第88話 カサンドラとオルガ
文字数 3,496文字
ランシーヌは魔女オルガが消え去ってから暫くして口を開いたのである。
「何だったのかしら……?」
彼女が俺に話し掛けてきた。
「さあな……、だが、彼女は俺達の正体を知っていた。もしかしたら君と、もう1人の魔女とを戦わせようとしてるのかもしれないな……」
「そうね……」
ランシーヌは納得したように頷いた。そして、ベスが俺に話し掛けてきた。
「他の魔女って……誰でしょうね?」
「分からない……。ただ、オルガ以外の魔女がもう1人いると言うことだ……」
俺はそう言うと皆の顔を見て言ったのである。
「今日はもう遅い……明日に備えて休もうか……」
俺達は宿屋に戻ると自分達の部屋に戻ったのだ。そして、俺はベッドに横になりながら考えていたのである。
(他の魔女がこの町にやって来るのか……)
ランシーヌ達がルドレイの町で魔女オルガに出会った頃、カサンドラ達はルドレイの手前まで来ていたのである。
夜になっていたので明日の朝にルドレイの町に入るつもりであったのだ。
「やっとルドレイの近くまで来たわね……」
カサンドラは夜空を眺めながらそう呟いたのである。
「ええ……。今日は野宿になりますね……」
サロメがそう言うと、野宿するために野営の準備を皆でしていた。
そして、夕食を食べ終わり暫くすると、街道から人影が歩いてきたのである。
「ん……?」
カサンドラがその人影に気が付いたのだ。すると、サロメが彼女に話し掛けたのである。
「どうされましたか? カサンドラ様」
「いや……街道から人が歩いてくるのが見えたから……」
カサンドラはそう言うと、他の皆も街道の方に視線を向けたのだ。そして、その人影はどんどん近づいて来るのである。
そして、月明かりで姿が分かる距離まで来ると、その人影が女である事が分かったのだ。その女はローブを深く被っているので顔は見えなかったのである。
「こんばんは銀髪の魔女……私は魔女オルガよ……」
その女は透き通るような声で話してきたのだ。魔女という言葉を聞いてカサンドラは警戒しながら答えたのである。
「戦いに来たの……?」
すると、その女はクスッと笑いだしたのだ。そして、彼女はカサンドラ達に言ったのである。
「違うわ……貴女に情報を教えに来たの……」
「情報?」
カサンドラがそう呟くと、彼女は話を続けた。
「ええ……。もう1人の魔女が既にルドレイの町に来ている……」
カサンドラはオルガの言葉を聞いて驚いていた。そして、彼女は質問したのである。
「その魔女は誰?」
オルガは少し考えてから答えてくれたのだった。
「それは教えられない……。ただ、お互い出会えば戦う事になるだろう……。そう言えば、お前が魔女として目覚めた時に魔女は何人いると聞こえたかな……?」
彼女はランシーヌに訊いた事と同じ事を訊いたのである。
「人数? 7人と言っていたわ……。それが、どうかしたの?」
カサンドラがそう答えるとオルガはクスクスと笑ったのだ。そして、彼女に言ったのである。
「そう……。これで帰るとしましょう……」
オルガがそう言うとカサンドラは、こう答えたのである。
「のこのこと帰れると思って……?」
カサンドラはオルガに攻撃しようとした。だが、オルガはクスクス笑いながら言ったのだ。
「この体はアストラル体だ……。あらゆる攻撃が無効だ……」
彼女はそう言うと同時にサロメが三日月斧で斬りつけた。しかしオルガを斬った筈の刃は空を切っただけであったのだ。
「ん……?」
サロメは違和感を感じ、攻撃するのを止めたのである。そして、彼女はオルガに質問したのである。
「……もしかして、実体ではないのか?」
すると、オルガは答えたのだ。
「そうだ……攻撃しても無駄だ……」
「どうして、私達に情報を教えたの? 貴女の目的は何?」
カサンドラは警戒しながら質問したのである。
「私はただ……情報を教えに来ただけ……。もう、用はない……」
オルガはそう言うと、またクスクス笑いながら来た道を戻ると姿が消えて行ったのだ。そして、カサンドラ達はオルガが消えた後も暫く警戒していたのである。
「カサンドラ様……どうしますか?」
サロメが彼女に訊ねると、カサンドラはこう答えたのである。
「今は情報が少なすぎるわ……。明日になったらルドレイの町に行きましょう」
彼女はそう答えると先にルドレイの町にいる魔女に思いを馳せていたのだった。
そして、マチルダとベルを呼ぶとこう答えたのである。
「明日にはルドレイで他の魔女に出会う可能性があるわ……。だから、今日にでも眷属の儀式をして明日に備えようと思うからついて来て頂戴……」
カサンドラは彼女達と一緒に森の中に消えていったのだった。
「眷属の儀式とは一体、何なんですか?」
ジェイコブは森の中に入っていく彼女達を見送りながら、眷属の儀式の意味をロシェルに訊いていた。
すると、ロシェルは淡々と説明を始めたのである。
「眷属の儀式とは魔女が自分の配下にする者に力を与える儀式なの……。その儀式で、魔女から能力を貰うの……」
「能力を貰う? それはどう言うことですか?」
「能力を貰うと、その人は人間を超えた力を発揮出来るようになるの……」
ジェイコブはロシェルの話を聞いて驚いていたのだ。そして、若き修道士は更に彼女に質問したのである。
「つまり、彼女達はカサンドラ様から力を貰うという事ですか?」
「そうよ……」
ロシェルがそう答えると、彼はカサンドラから力をいつ自分が貰うのか気になっていたのだ。そして、彼はロシェルに質問したのである。
「その……僕は、いつ能力を貰うのでしょうか……?」
すると、ロシェルは少し考え込んでから答えたのだ。
「そうね……。明日になれば分かると思うわ……」
ロシェルはそう言うとジェイコブとの会話を終わらせたのだ。そして、1時間程すると森の中からカサンドラ達が戻って来たのだった。
サロメとロシェルはカサンドラ達の姿を確認すると、カサンドラに近寄ったのである。そして、彼女達は小声で話し掛けたのである。
「カサンドラ様……眷属の儀式は終わりました?」
すると、彼女は紅潮した顔で答えたのだ。
「ええ……終わったわ……」
ロシェルは後に着いて歩いてくる2人も顔を紅潮させているのを見てカサンドラの耳元で囁いたのである。
「あの2人の眷属の儀式は成功したのですか?」
「ええ……そうよ」
彼女がそう言うと、ロシェルは微笑んでいた。そして、彼女はサロメにカサンドラが言った言葉を教えると、彼女も微笑みを浮かべたのである。
そして、カサンドラはジェイコブに話し掛けたのだ。
「ジェイコブ……明日にはルドレイの町に入るわ……。だから、今日は休みましょう……」
すると、彼はカサンドラに訊ねたのである。
「明日には僕も力を与えて貰えるのですか?」
ジェイコブの質問に、カサンドラは少しはにかんで答えたのだ。
「そうよ……。明日になれば分かるわよ……」
カサンドラはそう言ってジェイコブと別れたのだった。
だが、サロメとロシェルは彼女が同性愛者であることは分かっていたので彼に、どう眷属の儀式を行うのか気になっていたのであった……。
次の日の朝にカサンドラは皆を起こすと、ルドレイの入り口まで歩いて来ていたのである。囚人護送用の馬車は目立つので森の中に捨ててきていた。
町の検問所に来ると、兵士が彼女に話し掛けてきた。
「町に入る為の身分証はあるか?」
カサンドラは小声で短く呪文を唱えていた。その呪文は相手に嘘の認識を強制的にさせる呪文であった。
「ええ……。これで、良いかしら?」
カサンドラはそう言うと、兵士に紙を見せたのだ。すると、兵士は本物の身分証であると認識して彼女に返して答えたのである。
「……本物だな。では、町に入っていいぞ……」
カサンドラ達は町に入ると教会を探したのだ。そして、教会を探し当てると中に入って行った。
教会に入って行くとジェイコブとマチルダは不安そうな顔をしていたのだ。
「カサンドラ様、どうして教会に来たのですか?」
彼は小声でカサンドラに質問したのだ。すると、彼女は微笑みながら彼に答えたのである。
「ここを宿代わりにするのよ……」
そして、彼女は更に説明を続けたのだ。
「下手に宿を取れば、既に来ている魔女と鉢合わせするかもしれないから……。教会に居れば直ぐにバレないと思う……。だから、貴方達も聖職者としての演技をして頂戴」
「演技?」
マチルダがそう呟くと、カサンドラは彼女に言ったのだ。
「そうよ……。聖職者として振舞って頂戴」
そうして、彼女は中にいる神父と交渉をしに行ったのであった……。
「何だったのかしら……?」
彼女が俺に話し掛けてきた。
「さあな……、だが、彼女は俺達の正体を知っていた。もしかしたら君と、もう1人の魔女とを戦わせようとしてるのかもしれないな……」
「そうね……」
ランシーヌは納得したように頷いた。そして、ベスが俺に話し掛けてきた。
「他の魔女って……誰でしょうね?」
「分からない……。ただ、オルガ以外の魔女がもう1人いると言うことだ……」
俺はそう言うと皆の顔を見て言ったのである。
「今日はもう遅い……明日に備えて休もうか……」
俺達は宿屋に戻ると自分達の部屋に戻ったのだ。そして、俺はベッドに横になりながら考えていたのである。
(他の魔女がこの町にやって来るのか……)
ランシーヌ達がルドレイの町で魔女オルガに出会った頃、カサンドラ達はルドレイの手前まで来ていたのである。
夜になっていたので明日の朝にルドレイの町に入るつもりであったのだ。
「やっとルドレイの近くまで来たわね……」
カサンドラは夜空を眺めながらそう呟いたのである。
「ええ……。今日は野宿になりますね……」
サロメがそう言うと、野宿するために野営の準備を皆でしていた。
そして、夕食を食べ終わり暫くすると、街道から人影が歩いてきたのである。
「ん……?」
カサンドラがその人影に気が付いたのだ。すると、サロメが彼女に話し掛けたのである。
「どうされましたか? カサンドラ様」
「いや……街道から人が歩いてくるのが見えたから……」
カサンドラはそう言うと、他の皆も街道の方に視線を向けたのだ。そして、その人影はどんどん近づいて来るのである。
そして、月明かりで姿が分かる距離まで来ると、その人影が女である事が分かったのだ。その女はローブを深く被っているので顔は見えなかったのである。
「こんばんは銀髪の魔女……私は魔女オルガよ……」
その女は透き通るような声で話してきたのだ。魔女という言葉を聞いてカサンドラは警戒しながら答えたのである。
「戦いに来たの……?」
すると、その女はクスッと笑いだしたのだ。そして、彼女はカサンドラ達に言ったのである。
「違うわ……貴女に情報を教えに来たの……」
「情報?」
カサンドラがそう呟くと、彼女は話を続けた。
「ええ……。もう1人の魔女が既にルドレイの町に来ている……」
カサンドラはオルガの言葉を聞いて驚いていた。そして、彼女は質問したのである。
「その魔女は誰?」
オルガは少し考えてから答えてくれたのだった。
「それは教えられない……。ただ、お互い出会えば戦う事になるだろう……。そう言えば、お前が魔女として目覚めた時に魔女は何人いると聞こえたかな……?」
彼女はランシーヌに訊いた事と同じ事を訊いたのである。
「人数? 7人と言っていたわ……。それが、どうかしたの?」
カサンドラがそう答えるとオルガはクスクスと笑ったのだ。そして、彼女に言ったのである。
「そう……。これで帰るとしましょう……」
オルガがそう言うとカサンドラは、こう答えたのである。
「のこのこと帰れると思って……?」
カサンドラはオルガに攻撃しようとした。だが、オルガはクスクス笑いながら言ったのだ。
「この体はアストラル体だ……。あらゆる攻撃が無効だ……」
彼女はそう言うと同時にサロメが三日月斧で斬りつけた。しかしオルガを斬った筈の刃は空を切っただけであったのだ。
「ん……?」
サロメは違和感を感じ、攻撃するのを止めたのである。そして、彼女はオルガに質問したのである。
「……もしかして、実体ではないのか?」
すると、オルガは答えたのだ。
「そうだ……攻撃しても無駄だ……」
「どうして、私達に情報を教えたの? 貴女の目的は何?」
カサンドラは警戒しながら質問したのである。
「私はただ……情報を教えに来ただけ……。もう、用はない……」
オルガはそう言うと、またクスクス笑いながら来た道を戻ると姿が消えて行ったのだ。そして、カサンドラ達はオルガが消えた後も暫く警戒していたのである。
「カサンドラ様……どうしますか?」
サロメが彼女に訊ねると、カサンドラはこう答えたのである。
「今は情報が少なすぎるわ……。明日になったらルドレイの町に行きましょう」
彼女はそう答えると先にルドレイの町にいる魔女に思いを馳せていたのだった。
そして、マチルダとベルを呼ぶとこう答えたのである。
「明日にはルドレイで他の魔女に出会う可能性があるわ……。だから、今日にでも眷属の儀式をして明日に備えようと思うからついて来て頂戴……」
カサンドラは彼女達と一緒に森の中に消えていったのだった。
「眷属の儀式とは一体、何なんですか?」
ジェイコブは森の中に入っていく彼女達を見送りながら、眷属の儀式の意味をロシェルに訊いていた。
すると、ロシェルは淡々と説明を始めたのである。
「眷属の儀式とは魔女が自分の配下にする者に力を与える儀式なの……。その儀式で、魔女から能力を貰うの……」
「能力を貰う? それはどう言うことですか?」
「能力を貰うと、その人は人間を超えた力を発揮出来るようになるの……」
ジェイコブはロシェルの話を聞いて驚いていたのだ。そして、若き修道士は更に彼女に質問したのである。
「つまり、彼女達はカサンドラ様から力を貰うという事ですか?」
「そうよ……」
ロシェルがそう答えると、彼はカサンドラから力をいつ自分が貰うのか気になっていたのだ。そして、彼はロシェルに質問したのである。
「その……僕は、いつ能力を貰うのでしょうか……?」
すると、ロシェルは少し考え込んでから答えたのだ。
「そうね……。明日になれば分かると思うわ……」
ロシェルはそう言うとジェイコブとの会話を終わらせたのだ。そして、1時間程すると森の中からカサンドラ達が戻って来たのだった。
サロメとロシェルはカサンドラ達の姿を確認すると、カサンドラに近寄ったのである。そして、彼女達は小声で話し掛けたのである。
「カサンドラ様……眷属の儀式は終わりました?」
すると、彼女は紅潮した顔で答えたのだ。
「ええ……終わったわ……」
ロシェルは後に着いて歩いてくる2人も顔を紅潮させているのを見てカサンドラの耳元で囁いたのである。
「あの2人の眷属の儀式は成功したのですか?」
「ええ……そうよ」
彼女がそう言うと、ロシェルは微笑んでいた。そして、彼女はサロメにカサンドラが言った言葉を教えると、彼女も微笑みを浮かべたのである。
そして、カサンドラはジェイコブに話し掛けたのだ。
「ジェイコブ……明日にはルドレイの町に入るわ……。だから、今日は休みましょう……」
すると、彼はカサンドラに訊ねたのである。
「明日には僕も力を与えて貰えるのですか?」
ジェイコブの質問に、カサンドラは少しはにかんで答えたのだ。
「そうよ……。明日になれば分かるわよ……」
カサンドラはそう言ってジェイコブと別れたのだった。
だが、サロメとロシェルは彼女が同性愛者であることは分かっていたので彼に、どう眷属の儀式を行うのか気になっていたのであった……。
次の日の朝にカサンドラは皆を起こすと、ルドレイの入り口まで歩いて来ていたのである。囚人護送用の馬車は目立つので森の中に捨ててきていた。
町の検問所に来ると、兵士が彼女に話し掛けてきた。
「町に入る為の身分証はあるか?」
カサンドラは小声で短く呪文を唱えていた。その呪文は相手に嘘の認識を強制的にさせる呪文であった。
「ええ……。これで、良いかしら?」
カサンドラはそう言うと、兵士に紙を見せたのだ。すると、兵士は本物の身分証であると認識して彼女に返して答えたのである。
「……本物だな。では、町に入っていいぞ……」
カサンドラ達は町に入ると教会を探したのだ。そして、教会を探し当てると中に入って行った。
教会に入って行くとジェイコブとマチルダは不安そうな顔をしていたのだ。
「カサンドラ様、どうして教会に来たのですか?」
彼は小声でカサンドラに質問したのだ。すると、彼女は微笑みながら彼に答えたのである。
「ここを宿代わりにするのよ……」
そして、彼女は更に説明を続けたのだ。
「下手に宿を取れば、既に来ている魔女と鉢合わせするかもしれないから……。教会に居れば直ぐにバレないと思う……。だから、貴方達も聖職者としての演技をして頂戴」
「演技?」
マチルダがそう呟くと、カサンドラは彼女に言ったのだ。
「そうよ……。聖職者として振舞って頂戴」
そうして、彼女は中にいる神父と交渉をしに行ったのであった……。