Folge 93 衝動
文字数 1,354文字
雰囲気に負けつつ、二人きりになる場所へと移動。
美咲が連れていきたいという所へ。
家ではそれなりにしているキス。
外では勝手が違うらしい。
誰もいないなら平気だと思うけどなあ。
外で見られていてもされるし、する。
その時にしたいと思うなら、キスぐらいはしちゃう。
よく知らない人とするわけじゃないし。
好きな人だし、好いてくれているはずだから。
安心してしたつもりだったのに。
受け入れてくれたわけだしさ。
森のセッティングが絶妙だったのかな。
演出ありがとうございます。
喜んでいただけましたよ。
勝手に思い込んでいるだけかも知れない。
自分の妄想だったらどうしよう。
そういう不安に駆られることがある。
だから、ストレートに好きかどうかを聞いてしまう。
聞くことが良くないことかも。
などという、新規不安がメンバー入りして煽ってくる。
少しの不安が仲間を連れてきやがるんだよね。
その不安チームに打ち勝つための行動。
それがスキンシップだと思うのさ。
弟妹との日常になっているのは、正にそれ。
すっごい早口。
次から次へと……まったく。
オレのツボってさ、みんなに丸見えなの?
したから。
したいから。
したいから。
したい時こそ。
するべきだと思う。
抱きしめて鼓動を落ち着かせてあげる。
あれ?
とんでもなく速くなるね。
このまま抱いていたい。
それはいつでもできる。
今は鼓動を鎮めよう。
抱きしめ交代。
やっぱり、されるのも好きだな。
寄ってきてくれた人が幸せを感じてくれている感。
役に立てているようで、好きだ。
目的地にまだ着かない。
立ち止まってばかりじゃ当然だね。
でもこうして二人きりの時間に浸れている。
これはこれで、ありでしょ。
普段に無いシチュエーションがやたらと楽しませてくれるんだ。
その楽しみを美咲と共有したくてさ。
咲乃に話したことも伝えなきゃいけない。
それを待ちきれないような感覚がさせたこと。
――――気持ちを伝えたい衝動が止まらない。