Folge 45 夏のイベント
文字数 2,110文字
最近の藍原家。
女子会が毎日開かれている。
賑やかだ。
それも二組の双子。
レアだよなあ。
妹たちが楽しそうで何よりではある。
ちょいちょいマウントの取り合いになるのが笑える。
そうなんだよ。
夏休みが近づいている。
休日が毎日になるんだよ。
オレ部活やっていないし、この身を守ることが出来る気がしない。
朝から晩まで……だろうなあ。
ここまでの話を聞いていなかったからさっぱりわからん。
全員がオレに振り向いた。
どうやらやらかしてしまったようだね。
今度は全員が呆れた顔をする。
オレ一人浮いているな。
いつものことだから慣れっこだい!
長女がプンスカしている。
そう言われても。
美乃咲姉妹も引きこもりだもんな。
ウチと同じく旅行の類は経験無しか。
おねだりしてますアピールの甘え声出すなよ。
可愛いけど。
全員が拍手して喜んでいる。
そんな感じで夏休みらしいことを珍しくすることに決定。
実はそういうことできなくて弟妹には申し訳ないなあと思っていた。
断る理由は全くない。
思い出になるようなことを残せていないんだ。
美乃咲家には感謝だな。
よし、オレも満喫できるように頑張りますか!
オレの彼女になる体験というとんでもない企画が終了して久しい。
終わってからはツィスカが有耶無耶にして保留状態。
弟妹がオレと寝られないことに耐えられなくなった、というのが理由。
どうも不眠症になっていたようで。
それはオレも心配で寝られなくなってしまう。
ということで、一旦元通りに。
タケルを含めた三人は、オレと一緒に寝る毎日で体調もご機嫌も良い。
嬉しいし可愛いよな。
オレも慣れ親しんだ睡眠スタイルでぐっすりと眠れている。
それもあってか、旅行の話に賛成できたのかもしれない。
なぬ!?
彼女が四人!?
なんという話だ。
さすがにそれは酷いだろ。
妹がこんなこと言うとは。
二人以外とオレが接触することを完璧に防御してきたのに。
心境の変化が起きるなんてね。
ちょっと寂しい。
二人は目を合わせてテンションを下げた。
そして同じ言葉を発する。
はあ。
こいつらはさあ。
可愛いなあもう。
美乃咲姉妹は話の合間で何度か割り込みたそうにしていた。
でも、割り込めないままオレからの答えを聞いて黙り込む。
そして旅行を楽しいものにしようということに話を戻す。
なんとか修正したけれど、気を使うなあ。
いや、まずはオレが楽しむことを考えないとみんなが楽しめないよな。
タケルとセッティングを頑張りますか。
そういうことなんだ。
楽しみってのを大事にしないと。
タケルの一言は説得力がある。
今回もこの一言を聞いただけで女子四人も納得してくれたようだ。
さて、藍原家には珍しいイベントだ。
近所では祭りの類は随分前から無くなってしまっていた。
花火大会へ行くこともしていない。
恒例にならなかったんだ。
初めてのイベントと言っていいことに挑戦。
分からないことだらけだけど、さあ、楽しもう。