Folge 66 好み合わせ
文字数 1,375文字
さて、いよいよ夏休みになりまして。
お泊り旅行の前日となり――
お着替え部屋では妹が持って行く衣類を選んでいた。
部屋中に広げられている。
男子チームは当分選べそうにない。
女子の楽しみでもあるのかな。
日数分あればいいと思うが。
今回は一晩だけだし。
そこまで気合を入れても、ねえ。
と言っても、別荘には最低限の日用品はあるらしい。
男なら着替えすら無くてもなんとかなるっぽい。
しかしウチにとっては珍しい旅行だ。
例え一泊でも楽しくなるのは当然だろう。
それにウチと美乃咲家は親が関知していない。
自分たちで考えて動けてしまう。
だが流石に最年長が高校一年生。
学校には話を通しておく必要があった。
あるはずなのだが、その辺はウチの親が学校側に了承を得ていた。
ただ不思議な事がある。
通常ならば先生の一人は引率者として付いてくるべき話。
部活の様にね。
それが先生に話をしたら、「気を付けて」の一言。
いいのか本当に!?
経由場所と別荘からの連絡を担任にする。
それさえすれば、自分たちだけで行けと。
緩い、緩すぎる!
地区の条例に引っ掛かるんじゃないのかな。
夜は藍原家で過ごすことになっている美乃咲姉妹。
ウチに置いておけないものを取りに帰るだけ。
そうか。
ずっとウチにいるんだな。
ふむ。
なんだかんだ言ってもお嬢様たちだ。
家事は苦手という偏見が頭に浮かんできてしまう。
実際の所が気になるな。
出来ても出来なくても納得してしまいそう。
男子チームはそれぞれの部屋で他の荷物準備を始める。
あると助かりそうなアイテムを揃えることにした。
怒られて喜ぶな。
顔はにやけているじゃないか。
駄目なのか。
そんなことは無いが。
なんだか顔色をピンク色に染めて戻っていった。
なんであんなに可愛いのか。
思わず両手を合わせて拝んでしまった。
ありがとうございます。
本当に妹なのか?
妹で楽しみ過ぎていないだろうか。
好きでしかないんだが。
オレの人生に乾杯!
……未成年だけど。