Folge 46 妹語り
文字数 1,641文字
タケルと色々考えた結果が出た。
全員が初めての旅行だ。
あまり動き回ると疲れ果ててしまうのではないか。
確かに。
普段は部活もせず、必要最低限の生活行動のみ。
そんな連中だから一日もたないだろう。
ということで。
美咲に別荘周りのことを聞きながらスケジュールを組んでみた。
組んだって言えるようなものではない、と言えば想像に難くないだろう。
タケルは思いっきり伸びをしながらそんなことを言っている。
大して苦労せずに終わったのだが。
こういう計画さえ初めてで慣れていないからかな。
大抵こういう予定は無意味な事が多いように思う。
一緒に行くのはあの女子四人だ。
それぞれが勝手に動いて終了だろう。
伸び伸びと遊んでくれればそれでいい。
そうだった。
弟妹はあれだけワイワイしていても成績優秀。
心配する必要が無いんだ。
問題はオレだ。
美乃咲姉妹が加わってからは授業に身が入っていない。
二人掛かりでアタックしてきていたからなあ。
美咲は別クラスだけど授業が終わる度に登場していた。
咲乃は同クラスで隣の席だから、何かと絡んできていたし。
授業中に脚を絡めようとするとか、勉強どころじゃなかった。
タケルは体勢を戻してまで語り出した。
いつもそんなことを言っているけれど。
確かにカルラはオレの危機的状況を即察知して助けてくれる。
他にもオレの内面を常にチェックしているな。
それをありがたいと毎度思ってはいた。
ツィスカは言葉で表現できない気持ちが多いようで。
心も体もとにかくぶつけて分かってもらおうとするよな。
それも痛いほど伝わっている。
頭の後ろで両手を組んで天井を見上げる。
こういう何気ない仕草、お前は恰好いいんだぞ。
これがこの上なく暖かいから心地良すぎ。
なんだか妹についての話になってしまった。
タケルにしか話せないことばかり。
これって惚気になるのかな。
それでもいいや。
だって……あいつら好きだもん。
タケルの部屋で相手はタケル。
安心して話していたら――――
この三人はチームだったな。
タケルも姉のことが大好きだから、時々こんなことをする。
まんまと釣られてしまった。
ニコニコしている妹。
タケルはこれをオレに見せたかった、という考えもあったのかも。