Folge 69 夢に逃げる
文字数 1,273文字
美乃咲姉妹も連れて来ている。
今は明日必要なモノだけを持たせて。
二人に会っていたわけだから、もちろん一緒に帰るさ。
ウチへ二人だけで来いなんて、夜に言えない。
そうだった。
まだ玄関先だ。
家の中で話せばいいこと。
蚊も入っちゃうしね。
そうかな。
全員揃うと楽しくなる。
あ、楽しくなっているのか。
とりあえず集まるリビング。
もうこの双子も目に入っていないと落ち着かない。
ソファーに座っているのを見ていると、ホッとした。
二人は座ったまま片手を握り合い、こっちをガン見してきた。
何かを言うつもりらしい。
ろくでもないことを言うに決まっている。
心を受け身の姿勢に変えた。
ろくでもないことをされるよりは、言うことを聞いてくれた方がいいさ。
でもな、その言うことを聞くってのは、違うよね!?
そうだった。
オレの心は何かとザルらしい。
父親の遺伝なんて嫌いだ。
タケルもそうやって受け入れていくし。
柔軟過ぎるんだよ。
後は妹たちだけども。
今日は本気で寝ているみたいだ。
これは明日の朝から騒がしそうだ。
荷物も用意させなきゃいけないしな。
早く寝よう。
えっと。
好きにさせていいのか?
彼女でもない同級生二人と一緒に寝るんだぞ。
今更だけど。
ああ、今更か。
じゃあ、いっか。
楽しんでしまおう。
……楽しむのか。
んーもういい!
寝てしまえばいいんだ。
そうだ。
夢の中へ逃げよう。
――――逃げさせて。