Folge 23 ネタ待ちの、名ばかり親友
文字数 3,687文字
体重。
変化なし。
ラブでは痩せない。
学会に提出しておくか。
そんな効果もあったのね。
オレ、症状が出ていないと妹達の身体の状態まで分からない。
う~ん、今日からそういう面も気にしながら入念にチェックしてみるか。
入念にチェック?
オレは何をするつもりなんだ!
◇ ◇ ◇
妙に長く感じる週末も終わった。
久しぶりに学校という気分。
いつものように白い目で見られながら教室へ入っていく。
そして例の奴がいるわけだ。
ふぐっ。
確かに何かあったと分かる言い方をしてしまった。
サダメじゃなくてただのダメな奴になっちまうじゃないか。
はあ。
こいつに今更黙ってられるような仲じゃなくなっているのが悔しい。
でもコイツすら話す奴がいなくなったら、完全にボッチだからなあ。
白い目で見られているのを緩和するものが何も無くなっちまう。
助けられているんだよなあ。
裕二はあえて付き合ってくれているんだ。
オレの肩を叩いてきた。
さらに肩をバシバシと叩いてくる。
やっぱりそうか。
そうなんだよな。
文句を言っちゃいけない立場なのかも。
だけど、血が許してくれないんだよ!
気づけばクラスの生徒は全員自分の席に着いていた。
教室へ一人の女子生徒を連れた担任が入ってくるのが見える。
おまけに見覚えがある女子だ。
咲乃じゃないか!
あれ?
一緒のクラスだったっけ?
はあ。
それは知らなかったし、ウチに来た時に言えよ。
生徒達は最初ポカンと口を開けて見ていた。
自己紹介をするために教卓の傍へ咲乃が移動。
すると、ざわつき始めた。
そっか。
オレは咲乃だってわかるけど、みんなは知らないんだ。
となると美咲だと思っていたりするわけだ。
おお!
ボクっ子がちゃんとお嬢様しているよ。
あの辺の切り替えが怖いところだね。
みんな揃って仕方なく動き出す。
なんでオレの横なの?
なんとなく察しはつくけどさ。
咲乃が横に座った。
目を合わさないなあ。
まだこちらの様子を伺っているところか。
あんな手紙を放り込んでくるぐらいだからな。
伺いまくっているよな。
こっちも何の返事もしていないし。
◇ ◇ ◇
一限目が終わってすぐに美咲が飛んできた。
クラスメイトは本当に双子なんだとあちこちで言っている。
そりゃあ美人双子は目立つからなあ。
あれ?
そんな双子がどこかにいたなあ。
しまった、すっかり忘れていたよ。
咲乃は集団が苦手だったな。
そのせいでオレと目を合わさなかったのかな。
合わせるどころではなかったというか……。
片手を胸に当ててホッとした様子を見せている。
吐いたりするって言っていたし、気になってしょうがなかったんだろうな。
あ、咲乃に袖を握られた。
二人が揃っているだけでも目立つ。
その上オレと話しているとさらに目立つわけで。
後始末が大変そう。
確かに少々疲れた顔をしている。
髪の毛にも疲れって現れるからなんとなくわかる。
テンションの調整が利かない子だ。
ネガティブに振ると酷いことになるんだな。
ああ、そういう子を無視できないんだよなあ。
ある意味オレのツボを突いてきていると言うか。
困った子だ。
美咲は黙ってオレと咲乃のやりとりを見ている。
何か考えていることあるのかな。
策があるなら言って欲しいところだけど。
握っている袖を引っ張られた。
ってことはまさか。
あ~あ。
クラスメイトの前で公開キスをお披露目。
オレは巻き込まれているわけだけど。
裕二を忘れていた。
というか、こいつがワザと存在を消していた。
絶対に何か起こると踏んでいやがったな。
そっち?
キスに反応したんじゃないのか!?
どっちと付き合っているかが気になったと?
はあ。
それノンブレーキだから。
長い週末だったよ。
それで学校へ来てみればこの状況だ。
目立ち方が不本意過ぎる。
裕二はこういうところで助かるんだ。
まあ、先生が来れば前の様に怒られるだけなんだけど。
美咲は戻っていった。
クラスメイトの目線をたっぷりと浴びながら。
咲乃はオレの言ったことで少々落ち込んでいるみたいだ。
俯いている。
そして、まだ袖を掴んでいる。
実はギリギリなんだろうな。
なんでこうオレが気になることをするのかね、この子は。
――――様子が変だったら保健室へ連れて行くか。