカの想い。
受け止め切れているのかな。
さくみさのため、というわけでもないのが分かったね。
床に座り込んで円を作っている連中。
動きを止めて全員がこちらを向いた。
いや、タケルは一人ニコニコとカードを眺めているな。
――――こ、これは。
全員即答かよ。
曖昧な気持ちの人がいない。
それなら全員の気持ちを受け止めたいよ。
この中の誰か一人とか、決められないし、決める意味が分からない。
全員が想いを伝えたらゲームは再開されていた。
オレは完全に固まってしまったので。
長女の号令ともとれる一言で気合を入れる女子勢。
タケルがズリズリと床をスライドしながら傍に来た。
どうしようと悩みかけていた。
それを察したんだな。
すぐにフォローを入れて来たよ。
こんなに助けられてばかりな奴なのに。
みんな、趣味が悪いんじゃないか?
趣味の良し悪し基準なんて知らないな。
悪く無いのかも。
タケルの言う通りにするか。
とりあえず四人と仲良くしていよう。
――――うん、そうしよう。