第39話 眷属の儀式

文字数 2,559文字

 ネスコーの町を発って2日が経っていた。俺達は、街道を進んで行き、ほぼ真西に位置する村に到着したのだ。

 そして、俺達はこの村に宿泊する事にしたのだ。村の名前はウォードという村だった。

 このウォードは、人口300人程の村であった。


「今日は宿に泊まれるのね……」


 ランシーヌが嬉しそうに言ったのだ。


「ベッドで寝れるのは最高ね……」


 ニアが同意した。


「そうね……。野宿ばかりじゃ、体が痛いわ」


 ミラも同感のようだった。


「宿に部屋を頼んでくるよ……」


 俺はそう言うと、宿屋に向かって行ったのだ。

 このウォードは、少し寂れた雰囲気の町だった。建物は木造建で風化しているのか、所々傷んでいるような印象を受けた。

 そんな建物が並ぶ中を通り抜けて行き、宿屋に到着すると受付にいた主人に話しかけた。


「泊まりたいんだが……部屋は空いているか?」

「空いてるよ。何名だ?」

「5名で泊まりたいのだが……」


 そう答えると主人は部屋の空きを確認してきた。そして、俺達を部屋に案内してくれたのだ。

 部屋は質素だが掃除が行き届いていたし、ベッドなどもありちゃんと寝泊まりできそうだった。


「今日はよく眠れそうだな」


 そう俺が言うと、皆も頷いていた。

 その後、ランシーヌからシャイラの、これからの事について話し合いが行われたのだ。


「今、シャイラはミラの眷属なので私の配下としては力不足だと思うの・・・・・。だから、私が直接、能力を与えようと思うけどいい?」

「ええ、いいわよ……」


 ミラが頷くとランシーヌはシャイラに近付いて行った。


「皆の前で眷属の力を与えるのは、少し恥ずかしいわ……。だから、暫くの間は部屋から出て行ってくれる?」


 ランシーヌが皆にお願いすると、俺達は皆頷き部屋を出て行った。


「シャイラ……、ベッドに横になって頂戴……」


 ランシーヌがそう言うとシャイラはベッドに横になった。


「じゃあ、始めるわ……」


 そう言うとシャイラの上に跨り顔を近づけて行った。

 シャイラは困惑していたが、ランシーヌはお構いなく口付けをしたのだった。

 最初は唇と唇を合わせていただけだったが、ランシーヌは舌を絡ませ始めたのだ。

 シャイラは一瞬、驚いたようだが直ぐに受け入れて口付けを続けた。そして、ランシーヌが口を離すと唾液の糸を引いていたのだった。

 女性同士での口付けであったが、シャイラは顔を赤らめて息を荒くしていた。


「ふふっ……可愛いわね……」


 ランシーヌはそう言いながら微笑むと、シャイラの服を脱がし始めたのだ。そして、全裸にすると、首筋や胸元に口付けを行い愛撫していった。

 彼女は最初は戸惑っていたが嫌悪感はなく受け入れているようだった。

 それも其の筈、アンドレアの性奴隷でもあったので女性相手でも感じやすい体質になっていたのだ。

 ランシーヌはシャイラの反応を見て楽しみながら愛撫を続けた。そして、彼女が感じているのが分かると唇や手で攻めていったのだ。

 シャイラは快感のあまり声を漏らしていたが、段々と息が荒くなっていったのである。

 快感が高まっているのか、体を小刻みに痙攣させ始めていた。それを見たランシーヌは愛撫を更に激しくしていったのだ。

 やがて、シャイラの限界が近付いて来たようで彼女は大声で叫ぶと体を大きく仰け反らせたのだった……。


「ああぁぁ!!」


 シャイラは達したようで、ぐったりしていた。そんな様子をランシーヌは愛おしそうに見詰めていた。


「気持ちよかったみたいね……」


 そう言うと、ランシーヌは指先を唾液で濡らした後で、彼女の性器に指を入れていったのだ……。

 最初はゆっくりと動かしていたが徐々に激しくなっていった。そして、絶頂を迎えそうになると指を引き抜いていた。


「あっ……、ああぁぁ!!」


 シャイラは達する事が出来ずに悶えていた。そんな様子を見ながらランシーヌは微笑んでいたのだった。


「ふふっ……、どうしたの?」

「ああぁぁ……。はぁはぁ……」


 シャイラは息を荒くしながら言った。


「お願い……、イカせて……」


 ランシーヌは微笑みながら言った。


「どうしようかしら……?」


 そんな意地悪な事を言いながらも、彼女の耳元で囁いたのだ。


「貴女の、そんな姿を見ると、私も興奮してくるわ……」


 ランシーヌはそう言うと着ている服を脱いでいった……。そして、全裸になるとシャイラの上に跨り性器を擦りつけていったのだ。

 すると彼女も徐々に感じ始めたようで、甘い吐息を漏らし始めた。


「ねぇ……、もっと気持ち良くなりたい?」

「もっと気持ち良くなりたいです……」


 そう言って彼女は恥ずかしそうな表情を浮かべていた。


「じゃあ、私と一緒にいくわよ……」


 ランシーヌはそう囁くと腰を激しく動かし始めたのだ。シャイラも、その動きに合わせて声を上げていた。そして、2人は絶頂を迎えたのだった……。

 2人は抱き合うように横になっていたが、息が落ち着いてくると話を始めたのだ。


「これで貴女は私の眷属になったわ。その力も、前から貰っていたラミアの能力を引き継いでいる筈よ」

「はい……。分かりました……」


 シャイラは頬を赤く染めながら頷いた。


「貴女には期待してるわ……。頑張ってね……」


 ランシーヌはそう言うと、口付けをしてきた。そして、唇を離すと微笑んでいた。

 シャイラも微笑み返していた。

 彼女の首元にあった2つの牙の跡は無くなっていたのである。


 ランシーヌとシャイラが眷属の儀式をしている間、俺と双子達は宿屋の外に出ていた。

 外は夕方であったが、まだ明るかった。

 ミラが考え事をしながら話しかけて来たのである。


「彼女がランシーヌの眷属に変わる時は、私の眷属の効果が無くなるので弟を殺された恨みを晴らそうと私達に復讐してくるかも……」

「私が彼女の弟に丸呑みにされたから、脱出する為に腹を突き破ったのよ……。それを恨んでいるかも……」


 ニアが少し不安げに言うとミラも大きく頷いていた。


「確かに、復讐を考えている可能性はあるかもな……」


 俺がそう言うと双子達は暗い表情をしていたのだ。


「だが、復讐を考えているならミラの能力が解けた時点で襲い掛かっていると思う……。だから、大丈夫だと思う」


 宿屋の泊まる部屋を見て俺は言ったのだ。

 部屋は特に何事もなく静かに時間が過ぎていったのだった……。
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