Folge 05 弟妹の学校生活
文字数 3,418文字
そう言ってオレの脇に顔を埋める。
臭わなきゃいいけどな。
無知?
そりゃオレはあんまり頭が良いとは言えないが。
ここで俺を罵倒するとは兄貴と知っての狼藉か?
脇から再び顔を出してオレと目を合わせてそう言った。
簡単に言うけど、どこで手に入れたんだ?
話の趣旨とは違うところが気になるじゃないか。
言っててそんな対応が良いのか悪いのか判断つかなくなっている。
でも、鞭で追い払うよりマシなのは確かだろう。
カルラは腕にペタっと頬を押し付けて甘えと誤魔化しを同時にしている。
可愛いなあ。
頭を撫でてあげたい。
だけども、言うまでもなく左腕にはもう一人くっついている。
眼を輝かせながら怒られるのを待つんじゃない!
家族以外のことは全く気にしない子たちだから困ったもんだ。
腕を上り棒のようにして拳一つ分程よじ登る。
楽しそうに犯行について語りだした。
こいつらもバカじゃない。
それなりに考えての行動なハズなんだ。
でもな、起きた事柄だけを切り抜くとこいつらが悪く聞こえてしまう。
そこがもどかしいんだよ。
タケルはジュースを飲みながら姉たちの話を聞いていた。
なんだよそれ。
もちろん、妹が悪行をしていることを気にはしていた。
だけど、それ以上に他の生徒が何かと問題有りな感じか。
じゃなきゃとっくに学校からオレが呼び出されているよな。
面談では褒められるばかりってことは学校側に伝わっていないのか?
男子に女子のような扱いをされるのがタケルの日常だ。
これぐらいなら何も問題はない。
ま、今日の報告はこんなもんかな。
なんだ!?
ツィスカが思いっきり腕を握りしめて大声出すから左耳がキーンとしてるぞ。
カルラも握る力を増して話に加わってきた。
全員の凍り付いた空気が本当に部屋の空気を冷たくしたぞ。
どうも相当な衝撃を受けたらしい。
だよね、告白する話すら無かったオレが告られるって話、初めてだもんね。
いや、凍てつき過ぎだろ!
そこまで固まられるとオレのモテない心が痛むだけだ。
もうちょっと兄貴を労わって欲しいなあ。
お前らワザとだろ。
兄貴で遊ぶな!
こんにゃろ。やり返してやったぞ。
…………。
ちょ、ちょっと。
ツィスカが大泣きし始めちゃった。
他の二人も鼻をズルズルさせてるぞ。
――やり過ぎたか。
こいつらはキャパ小さいくせに仕掛けてくるんだよな~。
まったく――――可愛い。
三人とも一気に笑顔に変わってそれぞれが動き出した。
家事全てろくにできないオレがよくもまあこれだけ偉そうに言うよね。
でも、せめて兄貴面ぐらいしていないと。
この子たちはすぐに不安がるからさ。
笑っていられるように兄貴役をしないとな。