Folge 59 弟の優しさ
文字数 1,583文字
んー、暑い。
汗がじわーっと出て来た。
そう、起きてしまった。
時間を確認したいんだけども。
言わずもがな、妹が抱き着いているので動けず。
いや、せっかくだから動きたくないのが本音。
背中に抱き着いたままなのはツィスカ。
ツィスカの肌がヌルヌルと擦れて……はあ。
それを楽しみながら眺めるカルラの寝顔と思いきや。
これ、脚だ!
上下逆に寝ているぞ。
カルラって寝相は良い方のはずなのに、よくこうなる。
ワザとかな。
何も考えずに変わったことをするような子ではないからな。
うん、綺麗な脚だ。
こんなの毎日のように見せられながら育ったんだ。
脚フェチになるのは必然。
誰にもオレを責めることはできまい。
何をしようとして、何を許した!?
夢でも気になる。
そんなに顔を擦りつけて大丈夫かな。
汗だくなんだが。
脚のタレントとしてコマーシャルにでも出られそう。
誰にも見せる気はないけどね。
う~ん。
顔中に脛を擦りつけてから寝返りを打つ。
続けてふくらはぎを擦りつけられた。
器用にグルグルっと回転する。
目の前は脚から顔に入れ替わった。
寝起き顔に薄暗さが味付けされた表情。
色気を受け止めるのが大変だ。
こっちはまだ高校一年なんだぞ。
その、こんなの頭がおかしくなりそう。
この雰囲気では自然に顔が近づく、と思う。
少なくともオレとカルラはそうなった。
唇に軽く触れたところで肩を甘噛みされた。
口を埋もらせながらそんなことを言う。
息で背中が熱くなった。
まったく、汗だくだよ。
へえ。
姉妹愛を感じてしまった。
なにこの二人は。
素敵過ぎる。
右半身にツィスカ。
左半身にカルラ。
こっちの気持ちも伝われと、思いっきり抱きしめた。
案の定、タケルは忍び込んでいた。
こいつは姉も大好きだからな。
二人共オレの所にいたら、確実に付いてくる。
電子音が一回鳴った。
すると爽やかな風が肌を撫でてゆく。
ああ、エアコンという物があったな。
汗が気化熱でひんやりとする。
――――これは!
妹を抱いて寝ろ、ということだね!
二人同時に頬ずりをする。
今度は途中で起きずに朝まで寝られそうだ。