Folge 67 女子の気合
文字数 1,397文字
下着姿を見せられてから二時間。
まだ男子チームに交代の連絡無し。
こちらは選ぶなんて時間は必要無い。
ただ少しだけ歩けるようにしてさえくれれば。
それだけで済む話しなのだが。
タケルと着替え部屋へ行ってみる。
なんだか静かだ。
当たる確率の高そうな予想を立てながら中を覗く。
ドアを開けてみた。
んー、静かだね。
耳を澄ますと可愛らしい寝息が聞こえるぐらい。
……やっぱり。
タケルと手分けして片づけることに。
見事に部屋の隅々まで広げられた妹アイテム。
少し眺めていたい気もする。
だが、翌日に響くので拾い集め始めた。
明らかにそうだろう。
転がっている二人はどちらの寝顔もにやけている。
へえ。
タケルの口からそんな言葉を聞けるなんてね。
はっきりと聞いたのは初めてじゃないかな。
それはありうる。
この旅行は中止なんてあってはならないんだ。
暴走されたら誰も止められない。
あ、タケルは止められるな。
いや、二人同時は無理だ。
オレは気持ちを物理的にぶつけられて身が持たないだろう。
兄なのに妹を止められそうにないのが情けない。
下着に洋服、アクセサリ。
片づけてみて分かった。
全ての収納場所を知っていたことを。
こんなの裕二が知ったらどうなるんだろ。
口が裂けても言えないな。
久しぶりだな。
お姫様抱っこをしてそれぞれの部屋へ。
肌の露出が多すぎて兄は嬉しく困っているぞ。
タケルも姉を運ぶことぐらいは簡単だ。
家族で一番力がある。
掛布団をかけて軽く頭を撫でる。
そう言い残して着替え部屋へと戻る。
ようやく自分たちの替えを用意できる。
もちろん、秒で済んだ。
毎日の着替えを用意するのと変わらないからな。
何せ一泊だ。
着替えを持って自室に戻る。
ブルブルと震えながら携帯が鳴っていた。
なんと。
女子ってそんなに気にするのか?
寝ているあの妹たちを置いていくなんて心配しかない。
タケルに居てもらうことでそれは払拭できる。
美咲一人じゃ咲乃を動かすのは大変だろう。
同じように床で寝ていたら体に障る。
あの二人の事も妹と同じような心配をするようになった。
それぐらい馴染んだのかな。
一緒に住んでいるようなものだ。
今ではそれなりに二人のことも分かっている。
友達以上にはなっているんだな。
そんなことを思いながら美乃咲家へと向かった。