Folge 79 ペチペチ
文字数 1,339文字
休憩を終了させ、重い腰を上げた。
基本、全員が引き籠り系。
夏の日差しに体力がゴリゴリと削られてゆく。
そんな中でも元気アピールを絶やさないウチの長女。
主催者である美咲が答える。
それはマズい。
男子を蹴散らすなど、激しいことをする彼女ら。
でも、身体のパーツは全て弱い方だ。
タケルも身体能力は高いが、肌や眼などは弱い。
習い事をしていた頃はアザが妙に目立ったものだ。
タケルと二人で腹をペチペチ軽く叩いてみせる。
ペチペチ。
ペチペチ。
ぺ――――
優しく、しかし制止の意図がしっかりと伝わる掴み方。
カルラの小さな手にペチペチを止められた。
男子の幼稚な遊びは女子にとって苦痛でしかない時がある。
タケルとのペチペチ合戦は楽しかったな。
手ですら色気を感じるカルラの手を引いて歩く。
楽しい。
妹二人とは順番に何かをする。
勿論二人共って時もあるけれど。
それが当たり前の日常。
取っ替え引っ替えなんて気は無い。
どちらも同じように構いたい。
どちらからも慕われたい。
その一心でここまで来たし、これからもそのつもりだ。
傍から見ると変、なのかな。
兄が妹を、妹が兄を好きで好きでしょうがないだけ。
それだけなんだ。
弟も含む。
途中で買って被らせた麦わら帽子の
曲げては離し、曲げては離し。
全部聞こえている。
照れ臭いな。
そんな風に聞くことなんて無かったから。
と思うのと同時に、繋いでいる手の握りが強められる。
頭をちょこんと腕に当てる。
慣れているけど、これも今日は照れ臭い。
みんな気持ちをオープンにし過ぎじゃない?
山の空気が澄んでいるからかな。
無理やり理由付けしようとしてしまう。
旅の恥はかき捨て。
知人だらけで捨てられない。
持ち帰るか。