第86話 ルドレイの町
文字数 3,475文字
俺達はブリーストンの町を発って2日掛けルドレイの町の入り口に来ていた。ルドレイは宿場町として栄えており、多くの旅人や商人が行き来していた。
ルドレイの外壁は高く厚さもあった。ただ、外から来る人は検問所で身分証を提示しないと中に入ることが出来ないのだ。
俺達は身分証を持っていないので検問所の列に並んでいたのである。そして、俺達の番がやって来たのだ。
「身分証の提示を……」
検問所の兵士が身分証の提示を求めてきたのだ。俺は少し戸惑いながら兵士に訊ねたのである。
「あの……、身分証を持っていないのですが……」
すると、兵士は俺達を怪しみながら言ったのだ。
「お前達は何者だ?」
彼等は俺と馬車の中のランシーヌ達をジロジロ見て訊いてきたのである。
「旅人ですよ」
俺は正直に答えた。すると、兵士は俺達を更に疑いの眼差しを向けてきたのだ。
「お前……本当に旅人なのか……? 馬車には大層な人数がいるようだが……」
「え、ええ……。大勢で旅をしているんですよ」
俺は適当に誤魔化しながら答えたのだ。
すると、兵士はランシーヌ達を見て言ったのである。
「お前達……怪しいな……」
彼はそう言って、馬車の中を覗き込んで大声を張り上げたのだ。
「おい! そこの女達! 馬車から出てこい!!」
そして彼は他の兵士達を呼んできて俺達を囲んだのである。
「お前達を連行する」
兵士はそう言うと、俺の腕を掴もうとしたのだ。俺は慌ててそれを振り払いながら言ったのである。
「俺達は何もしていない! 何もしていないのに何で連行されるんだ!」
すると兵士は俺を睨みながら答えてきたのだ。
「お前達が怪しいからに決まっているだろう! いいから来い!」
兵士はそう言って俺の腕を掴んで強引に連れて行こうとする。他の兵士達も馬車を取り囲んでいたのである。すると、俺の前にランシーヌが割って入ってきたのだ。
「悪いけど私達を連行するのは諦めてくれないかしら?」
そう言ってランシーヌは兵士を睨みつけた。すると、兵士は少し怯んで言ったのである。
「なんだお前は……!? 我々は怪しい連中を取り締まる仕事をしているんだぞ!」
「私には関係ないわ……」
ランシーヌは、そう言うと呪文を唱えだしていた。
「我を邪魔する者達を耄碌させよ! 呆けよ!」
彼女が呪文を唱えると兵士達は皆、ボーッとして目の焦点が合っていなかったのである。彼等は口をポカーンと開けて立ち尽くしていたのだ。
俺はそれを呆然と見ていたが我に返ってランシーヌに礼を言ったのである。
「助かったよ……。ありがとう……」
すると、彼女は俺に微笑んで答えたのだ。
「どういたしまして」
俺達は放心状態の兵士達を尻目にルドレイの町の中に入っていった。俺達は検問所を抜けると町の中心にやって来ていた。
ルドレイは宿場町として栄えているだけあって人通りも多く、多くの店が並んでいたのである。また、飲食店も沢山あって美味しそうな匂いが漂っていたのだ。
俺は美味しそうな匂いにつられて、町の中心にある広場にやって来ていた。そして、俺達はそこで休憩することにしたのである。
「はぁ……疲れた……」
俺が溜息を吐くと、双子達が俺の顔を覗き込むように見て言ったのだ。
「ラドリック、大丈夫?」
「疲れてるようね……」
「ああ……。検問所の兵士が意外としつこかったな……」
俺が溜息混じりにそう答えると、ランシーヌはクスリと笑い言ったのである。
「貴方は、その程度の事で弱音を吐いているの? そんなんじゃこの先持たないわよ」
「いや……分かってるよ?」
と言いつつ俺は広場を見渡した。すると、俺の目に1つの酒場が目に入ってきたのだ。それは昼前だと言うのに多くの人で賑わっていたのである。そして、店の中からとても美味しそうな匂いが漂ってきたのだ。
ぐう~、と俺の腹が鳴り鳴ったのである。その音を聞いた他の連中も俺の腹が鳴り出した音を聞いてクスリと笑っていた。
「ラドリック、お腹空いたの……?」
「何か食べましょう……?」
双子達はそう言いながら俺が見ている酒場を見て目を輝かせていた。どうやら、彼女達もあの店が気になっているようだ。俺は皆に提案をしたのだ。
「あの店で食事をしよう……」
すると、シャイラが呆れた顔をしながら答えたのである。
「ラドリックは食い意地が張っているわね。まあいいわ……行きましょう?」
こうして俺達は酒場に入っていった。酒場の中に入ると意外と広く席も沢山あって人で賑わっていたのである。俺達は店に入ると空いている席に座ったのだ。
そして、俺達はそれぞれ席に着くと注文して料理が運ばれてくるのを待っていたのである。俺が料理が来るのをまだかと思いながら待っていると、ランシーヌが皆に話し掛けてきたのだ。
「実は皆に話しておきたいことがあるの……。ベスを私達の仲間にした方がいいと思って……」
「ベスを?」
ランシーヌの言葉にニアが反応したのだ。彼女は怪訝そうな顔をしてランシーヌに訊ねたのである。
「何でベスを仲間にしないといけないの?」
「だって、彼女の能力は役に立つから……。それに彼女は真面目だし……」
ランシーヌがそう答えるとニアは不機嫌そうな顔で言ったのだ。
「信用できるって証拠はあるの?」
すると、ランシーヌは少し困った顔をして答えたのである。
「そう言われると困るんだけど……。でも、仲間にしても問題ないと思うわよ」
すると、今度はミラが話しに入ってきたのである。
「もし、ベスが裏切って私達を襲ってきたらどうするの? 彼女はサービラの元手下だから私の眷属化を解くと恨んでくるかもよ?」
彼女がそう言うとランシーヌは少し考えてから答えた。
「確かにそうね……。その時は私が責任を持って彼女を仕留めるわ」
ランシーヌがそう言うとニアもミラも納得したのかそれ以上は追及しなかったのである。すると、今度はシャイラが話に加わってきたのだ。
「私も元は他の魔女の配下だったけど、ランシーヌのおかげで今は皆の仲間として働けている。ベスもきっと仲間になってくれるわ……。だから、ランシーヌには感謝しているの……」
シャイラがそう言うと、ランシーヌは照れていた。俺はその様子を見て笑みを浮かべていたのである。
そして、暫くしてから料理が運ばれてきたのだ。料理はスープに塩漬けの肉、パン等であった。
俺達はそれぞれ料理を口に運んだのである。
「美味しい!」
ニア達は食べた瞬間そう言って喜んでいたのだ。俺も一口食べてみてあまりの美味しさに驚きを隠せなかった。そして、食べながらランシーヌに質問したのである。
「なあ……ベスを仲間にするには魔女の眷属の儀式をするんだろ?」
「ええ……。宿を取ったら、そこでするつもりよ」
ランシーヌはそう言うと食事の続きを食べ始めたのだ。それから、俺達は食事を済ませると酒場を出て宿に向かったのである。宿は酒場の近くにあってすぐに見つけることが出来た。
俺は宿泊の手続きを済ませると3人部屋を2つ取ったのだ。
そして、俺達は部屋に入ったのである。
「なあ……眷属にする儀式はいつから始めるんだ?」
俺はランシーヌにそう質問したのだ。すると、彼女は少し考えてから答えてくれた。
「そうね……。もう今から始めるわ……だから部屋から出て行って頂戴」
俺はランシーヌに言われた通り部屋から出て行こうとすると、双子達とシャイラが俺を呼び止めてきたのだ。そして、3人は言ったのである。
「ルドレイの町を散策しない?」
「出かけてみましょう……」
「この町で何か情報が集まるかもよ」
3人の申し出に俺は少し考えてから答えたのである。
「分かった……一緒に行こう……」
俺は双子達とシャイラと一緒に部屋を出て宿を後にしたのである。
俺達は宿を出てルドレイの町並みを見て回ることにしたのだ。様々な店が並んでいる光景に俺達はキョロキョロしながら歩いていたのである。
すると、ニアが俺に話し掛けてきたのだ。
「ラドリック……ここに武器屋があるよ」
そう言ってニアは武器屋を指差した。俺達が店内に入ると中には客がいた。その客達の中には兵士の姿も何人かあったのである。
「そうだ、俺の剣の手入れをして貰おう……」
騎士達との戦いで、俺の剣は刃こぼれをしていたのである。俺は店の奥にいた主人に剣の手入れを頼むと、俺の剣を手に取って作業を始めたのだ。
「剣の手入れをしてる間に、他の店を見て回りましょう……」
「ラドリック、行こうよ……」
「一緒に行く?」
俺は彼女達の誘いに乗って4人で町を見て回ることにしたのであった。
ルドレイの外壁は高く厚さもあった。ただ、外から来る人は検問所で身分証を提示しないと中に入ることが出来ないのだ。
俺達は身分証を持っていないので検問所の列に並んでいたのである。そして、俺達の番がやって来たのだ。
「身分証の提示を……」
検問所の兵士が身分証の提示を求めてきたのだ。俺は少し戸惑いながら兵士に訊ねたのである。
「あの……、身分証を持っていないのですが……」
すると、兵士は俺達を怪しみながら言ったのだ。
「お前達は何者だ?」
彼等は俺と馬車の中のランシーヌ達をジロジロ見て訊いてきたのである。
「旅人ですよ」
俺は正直に答えた。すると、兵士は俺達を更に疑いの眼差しを向けてきたのだ。
「お前……本当に旅人なのか……? 馬車には大層な人数がいるようだが……」
「え、ええ……。大勢で旅をしているんですよ」
俺は適当に誤魔化しながら答えたのだ。
すると、兵士はランシーヌ達を見て言ったのである。
「お前達……怪しいな……」
彼はそう言って、馬車の中を覗き込んで大声を張り上げたのだ。
「おい! そこの女達! 馬車から出てこい!!」
そして彼は他の兵士達を呼んできて俺達を囲んだのである。
「お前達を連行する」
兵士はそう言うと、俺の腕を掴もうとしたのだ。俺は慌ててそれを振り払いながら言ったのである。
「俺達は何もしていない! 何もしていないのに何で連行されるんだ!」
すると兵士は俺を睨みながら答えてきたのだ。
「お前達が怪しいからに決まっているだろう! いいから来い!」
兵士はそう言って俺の腕を掴んで強引に連れて行こうとする。他の兵士達も馬車を取り囲んでいたのである。すると、俺の前にランシーヌが割って入ってきたのだ。
「悪いけど私達を連行するのは諦めてくれないかしら?」
そう言ってランシーヌは兵士を睨みつけた。すると、兵士は少し怯んで言ったのである。
「なんだお前は……!? 我々は怪しい連中を取り締まる仕事をしているんだぞ!」
「私には関係ないわ……」
ランシーヌは、そう言うと呪文を唱えだしていた。
「我を邪魔する者達を耄碌させよ! 呆けよ!」
彼女が呪文を唱えると兵士達は皆、ボーッとして目の焦点が合っていなかったのである。彼等は口をポカーンと開けて立ち尽くしていたのだ。
俺はそれを呆然と見ていたが我に返ってランシーヌに礼を言ったのである。
「助かったよ……。ありがとう……」
すると、彼女は俺に微笑んで答えたのだ。
「どういたしまして」
俺達は放心状態の兵士達を尻目にルドレイの町の中に入っていった。俺達は検問所を抜けると町の中心にやって来ていた。
ルドレイは宿場町として栄えているだけあって人通りも多く、多くの店が並んでいたのである。また、飲食店も沢山あって美味しそうな匂いが漂っていたのだ。
俺は美味しそうな匂いにつられて、町の中心にある広場にやって来ていた。そして、俺達はそこで休憩することにしたのである。
「はぁ……疲れた……」
俺が溜息を吐くと、双子達が俺の顔を覗き込むように見て言ったのだ。
「ラドリック、大丈夫?」
「疲れてるようね……」
「ああ……。検問所の兵士が意外としつこかったな……」
俺が溜息混じりにそう答えると、ランシーヌはクスリと笑い言ったのである。
「貴方は、その程度の事で弱音を吐いているの? そんなんじゃこの先持たないわよ」
「いや……分かってるよ?」
と言いつつ俺は広場を見渡した。すると、俺の目に1つの酒場が目に入ってきたのだ。それは昼前だと言うのに多くの人で賑わっていたのである。そして、店の中からとても美味しそうな匂いが漂ってきたのだ。
ぐう~、と俺の腹が鳴り鳴ったのである。その音を聞いた他の連中も俺の腹が鳴り出した音を聞いてクスリと笑っていた。
「ラドリック、お腹空いたの……?」
「何か食べましょう……?」
双子達はそう言いながら俺が見ている酒場を見て目を輝かせていた。どうやら、彼女達もあの店が気になっているようだ。俺は皆に提案をしたのだ。
「あの店で食事をしよう……」
すると、シャイラが呆れた顔をしながら答えたのである。
「ラドリックは食い意地が張っているわね。まあいいわ……行きましょう?」
こうして俺達は酒場に入っていった。酒場の中に入ると意外と広く席も沢山あって人で賑わっていたのである。俺達は店に入ると空いている席に座ったのだ。
そして、俺達はそれぞれ席に着くと注文して料理が運ばれてくるのを待っていたのである。俺が料理が来るのをまだかと思いながら待っていると、ランシーヌが皆に話し掛けてきたのだ。
「実は皆に話しておきたいことがあるの……。ベスを私達の仲間にした方がいいと思って……」
「ベスを?」
ランシーヌの言葉にニアが反応したのだ。彼女は怪訝そうな顔をしてランシーヌに訊ねたのである。
「何でベスを仲間にしないといけないの?」
「だって、彼女の能力は役に立つから……。それに彼女は真面目だし……」
ランシーヌがそう答えるとニアは不機嫌そうな顔で言ったのだ。
「信用できるって証拠はあるの?」
すると、ランシーヌは少し困った顔をして答えたのである。
「そう言われると困るんだけど……。でも、仲間にしても問題ないと思うわよ」
すると、今度はミラが話しに入ってきたのである。
「もし、ベスが裏切って私達を襲ってきたらどうするの? 彼女はサービラの元手下だから私の眷属化を解くと恨んでくるかもよ?」
彼女がそう言うとランシーヌは少し考えてから答えた。
「確かにそうね……。その時は私が責任を持って彼女を仕留めるわ」
ランシーヌがそう言うとニアもミラも納得したのかそれ以上は追及しなかったのである。すると、今度はシャイラが話に加わってきたのだ。
「私も元は他の魔女の配下だったけど、ランシーヌのおかげで今は皆の仲間として働けている。ベスもきっと仲間になってくれるわ……。だから、ランシーヌには感謝しているの……」
シャイラがそう言うと、ランシーヌは照れていた。俺はその様子を見て笑みを浮かべていたのである。
そして、暫くしてから料理が運ばれてきたのだ。料理はスープに塩漬けの肉、パン等であった。
俺達はそれぞれ料理を口に運んだのである。
「美味しい!」
ニア達は食べた瞬間そう言って喜んでいたのだ。俺も一口食べてみてあまりの美味しさに驚きを隠せなかった。そして、食べながらランシーヌに質問したのである。
「なあ……ベスを仲間にするには魔女の眷属の儀式をするんだろ?」
「ええ……。宿を取ったら、そこでするつもりよ」
ランシーヌはそう言うと食事の続きを食べ始めたのだ。それから、俺達は食事を済ませると酒場を出て宿に向かったのである。宿は酒場の近くにあってすぐに見つけることが出来た。
俺は宿泊の手続きを済ませると3人部屋を2つ取ったのだ。
そして、俺達は部屋に入ったのである。
「なあ……眷属にする儀式はいつから始めるんだ?」
俺はランシーヌにそう質問したのだ。すると、彼女は少し考えてから答えてくれた。
「そうね……。もう今から始めるわ……だから部屋から出て行って頂戴」
俺はランシーヌに言われた通り部屋から出て行こうとすると、双子達とシャイラが俺を呼び止めてきたのだ。そして、3人は言ったのである。
「ルドレイの町を散策しない?」
「出かけてみましょう……」
「この町で何か情報が集まるかもよ」
3人の申し出に俺は少し考えてから答えたのである。
「分かった……一緒に行こう……」
俺は双子達とシャイラと一緒に部屋を出て宿を後にしたのである。
俺達は宿を出てルドレイの町並みを見て回ることにしたのだ。様々な店が並んでいる光景に俺達はキョロキョロしながら歩いていたのである。
すると、ニアが俺に話し掛けてきたのだ。
「ラドリック……ここに武器屋があるよ」
そう言ってニアは武器屋を指差した。俺達が店内に入ると中には客がいた。その客達の中には兵士の姿も何人かあったのである。
「そうだ、俺の剣の手入れをして貰おう……」
騎士達との戦いで、俺の剣は刃こぼれをしていたのである。俺は店の奥にいた主人に剣の手入れを頼むと、俺の剣を手に取って作業を始めたのだ。
「剣の手入れをしてる間に、他の店を見て回りましょう……」
「ラドリック、行こうよ……」
「一緒に行く?」
俺は彼女達の誘いに乗って4人で町を見て回ることにしたのであった。