第65話 狂戦士オトフリート
文字数 2,891文字
オトフリートは刀身が俺に届く距離まで来ると肩に担いだ大剣を振り下ろしたのである。俺は振り下ろされる大剣を横へ飛び躱したのだった。
(まだ、相手の動作のイメージが予知できない……)
今の段階では俺の予知能力が作動しないことに戸惑いを感じたが、今はそれどころではなかったのだ。
彼は振り下ろした大剣を、そのまま右へと横薙ぎに切り返したのである。俺は左へ飛び避けたのだが、オトフリートは俺が着地する瞬間を狙っていたのだった。
「ウォォ――!」
オトフリートは叫びながら、そのまま右下から左上に向かって大剣を振り上げた。
俺は着地した瞬間だったため体勢を崩しており、避けられる状態ではなかったのである。
(ヤバい!)
そう思った俺は下から上へ振り上げられた大剣を防御したのだった。そして、鈍い金属音と共に火花が散った。
「くぅぅ!」
オトフリートの大剣を何とか防いだのだが、彼は大剣をロングソードみたいに振り回していたのだった。
彼の斬撃は重く防御しているだけでも体力を消耗してしまっていたのである。
その為、俺は攻撃する余裕はなく防戦一方だった。
(このままでは……)
そう思った瞬間、オトフリートの大剣が左から右へと振り払われたのだ。
「ぐあっ!」
避けきれずに右腕を斬られてしまい悲鳴を上げたのだった。幸い、傷は浅かったので剣は問題なく扱えていた。
俺の悲鳴を聞きオトフリートはニヤリと笑みを浮かべていたのである。
「くたばれ!」
オトフリートは俺が怯んでいる隙に、再び振り上げてきたのだ。そして、勢いよく振り下ろされた大剣の衝撃で地面が割れていたのだった。
しかし、俺はその攻撃にも反応して横に避けていたのだ。
俺は予知能力が発動しない状態であるため、他の能力を使うしかなかったのである。
(仕方ない……。相手の不意を突く形になるが……)
覚悟を決めて、オトフリートに攻撃されやすいように仕掛けたのだ。
「ふん!」
オトフリートは俺が回避したのを分かっていたように、ニヤッと笑いながら大剣を横に薙ぎ払ったのだった。
(ここだ!)
その攻撃を待っていた俺は、彼の薙ぎ払った大剣に自分の首を突き出したのだ。
「何だと!」
俺の動きを予測していなかったオトフリートは驚愕していた。
そして、俺の首は大剣に薙ぎ払われ地面に落ちていったのである。
予想外の行動にオトフリートは一瞬、動きを止めてしまったのだ。その隙に俺は自分の体を反転させ、彼の首めがけて剣を薙ぎ払った。
「うおぉ!」
彼は俺の薙ぎ払いを首に受けると、体勢を崩して地面に倒れ込んだのだ。
その隙に俺は急いで、自分の首を拾って元に戻したのである。
「危ねぇ! 危ねぇ!」
オトフリートは呟きながら起き上がると、彼の首には俺の剣で斬られた切り傷があったのだが浅いため出血も少なかったのである。
「まさか、自分の首を囮に使うとは……。しかも、首を斬られても死なないとはな……。益々、殺し甲斐があるぜ」
そう呟いたオトフリートは俺を見て不敵に笑っていた。そして、再び大剣を肩に担いでいたのだ。
「狂戦士の能力を見せてやる……」
そう呟くと、彼の表情が獰猛な顔つきに変化していた。
「ウォォ――!」
獣じみた雄たけびを上げ、俺に向かって突っ込んできたのだった。彼の動きは以前とは違い非常に猛々しかった。
(何だ、この変化は!? そして、この殺気は?)
俺は彼の変化に戸惑いながらも、彼を迎え撃つことにした。
「ウガァァァ――!」
オトフリートは雄叫びを上げながら俺の間合いに入ると大剣を袈裟切りに振り下ろしたのだ。
(速い!)
先程までのオトフリートとは比べ物にならないぐらい速く、そして力強く凶暴な斬撃だった。
「グッ!」
咄嗟に防御したのだが、オトフリートの力が強く防御した剣ごと吹っ飛ばされてしまったのだ。
(何という力だ……)
俺が吹き飛ばされたのを見ていた彼は雄叫びを上げながら追撃してきたのである。
「ウォォ――!」
そして、オトフリートは俺に向かって大剣を右斜め上から振り下ろしてきたのだ。
俺は何とか体勢を立て直して防御したが、オトフリートの一撃は一発一発が強烈だった。
(攻撃が激しすぎる!)
俺は彼の攻撃を防ぎながら反撃を考えていた。そして、彼に隙が出来るのを待っていたのだ。しかし、彼は隙を作るどころか逆に俺を追い詰めていたのである。
(このままじゃ、不味いな……)
そう思った瞬間、俺の集中力が切れて一瞬の隙が生まれてしまったのだ。その隙を狙っていたオトフリートは、俺の足を狙って薙ぎ払ってきたのだった。
俺は咄嗟に後ろに飛び退いたのだが避けきれずに足を斬られてしまったのだ。
「ぐあっ!」
「油断したな! これで終わりだ!」
彼は大剣を振り上げると、俺に向かって振り下ろしたのである。
(クッ! 間に合わない!)
そう思った途端、突如、俺の脳裏に大剣の動作のイメージが浮かんできたのである。
予知した剣の軌道上に剣を振ると、振り下ろされる大剣を弾いたのだった。
「何!?」
彼は何故、自分の攻撃が防がれたのか驚いていた。そして、俺は彼の大剣を弾いた後、返しの薙ぎ払いで攻撃したのだ。しかし、オトフリートは後ろに飛び退いて回避した。
(危なかった……)
そう思いながらも安堵していた。どうやら、自身の命が危険にさらされると発動するようであった。
彼は仕切り直しだと言わんばかりに距離を取ったのだ。
「まさか……俺の渾身の一撃を弾くとはな……」
オトフリートは大剣を構えながら俺を見ると悔しそうに呟いていた。
「もしかして、俺の剣筋が見えているのか?」
俺は彼の言葉を聞いて口角を上げながら答えたのだ。
「さあな……。答える義理はないだろ」
そう答えるとオトフリートはニヤリと笑みを浮かべていたのである。そして、お互いに武器を構えて対峙していたのだった。
(さて、どうするか……)
俺は攻めるか守りに徹するか考えていたのだ。だが、そんな時間を与えてはくれなかったのだ。
オトフリートが大剣を肩に担ぐと全速力で走り出し攻撃してきたのだった。
(速い!)
咄嗟に防御したのだが、彼はその隙を狙っていたのだ。そして、高速に動き回りながら攻撃してきたのだ。
(クソ! 速すぎる……。相手の動作を捉えられない)
オトフリートは残像を作りながら、俺の死角から攻撃してくるため避けるのが精一杯だったのだ。その為、俺は防戦一方だった。
相手の攻撃が激しすぎるため、反撃する暇がなかったのだった。
「オラオラ! どうした? そんな物か!」
オトフリートは叫びながら猛攻を繰り出していたのだ。そして、彼が大剣を横薙ぎに振った瞬間だった。
(ここだ!)
俺は予知した大剣の軌道を剣で弾くと、彼の懐に入っていった。そして、胴体を狙って突きを放ったのだった。
「グォッ!?」
突きを胴に受け呻きながら、体をよろめかせていた。そして、地面を転がり倒れ込んでしまったのだった。
「くそっ!」
彼は喚きながら大剣を杖にして立ち上がっていたのだ。彼の胴体の方を見ると突きを受けた傷口はあるが血は殆ど流れていなかったのだった。
(まだ、相手の動作のイメージが予知できない……)
今の段階では俺の予知能力が作動しないことに戸惑いを感じたが、今はそれどころではなかったのだ。
彼は振り下ろした大剣を、そのまま右へと横薙ぎに切り返したのである。俺は左へ飛び避けたのだが、オトフリートは俺が着地する瞬間を狙っていたのだった。
「ウォォ――!」
オトフリートは叫びながら、そのまま右下から左上に向かって大剣を振り上げた。
俺は着地した瞬間だったため体勢を崩しており、避けられる状態ではなかったのである。
(ヤバい!)
そう思った俺は下から上へ振り上げられた大剣を防御したのだった。そして、鈍い金属音と共に火花が散った。
「くぅぅ!」
オトフリートの大剣を何とか防いだのだが、彼は大剣をロングソードみたいに振り回していたのだった。
彼の斬撃は重く防御しているだけでも体力を消耗してしまっていたのである。
その為、俺は攻撃する余裕はなく防戦一方だった。
(このままでは……)
そう思った瞬間、オトフリートの大剣が左から右へと振り払われたのだ。
「ぐあっ!」
避けきれずに右腕を斬られてしまい悲鳴を上げたのだった。幸い、傷は浅かったので剣は問題なく扱えていた。
俺の悲鳴を聞きオトフリートはニヤリと笑みを浮かべていたのである。
「くたばれ!」
オトフリートは俺が怯んでいる隙に、再び振り上げてきたのだ。そして、勢いよく振り下ろされた大剣の衝撃で地面が割れていたのだった。
しかし、俺はその攻撃にも反応して横に避けていたのだ。
俺は予知能力が発動しない状態であるため、他の能力を使うしかなかったのである。
(仕方ない……。相手の不意を突く形になるが……)
覚悟を決めて、オトフリートに攻撃されやすいように仕掛けたのだ。
「ふん!」
オトフリートは俺が回避したのを分かっていたように、ニヤッと笑いながら大剣を横に薙ぎ払ったのだった。
(ここだ!)
その攻撃を待っていた俺は、彼の薙ぎ払った大剣に自分の首を突き出したのだ。
「何だと!」
俺の動きを予測していなかったオトフリートは驚愕していた。
そして、俺の首は大剣に薙ぎ払われ地面に落ちていったのである。
予想外の行動にオトフリートは一瞬、動きを止めてしまったのだ。その隙に俺は自分の体を反転させ、彼の首めがけて剣を薙ぎ払った。
「うおぉ!」
彼は俺の薙ぎ払いを首に受けると、体勢を崩して地面に倒れ込んだのだ。
その隙に俺は急いで、自分の首を拾って元に戻したのである。
「危ねぇ! 危ねぇ!」
オトフリートは呟きながら起き上がると、彼の首には俺の剣で斬られた切り傷があったのだが浅いため出血も少なかったのである。
「まさか、自分の首を囮に使うとは……。しかも、首を斬られても死なないとはな……。益々、殺し甲斐があるぜ」
そう呟いたオトフリートは俺を見て不敵に笑っていた。そして、再び大剣を肩に担いでいたのだ。
「狂戦士の能力を見せてやる……」
そう呟くと、彼の表情が獰猛な顔つきに変化していた。
「ウォォ――!」
獣じみた雄たけびを上げ、俺に向かって突っ込んできたのだった。彼の動きは以前とは違い非常に猛々しかった。
(何だ、この変化は!? そして、この殺気は?)
俺は彼の変化に戸惑いながらも、彼を迎え撃つことにした。
「ウガァァァ――!」
オトフリートは雄叫びを上げながら俺の間合いに入ると大剣を袈裟切りに振り下ろしたのだ。
(速い!)
先程までのオトフリートとは比べ物にならないぐらい速く、そして力強く凶暴な斬撃だった。
「グッ!」
咄嗟に防御したのだが、オトフリートの力が強く防御した剣ごと吹っ飛ばされてしまったのだ。
(何という力だ……)
俺が吹き飛ばされたのを見ていた彼は雄叫びを上げながら追撃してきたのである。
「ウォォ――!」
そして、オトフリートは俺に向かって大剣を右斜め上から振り下ろしてきたのだ。
俺は何とか体勢を立て直して防御したが、オトフリートの一撃は一発一発が強烈だった。
(攻撃が激しすぎる!)
俺は彼の攻撃を防ぎながら反撃を考えていた。そして、彼に隙が出来るのを待っていたのだ。しかし、彼は隙を作るどころか逆に俺を追い詰めていたのである。
(このままじゃ、不味いな……)
そう思った瞬間、俺の集中力が切れて一瞬の隙が生まれてしまったのだ。その隙を狙っていたオトフリートは、俺の足を狙って薙ぎ払ってきたのだった。
俺は咄嗟に後ろに飛び退いたのだが避けきれずに足を斬られてしまったのだ。
「ぐあっ!」
「油断したな! これで終わりだ!」
彼は大剣を振り上げると、俺に向かって振り下ろしたのである。
(クッ! 間に合わない!)
そう思った途端、突如、俺の脳裏に大剣の動作のイメージが浮かんできたのである。
予知した剣の軌道上に剣を振ると、振り下ろされる大剣を弾いたのだった。
「何!?」
彼は何故、自分の攻撃が防がれたのか驚いていた。そして、俺は彼の大剣を弾いた後、返しの薙ぎ払いで攻撃したのだ。しかし、オトフリートは後ろに飛び退いて回避した。
(危なかった……)
そう思いながらも安堵していた。どうやら、自身の命が危険にさらされると発動するようであった。
彼は仕切り直しだと言わんばかりに距離を取ったのだ。
「まさか……俺の渾身の一撃を弾くとはな……」
オトフリートは大剣を構えながら俺を見ると悔しそうに呟いていた。
「もしかして、俺の剣筋が見えているのか?」
俺は彼の言葉を聞いて口角を上げながら答えたのだ。
「さあな……。答える義理はないだろ」
そう答えるとオトフリートはニヤリと笑みを浮かべていたのである。そして、お互いに武器を構えて対峙していたのだった。
(さて、どうするか……)
俺は攻めるか守りに徹するか考えていたのだ。だが、そんな時間を与えてはくれなかったのだ。
オトフリートが大剣を肩に担ぐと全速力で走り出し攻撃してきたのだった。
(速い!)
咄嗟に防御したのだが、彼はその隙を狙っていたのだ。そして、高速に動き回りながら攻撃してきたのだ。
(クソ! 速すぎる……。相手の動作を捉えられない)
オトフリートは残像を作りながら、俺の死角から攻撃してくるため避けるのが精一杯だったのだ。その為、俺は防戦一方だった。
相手の攻撃が激しすぎるため、反撃する暇がなかったのだった。
「オラオラ! どうした? そんな物か!」
オトフリートは叫びながら猛攻を繰り出していたのだ。そして、彼が大剣を横薙ぎに振った瞬間だった。
(ここだ!)
俺は予知した大剣の軌道を剣で弾くと、彼の懐に入っていった。そして、胴体を狙って突きを放ったのだった。
「グォッ!?」
突きを胴に受け呻きながら、体をよろめかせていた。そして、地面を転がり倒れ込んでしまったのだった。
「くそっ!」
彼は喚きながら大剣を杖にして立ち上がっていたのだ。彼の胴体の方を見ると突きを受けた傷口はあるが血は殆ど流れていなかったのだった。