第99話 カサンドラの死と配下達の末路

文字数 3,213文字

 オルガが魔女達の元に向かった後、眠っているエヴリンの体から幽体が現れたのである。

 その体は宙に浮いており、形は不明瞭で背景が少し透けて見えていたのである

 そして、その幽体は眠るエヴリンを見つめカイラニと目を合わせると、


「オルガ様の命令だ。黒髪の魔女の配下達を倒してくるんだよ……」


 カイラニに言われ、そのまま墓地に向かったのであった……。



 カサンドラとランシーヌはお互い武器を構えながら対峙していたのであった。ランシーヌが弓で矢を放ち、カサンドラに向かって放ったのだ。

 すると、彼女は矢を避けると突きの形に構え、そのまま突進してきたのである……。突きを躱すためにランシーヌは大きく後ろに飛び退いたのである。

 しかし、ランシーヌが着地した瞬間を狙ってカサンドラは更に突進してきたのである。ランシーヌは飛び退いた後に彼女の予想外の行動に態勢を崩してしまい避ける事が出来なかったのであった……。


「しまった!」


 そう叫ぶとカサンドラの剣はランシーヌの腹部に突き刺さり、剣が突き刺さった傷口から血が流れ落ちていったのだ……。ランシーヌは痛みで顔をしかめながら蹲ると、


「ぐふっ……」


 そんな声を口から漏らしたのである。そして、カサンドラは剣を引き抜くと彼女の首に剣を振り下ろそうとした時であった……。


 突如、カサンドラの心臓の位置から槍が貫いていたのであった。


「な……何奴……!」


 カサンドラは激痛で顔を歪め口からは血を吐き出し、槍が刺さったまま傷からは血がドクドクと流れ出し前のめりに倒れていったのだ……。


(誰の仕業……?)


 ランシーヌは怪訝に思っていると後方から1人の女性が歩いてくるのであった……。


「これで私が最後の魔女になったわ……」


 その女性はそう呟きながらランシーヌの前に現れたのである。しかし、彼女の姿を誰だか判断出来ていなかったのであった。

 何故ならその女性の容姿は茶色の髪に美しく妖艶な雰囲気を漂わせていたが目つきが険しかったのである……。そして、彼女はカサンドラが倒れた所まで来たのであった。


「あなたは一体……」


 そんな彼女にランシーヌが問い掛けると、


「私は魔女オルガよ……」


 そう言って微笑んだのである……。すると、倒れているカサンドラが顔を彼女に向けて睨み付けていたのだった。


「おのれ……卑怯な……」


 そんなカサンドラの問い掛けに彼女は答えず、ただ微笑んでいるだけであった。そして、彼女はカサンドラとランシーヌを交互に見つめて囁いていたのである。


「銀髪の魔女、貴女の守護者は死んだわ……。だから私が止めを刺したの……。そして黒髪の魔女、貴女は異端の魔女なので用はないわ……」


 そう言うとカサンドラとランシーヌは彼女を睨み返したのであった。そんな2人を微笑みながら見つめると、彼女は手を翳して呪文を唱えたのだった……。


「闇の霧よ! 我が命に応じ敵を腐敗させ骨となれ!」


 すると、彼女の手に黒い霧のような物が纏わりつき始めたのである。そして、その霧をカサンドラに向けて放ったのであった……。

 カサンドラは黒い霧に包まれると次第に皮膚や筋肉が腐っていき肉が剥がれ落ち次第に骨だけになってしまったのである……。


「さようなら……」


 オルガはそう言うとランシーヌの方を振り向いたのだった。そして、彼女はカサンドラの亡骸を一瞥してランシーヌに近付いたのであった……。



 カサンドラがオルガから止めを刺された時、ニアはミラの首に爪を突き刺そうとしていた。だが、彼女は寸前の所で攻撃を止めたのだった……。


「えっ!?」


 ミラが妹の行動に困惑していたが彼女の目を見てみると正気に戻っていたのである。


「お姉ちゃん、大丈夫……?」


 ニアがそう問い掛けると、ミラは目に涙を浮かべながら答えたのであった。


「うん……。私は大丈夫よ……」


 そう言って2人は抱き合ったのである。そんな光景を見てジェイコブは自身の能力が失われたので呆然としていたのであった……。


「な……何故、僕の能力が効かなくなった……?」


 彼は愕然としながら呟いていたが、そんなジェイコブにニアとミラが睨み付けながら近付いたのであった……。

 普通の人間に戻ってしまった彼は双子の威圧感に恐れおののいて逃げることも出来なくなっていたである。

 彼女達はジェイコブの前に立つと、ニアは前から彼の首を掴み上げ、地面に投げ飛ばしたのだ。


「ぐあっ!!」


 地面に体を打ち付けて苦悶する姿を見ながら2人は同時に言ったのである。


「アンタが私達にした事を覚えている……?」

「お返しが来るのは分かってるわよね?」


 ジェイコブは彼女達の問い掛けに何も言えずにただ震え上がるしかなかったのである……。ニアは爪を振り上げ彼の腹に向かって切り裂いたのであった。


「うぎゃあああ!!」


 彼は悲鳴を上げたが、ニアは攻撃の手を緩めなかった。腹を切り裂くと血が滲んだ内臓が露出したのであった……。そして、ニアはジェイコブに覆い被さると彼の贓物に噛み付いたのである……。


「ぎゃああああ!!!」


 想像を絶する苦痛で絶叫を上げる彼は、顔を歪めながら懇願したのであった……。


「止めてくれぇぇ! 痛いぃぃ! いっその事、一思いに殺してくれぇぇ!!」


 そんなジェイコブの叫び声を聞きながらニアは彼の内臓を掴み食していたのだった……。そして、裂けた腹から肝臓と小腸を貪ると牙を離し満足した表情を浮かべたのであった。

 だが、彼女の表情とは裏腹にジェイコブは瀕死の状態に陥っていたのである。


「あ……あぁ……あぁぁ……」


 彼は声にならない声を発しながら痙攣していたのであった。そして、ニアの口の周りには彼の血で染まっていたのだ。


「そろそろ止めを刺すわよ……」


 ミラがニアに言うと彼女は頷き、ジェイコブを掴んで持ち上げると、ミラの牙が彼の頸動脈に噛みついたのであった。


「あがぁ……」


 そんな声を上げながらジェイコブは白目を剥き息絶えたのである。そして、ミラも彼の血をすすり満足気に微笑んでいたのだった……。

 ジェイコブが死んだ後、2人はお互いに抱きしめ合ったのである。


「ミラ……」

「ニア……!」


 2人が抱擁している中でベスも自我を取り戻していたのである。そして、ベスは双子達に近付いて行ったのであった。


「ベス……!」


 ニアは叫ぶと、彼女はミラから離れベスを抱き寄せたのだ。


「正気に戻ったのね……」


 彼女はそう言ってベスを安心させたのである。そんな中、気絶していたマチルダとベルも意識を取り戻したのであった。


「うう……気絶してたの?」


 マチルダがそう呟くと、ベルも目を覚ましたのである。


「……どうなったの?」


 彼女達の問いにベスは詳しく説明したのだった。


「どうやら貴女達の魔女は死んだようですね……」


 ベスがそう呟くと、2人はベスに擦り寄っていったのである。


「これから私達はどうなるの……?」


 彼女達が不安そうに聞くと、ベスは答えたのであった。


「貴女達の魔女は死んだんです。これからは普通の人として暮らして下さい……」


 ベスの言葉にもマチルダとベルは不安の表情を隠しきれなかったのである。


「実は私達は魔女狩りに遭った者なので、これからも隠れて逃げ続けなければならないのね……」


 マチルダはポツリと呟いたのだった……。


「両親の元に帰りたい……」


 ベルも涙を流しながら呟いていたのであった……。

 そんな時、墓地の入り口の方から空中を浮遊して、こちらに飛んで向かって来る女性の姿が彼女達の目に止まったのである。

 その女性の姿は朧気で体が透けて見えており邪な笑みを浮かべ、こっちに向かって来たのであった……。


「あ……あれは、一体……?」


 ベスがそう呟いた時であった。その女性が彼女達の目の前まで来たのである。そして、女性はマチルダとベルに向かって衝突したのであった……。

 女性が彼女達に衝突したと思った刹那、女性は彼女達の体を擦り抜けていたのだった……。
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