Folge 43 双子遊び
文字数 1,721文字
ぞろぞろと――
登校の朝。
普通に登校しているだけなのだけどね。
普通に六人で。
普通に兄と双子の妹と末っ子の弟と同級生の双子姉妹。
普通、だ。
普通、だろ?
普通、だよ。
普通に学校に到着。
そのまま教室にも到着。
裕二か。
二日ぶりなだけなのに。
なんだかすっげぇ久しぶりに思える。
毎週末が濃すぎるんだ。
へへ。
釣れた。
これはいけない。
この二人は何度もこの事で揉めている。
美咲がオレに告白をした後で咲乃はオレを気に入ってくれた。
そこから咲乃が明るくなったからと美咲は一歩引いていたんだ。
美咲が先に想いを伝えてくれたのは確かだ。
でもそれを乗り越えてきたと感じられるほど咲乃が想いをぶつけてくれた。
どちらの気持ちも本物で、オレは嬉しいし、感謝しかない。
そんな二人が勝ち負けとか、そういうレベルで争っては欲しくなかった。
二人同時に息を呑んだ。
普段、オレの話は大体スルーされてしまう。
それは少々気にしている面だけど。
だが、オレには必殺技がある。
みんなの元から去るようなことを
これは弟妹にも
好いてくれている人に使う技だから、オレにもダメージがある。
オレを好いてくれている人だよ。
何も無しに去ろうなんて思っていないから。
ただ、今の様に好きな子が気分悪くなる姿は見たくない。
だからこれを使っている。
うわぁ。
サンドイッチな上に物凄い力でスクラップにされそう。
ひぃ、って悲鳴まで聞こえたな。
この二人にもよく効くようだね。
二人同時にササっと離れる。
これ、面白いな。
裕二可哀そうに。
二人はどうも裕二がお気に召さないようで。
初めから厳しいんだよね。
そんなに悪い奴じゃないんだけどなあ。
あれ?
そんなに悪い奴?
そっか。
それなりに悪い奴なのか。
わからない奴だな。
オレに何かあるとさ……。
ほら。
愛が重いとこういうことに。
なんだかオレが守られてしまうんだけどさ。
オレが怒る暇も無いというか。
土下座しちゃったよ。
圧に負けたか。
他の生徒も当然この光景を見ている。
だけど巻き込まれないようにしているみたい。
なんだか笑えてくる。
嬉しくもなってきた。
二人の肩を抱き寄せてから同時に頭を撫でる。
無性にそうしたくなったのさ。
可愛いじゃん。
照れる美咲に喜ぶ咲乃。
これも妹が双子だから扱いになれているからかな。
おっと。
こんなこと口に出さないようにしないと。