Folge 61 圧勝
文字数 1,641文字
テストの結果が。
返されて。
科目ごとに。
一喜一憂。
逃避も始まり。
幻想を抱きだす。
そして、白旗を上げる。
全九科目の答案が返されたのだ。
友人である裕二が偉大なるオレに挑んだテスト。
大物に小物が挑んだのだ。
彼はよく頑張った。
しかし、戦いは儚い。
夢は夢でしかなかった。
両手で頭を掻きむしる。
フケがハラハラと落ちて行く。
何かしらケアをしろよと心の中で呟いた。
オレ、頑張ったぞ!
最後尾からいつもの順位に上がっただけだ。
とやかく言われる筋合いではない。
あれ?
後ろから首に抱き着かれた。
怒ったのに。
初めからそう言えばいいんだよ。
まったく。
スリスリ。
頬ずりが激しい。
可愛い所、あったか?
わからん。
もう、何の話をしているかわからなくなってきた。
帰ろう。
最大の峠は越したのだ。
後は。
そう!
お・と・ま・り!
確かになあ。
やり過ぎと言えるほどのキス休憩だった。
また腫れるんじゃないかと、実はテストより心配していたかも。
……一度も拒否はしなかった。
咲乃のキス。
パンチ力が半端なくって、今では癖になりつつある。
確かに途切れると禁断症状が出かねないな。
マジか。
すぐ顔に出るからなあ。
思っていることが筒抜けになりがち。
頬を両手でパンパンと叩いて気合を入れている美咲。
いやいや。
そういうの頑張らなくてもいいから。
頑張らなくても。
ちょっとぐらいなら頑張ってもいいけど。
無理しない程度にしてもらえれば、こちらは歓迎です、はい。
大声でなんという言い合いするんだ。
……させているのはオレか。
二人の争いを見たら、妹たちも参戦するよな。
テスト疲れ、取れるかな。