Folge 68 同棲強制
文字数 1,516文字
美乃咲家のアパートはすぐ近く。
角を二つ程曲がれば着く。
普通に歩いても時間はかからない。
それなのに気持ち早歩きで向かっている。
二人だけでいることが可哀そうになってしまうんだ。
着替え部屋を整頓するか。
そして完全にウチで済んでもらう方が心配しなくていい。
今回の様に、家に帰らなければならない時しか帰らない。
それなのに。
いつもいる存在となった今。
少しいなくなるだけで堪らなく会いたくなってしまうんだ。
あの二人に何か刷り込まれたのかと思うほどに。
美咲が指し示す必要も無く、咲乃の姿は目に入った。
正に寝落ちしている。
でもスヤスヤといい寝顔だ。
なんで両手を枕に寝落ち出来ているんだか。
妹と同じように抱えてベッドへ寝かせる。
お姫様抱っこでなのだが。
寝ているのならあり得ない事が。
両腕が首を抱えて来た。
そのままグイッと引っ張られる。
ベッドとオレで咲乃をサンドウィッチ。
離れようとしたが、強烈なロックが掛けられている。
以前に味わったものに近い。
これはもう、咲乃の必殺技にしてもいいんじゃないかな。
嬉しい事を言ってくれて有り難いんだけどな。
その言葉を聞いて、思いっきり唇を重ねた。
濃厚に。
……めっちゃ恥ずかしいのを我慢している。
姉妹が目を合わせてから落ち着かなくなっている。
首に回した腕の力が抜けた。
鍵を開錠したので美咲にも確認をする。
美咲にも咲乃にしたことをする。
恥ずかしいのを我慢して。
ここ大事。
ああ恥ずかしい。
でもこいつらと話しを早く済ますにはこれが一番だろう。
もう、今更だし。
めっちゃ手に汗かいているけどね。
もう、これでいいさ。
オレの精神衛生上必要な事なんだ。
心配はできるだけしたくないんだ。
平和でいたい。
そして賑やかに過ごしたい。
オレの都合を押し売りしているかもしれないんだよな。
こういう事をした後沸き上がる反省や後悔に似た感覚。
これは弟妹に浄化してもらわなければならない。
――――帰ったら甘えよう。