第58話 ランシーヌの貼り紙
文字数 2,452文字
サービラ達はランシーヌを捜していたが一向に見付からずに途方に暮れて、屋敷に帰って来たのだ。
帰ると応接間には椅子に縛られ虚ろな表情で、じっと座っているオッツがいただけであった。
不思議に思いサービラはオッツに近付き、話し掛けたのである。
「一体、どうしたの!?」
しかし、彼は何も答えなかったのだ。不思議に思った彼女は何度も質問したが全く答えなかったのだ。それどころか、虚ろな瞳でどこを見ているのかさえ分からなかったのである。
「まさか……。あの女から魅了されたの?」
サービラは自問自答しながら呟いたのだ。そして、彼の体に文字が書かれている紙が貼られている事に気が付いたのだ。
「何? これ?」
彼女は最初は不思議そうに見ていたのだが、段々と怒りが湧いてくる感覚に襲われたのだ。
「あの女……、絶対に許さない! 殺してやる!!」
彼女は歯を食い縛りながら叫んでいた。紙に書かれている内容はこうだった。
『馬鹿で間抜けの魔女 サービラへ
お前の間抜けな手下が、お前達の能力を喋ってくれた……。貴女の管理能力の無さがよく分かったわ。まあ……、魔女としての能力もポンコツだから仕方ないわね。そろそろお互いに勝負をつけようと思うわ。明日の午後、町の外の近くの森で決着をつけましょう。
偉大なる魔女 ランシーヌより』
それを見た彼女は怒りの余り紙を引き裂いたのである。そして、彼女は虚ろな表情のオッツを睨んでいた。
「許さない! 絶対に!! 明日、必ず葬ってやる!!」
彼女は恨みの籠った声で呟いていた。その間にアニウスとオトフリートはオッツの縄と鎖を解いていた。
「おい、大丈夫か?」
2人が心配して話し掛けるとオッツは我に返っていた。そして、彼等の顔を見て思い出したのである。
「あ、ああ……。大丈夫だ……」
彼は力なく答えたのだ。そんな彼にサービラは話し掛けていた。
「何を教えたの? 教えて!」
オッツは不機嫌な表情で答えたのだ。
「……捕虜にした女に魅了された……。そして、吐かされた……」
「何を?」
サービラは彼に再度聞くと、彼は答えるのを躊躇っていたのだ。
「……俺達の能力を……」
「守護者の事は?」
サービラは追及すると、彼は物怖じしながら答えたのだ。
「それも喋った……」
「そう……」
彼女はそれだけ聞くと少し考えてからオッツから離れて、後ろにいたオトフリートに話しかけた。
「ちょっと、後で私の部屋に来て……」
彼女は真剣な表情をして懇願したのだ。オトフリートは頷いて答えていた。
そして、サービラが席を外そうとするとオッツのバツの悪そうな顔に気が付いたのである。彼女はその事に気が付きながらも部屋を出て行ったのだった。
その頃、宿屋でランシーヌはオッツから聞き出した情報に満足していた。
「これで、奴らの能力も分かったし……。それに、明日の作戦も思い付いたわ!」
ランシーヌは独り言の様に呟いていると、扉がノックされたのだ。彼女が返事をするとラドリックが入って来たのである。
「どうしたの?」
彼女が不思議そうに聞くと、俺は深刻な顔で言ったのだ。
「奴等の能力が分かったが、明日どのようにして戦いに臨むんだ……?」
「ああ、その事ね……」
彼女は含み笑いをしながら答えた。そして、笑顔で彼に話し掛けた。
「明日の戦いは私の作戦の通りに動いてくれればいいわ。魔女の守護者はベスという女性配下だから、双子達をあてがおうと思っているの。こちらも、シャイラが喋っているから貴方が守護者だとバレているけど……」
「ああ……。分かった……」
「騎士達は貴方とシャイラに任せようと思うの。彼女は彼等から陵辱されているから、その復讐も兼ねているわ」
そう言うと、彼女は俺に抱きつき軽く口付けをして言ったのである。
「それじゃ、明日よろしくね!」
ランシーヌは笑顔で部屋を出て行ったのだ。俺は彼女の後ろ姿を見ながら心の中で溜め息を吐いていた。
「はぁ……、上手くいけばいいな……」
そう呟いていたのだった。
宿屋の寝室で、シャイラと双子達は明日の事を話し合っていた。ニアは右肩と左腕に包帯を巻いて呟いていた。
「明日、サービラ達に戦いを挑むのね……」
ニアは不安そうな表情になっていたが、サービラ達と戦う事に興奮しているミラは真剣な表情で話していた。
「大丈夫! 私達なら勝てるわ!」
姉の強気な発言に、ニアは少し気が引けていた。すると、シャイラがニアを見ながら答えていたのだ。
「大丈夫! 貴女が今日、私を助けてくれた勇気が皆に力を与えてくれたわ! 今日は助けに来てくれて本当にありがとう」
シャイラは微笑みながら言うと、ニアは照れて顔を赤くしていた。彼女達は明日の戦いの計画を楽しそうに話し合っていたのだ。
そして、翌日になり、ランシーヌ達はサービラ達に戦いを挑むために昼過ぎに町の外にある森の前に来ていたのだ。
彼女は静かな森を見渡しながら呟いていた。
「ここなら、誰にも邪魔されずに戦えそうね。サービラ達まだ到着していないようだし……」
森を眺めながら呟いていると、暫くして後ろの方から声が聞こえたのだ。
「どうやら、来たようね!」
彼女が声がした方に振り向くとサービラ達がいたのだ。騎士達の装備は軽装だった。
アニウスとオッツは腰にロングソードを差して、オトフリートは背にグレートソードを背負っていたのである。
そして、オッツがシャイラを睨み付けていた。
「よくも私に屈辱を味あわせてくれたな! 絶対に殺す!!」
彼は憎悪が籠った目でシャイラを見ていたのだ。
そんなオッツにシャイラは悠然とした表情で話し掛けた。
「すぐに楽にしてあげるわ!」
シャイラの表情を見たオッツは怒りで我を忘れていたのである。
「お前だけは惨たらしく殺してやる!!」
彼は憎悪に満ちた声で叫ぶと、腰からロングソードを引き抜いて構えていたのだった。
すると、サービラが手を挙げて宣言したのである。
「始めなさい!」
そして、戦いが始まったのである。他の騎士達も剣を抜き構えていたのだった。
帰ると応接間には椅子に縛られ虚ろな表情で、じっと座っているオッツがいただけであった。
不思議に思いサービラはオッツに近付き、話し掛けたのである。
「一体、どうしたの!?」
しかし、彼は何も答えなかったのだ。不思議に思った彼女は何度も質問したが全く答えなかったのだ。それどころか、虚ろな瞳でどこを見ているのかさえ分からなかったのである。
「まさか……。あの女から魅了されたの?」
サービラは自問自答しながら呟いたのだ。そして、彼の体に文字が書かれている紙が貼られている事に気が付いたのだ。
「何? これ?」
彼女は最初は不思議そうに見ていたのだが、段々と怒りが湧いてくる感覚に襲われたのだ。
「あの女……、絶対に許さない! 殺してやる!!」
彼女は歯を食い縛りながら叫んでいた。紙に書かれている内容はこうだった。
『馬鹿で間抜けの魔女 サービラへ
お前の間抜けな手下が、お前達の能力を喋ってくれた……。貴女の管理能力の無さがよく分かったわ。まあ……、魔女としての能力もポンコツだから仕方ないわね。そろそろお互いに勝負をつけようと思うわ。明日の午後、町の外の近くの森で決着をつけましょう。
偉大なる魔女 ランシーヌより』
それを見た彼女は怒りの余り紙を引き裂いたのである。そして、彼女は虚ろな表情のオッツを睨んでいた。
「許さない! 絶対に!! 明日、必ず葬ってやる!!」
彼女は恨みの籠った声で呟いていた。その間にアニウスとオトフリートはオッツの縄と鎖を解いていた。
「おい、大丈夫か?」
2人が心配して話し掛けるとオッツは我に返っていた。そして、彼等の顔を見て思い出したのである。
「あ、ああ……。大丈夫だ……」
彼は力なく答えたのだ。そんな彼にサービラは話し掛けていた。
「何を教えたの? 教えて!」
オッツは不機嫌な表情で答えたのだ。
「……捕虜にした女に魅了された……。そして、吐かされた……」
「何を?」
サービラは彼に再度聞くと、彼は答えるのを躊躇っていたのだ。
「……俺達の能力を……」
「守護者の事は?」
サービラは追及すると、彼は物怖じしながら答えたのだ。
「それも喋った……」
「そう……」
彼女はそれだけ聞くと少し考えてからオッツから離れて、後ろにいたオトフリートに話しかけた。
「ちょっと、後で私の部屋に来て……」
彼女は真剣な表情をして懇願したのだ。オトフリートは頷いて答えていた。
そして、サービラが席を外そうとするとオッツのバツの悪そうな顔に気が付いたのである。彼女はその事に気が付きながらも部屋を出て行ったのだった。
その頃、宿屋でランシーヌはオッツから聞き出した情報に満足していた。
「これで、奴らの能力も分かったし……。それに、明日の作戦も思い付いたわ!」
ランシーヌは独り言の様に呟いていると、扉がノックされたのだ。彼女が返事をするとラドリックが入って来たのである。
「どうしたの?」
彼女が不思議そうに聞くと、俺は深刻な顔で言ったのだ。
「奴等の能力が分かったが、明日どのようにして戦いに臨むんだ……?」
「ああ、その事ね……」
彼女は含み笑いをしながら答えた。そして、笑顔で彼に話し掛けた。
「明日の戦いは私の作戦の通りに動いてくれればいいわ。魔女の守護者はベスという女性配下だから、双子達をあてがおうと思っているの。こちらも、シャイラが喋っているから貴方が守護者だとバレているけど……」
「ああ……。分かった……」
「騎士達は貴方とシャイラに任せようと思うの。彼女は彼等から陵辱されているから、その復讐も兼ねているわ」
そう言うと、彼女は俺に抱きつき軽く口付けをして言ったのである。
「それじゃ、明日よろしくね!」
ランシーヌは笑顔で部屋を出て行ったのだ。俺は彼女の後ろ姿を見ながら心の中で溜め息を吐いていた。
「はぁ……、上手くいけばいいな……」
そう呟いていたのだった。
宿屋の寝室で、シャイラと双子達は明日の事を話し合っていた。ニアは右肩と左腕に包帯を巻いて呟いていた。
「明日、サービラ達に戦いを挑むのね……」
ニアは不安そうな表情になっていたが、サービラ達と戦う事に興奮しているミラは真剣な表情で話していた。
「大丈夫! 私達なら勝てるわ!」
姉の強気な発言に、ニアは少し気が引けていた。すると、シャイラがニアを見ながら答えていたのだ。
「大丈夫! 貴女が今日、私を助けてくれた勇気が皆に力を与えてくれたわ! 今日は助けに来てくれて本当にありがとう」
シャイラは微笑みながら言うと、ニアは照れて顔を赤くしていた。彼女達は明日の戦いの計画を楽しそうに話し合っていたのだ。
そして、翌日になり、ランシーヌ達はサービラ達に戦いを挑むために昼過ぎに町の外にある森の前に来ていたのだ。
彼女は静かな森を見渡しながら呟いていた。
「ここなら、誰にも邪魔されずに戦えそうね。サービラ達まだ到着していないようだし……」
森を眺めながら呟いていると、暫くして後ろの方から声が聞こえたのだ。
「どうやら、来たようね!」
彼女が声がした方に振り向くとサービラ達がいたのだ。騎士達の装備は軽装だった。
アニウスとオッツは腰にロングソードを差して、オトフリートは背にグレートソードを背負っていたのである。
そして、オッツがシャイラを睨み付けていた。
「よくも私に屈辱を味あわせてくれたな! 絶対に殺す!!」
彼は憎悪が籠った目でシャイラを見ていたのだ。
そんなオッツにシャイラは悠然とした表情で話し掛けた。
「すぐに楽にしてあげるわ!」
シャイラの表情を見たオッツは怒りで我を忘れていたのである。
「お前だけは惨たらしく殺してやる!!」
彼は憎悪に満ちた声で叫ぶと、腰からロングソードを引き抜いて構えていたのだった。
すると、サービラが手を挙げて宣言したのである。
「始めなさい!」
そして、戦いが始まったのである。他の騎士達も剣を抜き構えていたのだった。