第85話 カサンドラの新たな仲間
文字数 3,288文字
カサンドラとカタリーナの戦いの決着を遠くで透視の術で見守っていた者がいた。それは、カイラニと呼ばれる老婆であった。
彼女は魔女達の死闘を水晶玉に映し出して見物していたのである。
「とうとう、魔女は全部で3人になったようだね……。黒髪の魔女と銀髪の魔女が残ったね……」
彼女はそう言って笑みを浮かべていたのだ。そして、水晶玉の映像を消して彼女がいる場所を後にしようとした時であった。
背後から気配がして振り向くとそこにはローブを着込んだ女性が立っており、カイラニを注視していたのである。
「おやおや……オルガ様では御座いませんか。銀髪の魔女と狂える魔女の決着がつきました……」
カイラニは笑みを浮かべ、オルガを見据えて言ったのであった。
「そう……。ご苦労様」
彼女はそう短く答えると、カイラニは提案してきたのである。
「今なら銀髪の魔女は手下を含めて3人です。こちらから仕掛けては?」
「いや、もうしばらく様子を見るとしよう。奴が異端の魔女であれば倒しても最後の魔女になれない……。黒髪の魔女と銀髪の魔女、どちらが異端の魔女なのか調べることは出来るか?」
「もちろん出来ますとも」
カイラニが笑みを浮かべて答えると、オルガは彼女に命じだのだ。
「ならば、黒髪の魔女と銀髪の魔女の様子を観察せよ。何かあれば事細やかに知らせるのだ」
「了解致しました」
彼女はそう言って恭しくお辞儀をすると姿を消したのだった。カイラニが居なくなると彼女は呟くように言ったのである。
「さて……どちらが異端の魔女なのやら……」
カサンドラ達はサンスタ町を出て仲間を探しながら街道を進んでいた。その道すがらサロメが彼女に話しかけたのである。
「カサンドラ様、これからどうするおつもりですか?」
「そうね……。まず、仲間の確保ね……」
彼女はそう答えるとサロメは首を傾げながら言ったのだ。
「どのような仲間ですか?」
「ええ、シェールとノバとレアンの代わりになる仲間よ……」
カサンドラはサロメに答えているとロシェルが話に加わってきたのだ。
「カサンドラ様、あの3人に匹敵する者はいるでしょうか?」
ロシェルが彼女に聞くと、カサンドラは腕を組んで答えたのである。
「分からない……。ただ、今の人数では心許ないわ……」
「そうですね……」
3人はそんなことを話し合っていると、目の前から1台の馬車がやって来たのである。その馬車は罪人や魔女疑いの人を運ぶ檻付きの馬車だったのだ。
そして、その馬車には御者台に御者と若い修道士が乗っていたのである。檻の中には2人の女性が手枷をはめられていた。
その馬車を見てサロメとロシェルは警戒してカサンドラに下がるように促した。しかし、彼女はそれを無視して馬車の御者台に向かって話しかけたのだった。
「すみませんが……。止まって貰えませんか……」
すると、若い修道士が彼女達に気付いて御者に指示を出して馬車を止めたのである。そして、彼はカサンドラ達に問いかけたのだ。
「何でしょう?」
若い修道士が答えると、カサンドラは語気を強めながら話しかけた。
「檻の中の女性は魔女疑いの人達なの!?」
彼女はそう言って、馬車の中で手枷をはめられている女性を見て言ったのである。すると、若い修道士は首を縦に振って答えた。
「そうです……。彼女達は魔女の疑いがかけられています……」
「そう……。なら、私達が彼女達を預かるわ」
すると、若い修道士はカサンドラ達を訝しんで言ったのだ。
「勝手な事をしないで下さい!」
「私は魔女よ」
「魔女……?」
若い修道士が驚いていると、カサンドラは続けて言ったのである。
「手荒なことはしたくないけど……?」
彼女はそう言って若い修道士を見据えて言ったのだ。その間にサロメは三日月斧を取り出し男達を威嚇したのである。
すると、御者は馬車から降りて逃げ出したのだ。それを見て修道士は舌打ちをして答えた。
「……分かりました。彼女達を解放します……」
彼は檻の中の女性に目配せをすると女性はカサンドラ達を見て安堵の表情を浮かべたのだった。そして、修道士は御者台から降りて檻の鍵を渡したのである。
カサンドラ達は馬車の檻に回り込み扉を開けて中に入ったのだ。馬車の中に入ると2人の女性は安堵の表情を浮かべたのである。
「今、自由にしてあげるわ」
カサンドラはそう言って、彼女達の手枷を外すと解放したのであった。彼女達はカサンドラを不思議そうに見ていたのである。
すると、修道女姿の女性が頭を下げて言ったのだ。
「ありがとうございます……。ですが、私達を解放して良かったのですか……?」
「気にしないで。私達は仲間を集めているの……。それと、私達は他の魔女を倒すために旅をしているわ」
修道女はカサンドラを見据えながら訊ねたのだ。
「貴女の名前を教えて下さい……?」
「私の名はカサンドラよ……」
修道女は、その名を聞くとハッとしたような顔になり、カサンドラの顔をじっと見つめ訊いてきたのである。
「もしかして貴女は、あの聖女様の……? けど、あの方は10年前に火炙りで処刑された筈……」
「私はそのカサンドラよ……。火炙りにされたけど魔女として蘇ったの……」
「そうですか……。10年以上前に貴女と話したことがあります……」
修道女は複雑な表情をして答えたのだ。そして、カサンドラは続けて言ったのである。
「貴女達の名前を聞かせてくれる?」
すると、修道女は自分の名前を名乗ったのだ。
「私はマチルダといいます……」
「私の名前はベルと言います……」
続いて、もう1人のポッチャリ体型の女も名前を言ったのである。
そして、2人は名を名乗ると自己紹介を終えたのだ。
「貴女達が魔女の疑いがかけられた理由は?」
カサンドラが2人に訊ねると、マチルダは目を伏せて言ったのだ。
「私は薬草の知識があるのですが、特に毒草に詳しかったので……。それで異端者とされて捕らえられました……」
すると、ベルも続けて答えたのである。
「はい……。私は動物達と親密なだけだったのに……。 それなのに魔女の疑いをかけられ無理矢理連れてかれて……本当に酷いです!」
マチルダとベルは悲しそうな表情を浮かべたのである。そんな2人にカサンドラは手を差し出して言ったのだ。
「貴女達を助けられて良かったわ……。一緒に私達の仲間になってくれるかしら?」
すると、彼女達は手を取って答えたのである。
「はい、もちろんです」
2人は笑みを浮かべて答えたのであった。そして、若い修道士にも仲間になるようにと誘ったのだが、彼は迷っていたのである。
「私は神に仕える身です……。魔女の味方になることは出来ません……」
彼はそう言って馬車に乗ろうとすると、マチルダが若い修道士を引き留めたのだった。
「待って! あの方は聖女様と言われた人なのよ!」
「え……この方が……?」
彼は信じられないと言った表情を浮かべてカサンドラを凝視する。その視線に耐えられずに彼女は言ったのだ。
「昔の話よ……」
カサンドラは複雑な表情を浮かべてそう答えると、若い修道士は悩んだ末、言ったのである。
「もしかしたら、これも何かの運命かも……。分かりました貴方達の仲間になります……。私の名はジェイコブです」
彼はそう言うと馬車に乗り込んだのだ。そして、全員が馬車に乗り込むとサロメが御者台に座り手綱を持ったのである。
そして、マチルダがカサンドラに訊ねてきた。
「これから何処に向かうのですか?」
「そうね……。まずは近くの町に行って情報を集めないとね……」
「情報ですか……」
マチルダが首を傾げていると、ベルが何かに閃いたのか話だしたのである。
「町の酒場で話を聞くとかどうですか? 酒場なら人の出入りが多いので情報が集まりそうですよ?」
カサンドラはベルの提案に賛成し、ジェイコブに言ったのだ。
「そうね……。まずは近くの町に向かってくれる?」
「分かりました……。ここから近い町はルドレイですね」
ジェイコブは答えると、馬車は進みだした。そして、カサンドラ達はこれからの行動方針を話しあいながら旅路を進むのだった。
彼女は魔女達の死闘を水晶玉に映し出して見物していたのである。
「とうとう、魔女は全部で3人になったようだね……。黒髪の魔女と銀髪の魔女が残ったね……」
彼女はそう言って笑みを浮かべていたのだ。そして、水晶玉の映像を消して彼女がいる場所を後にしようとした時であった。
背後から気配がして振り向くとそこにはローブを着込んだ女性が立っており、カイラニを注視していたのである。
「おやおや……オルガ様では御座いませんか。銀髪の魔女と狂える魔女の決着がつきました……」
カイラニは笑みを浮かべ、オルガを見据えて言ったのであった。
「そう……。ご苦労様」
彼女はそう短く答えると、カイラニは提案してきたのである。
「今なら銀髪の魔女は手下を含めて3人です。こちらから仕掛けては?」
「いや、もうしばらく様子を見るとしよう。奴が異端の魔女であれば倒しても最後の魔女になれない……。黒髪の魔女と銀髪の魔女、どちらが異端の魔女なのか調べることは出来るか?」
「もちろん出来ますとも」
カイラニが笑みを浮かべて答えると、オルガは彼女に命じだのだ。
「ならば、黒髪の魔女と銀髪の魔女の様子を観察せよ。何かあれば事細やかに知らせるのだ」
「了解致しました」
彼女はそう言って恭しくお辞儀をすると姿を消したのだった。カイラニが居なくなると彼女は呟くように言ったのである。
「さて……どちらが異端の魔女なのやら……」
カサンドラ達はサンスタ町を出て仲間を探しながら街道を進んでいた。その道すがらサロメが彼女に話しかけたのである。
「カサンドラ様、これからどうするおつもりですか?」
「そうね……。まず、仲間の確保ね……」
彼女はそう答えるとサロメは首を傾げながら言ったのだ。
「どのような仲間ですか?」
「ええ、シェールとノバとレアンの代わりになる仲間よ……」
カサンドラはサロメに答えているとロシェルが話に加わってきたのだ。
「カサンドラ様、あの3人に匹敵する者はいるでしょうか?」
ロシェルが彼女に聞くと、カサンドラは腕を組んで答えたのである。
「分からない……。ただ、今の人数では心許ないわ……」
「そうですね……」
3人はそんなことを話し合っていると、目の前から1台の馬車がやって来たのである。その馬車は罪人や魔女疑いの人を運ぶ檻付きの馬車だったのだ。
そして、その馬車には御者台に御者と若い修道士が乗っていたのである。檻の中には2人の女性が手枷をはめられていた。
その馬車を見てサロメとロシェルは警戒してカサンドラに下がるように促した。しかし、彼女はそれを無視して馬車の御者台に向かって話しかけたのだった。
「すみませんが……。止まって貰えませんか……」
すると、若い修道士が彼女達に気付いて御者に指示を出して馬車を止めたのである。そして、彼はカサンドラ達に問いかけたのだ。
「何でしょう?」
若い修道士が答えると、カサンドラは語気を強めながら話しかけた。
「檻の中の女性は魔女疑いの人達なの!?」
彼女はそう言って、馬車の中で手枷をはめられている女性を見て言ったのである。すると、若い修道士は首を縦に振って答えた。
「そうです……。彼女達は魔女の疑いがかけられています……」
「そう……。なら、私達が彼女達を預かるわ」
すると、若い修道士はカサンドラ達を訝しんで言ったのだ。
「勝手な事をしないで下さい!」
「私は魔女よ」
「魔女……?」
若い修道士が驚いていると、カサンドラは続けて言ったのである。
「手荒なことはしたくないけど……?」
彼女はそう言って若い修道士を見据えて言ったのだ。その間にサロメは三日月斧を取り出し男達を威嚇したのである。
すると、御者は馬車から降りて逃げ出したのだ。それを見て修道士は舌打ちをして答えた。
「……分かりました。彼女達を解放します……」
彼は檻の中の女性に目配せをすると女性はカサンドラ達を見て安堵の表情を浮かべたのだった。そして、修道士は御者台から降りて檻の鍵を渡したのである。
カサンドラ達は馬車の檻に回り込み扉を開けて中に入ったのだ。馬車の中に入ると2人の女性は安堵の表情を浮かべたのである。
「今、自由にしてあげるわ」
カサンドラはそう言って、彼女達の手枷を外すと解放したのであった。彼女達はカサンドラを不思議そうに見ていたのである。
すると、修道女姿の女性が頭を下げて言ったのだ。
「ありがとうございます……。ですが、私達を解放して良かったのですか……?」
「気にしないで。私達は仲間を集めているの……。それと、私達は他の魔女を倒すために旅をしているわ」
修道女はカサンドラを見据えながら訊ねたのだ。
「貴女の名前を教えて下さい……?」
「私の名はカサンドラよ……」
修道女は、その名を聞くとハッとしたような顔になり、カサンドラの顔をじっと見つめ訊いてきたのである。
「もしかして貴女は、あの聖女様の……? けど、あの方は10年前に火炙りで処刑された筈……」
「私はそのカサンドラよ……。火炙りにされたけど魔女として蘇ったの……」
「そうですか……。10年以上前に貴女と話したことがあります……」
修道女は複雑な表情をして答えたのだ。そして、カサンドラは続けて言ったのである。
「貴女達の名前を聞かせてくれる?」
すると、修道女は自分の名前を名乗ったのだ。
「私はマチルダといいます……」
「私の名前はベルと言います……」
続いて、もう1人のポッチャリ体型の女も名前を言ったのである。
そして、2人は名を名乗ると自己紹介を終えたのだ。
「貴女達が魔女の疑いがかけられた理由は?」
カサンドラが2人に訊ねると、マチルダは目を伏せて言ったのだ。
「私は薬草の知識があるのですが、特に毒草に詳しかったので……。それで異端者とされて捕らえられました……」
すると、ベルも続けて答えたのである。
「はい……。私は動物達と親密なだけだったのに……。 それなのに魔女の疑いをかけられ無理矢理連れてかれて……本当に酷いです!」
マチルダとベルは悲しそうな表情を浮かべたのである。そんな2人にカサンドラは手を差し出して言ったのだ。
「貴女達を助けられて良かったわ……。一緒に私達の仲間になってくれるかしら?」
すると、彼女達は手を取って答えたのである。
「はい、もちろんです」
2人は笑みを浮かべて答えたのであった。そして、若い修道士にも仲間になるようにと誘ったのだが、彼は迷っていたのである。
「私は神に仕える身です……。魔女の味方になることは出来ません……」
彼はそう言って馬車に乗ろうとすると、マチルダが若い修道士を引き留めたのだった。
「待って! あの方は聖女様と言われた人なのよ!」
「え……この方が……?」
彼は信じられないと言った表情を浮かべてカサンドラを凝視する。その視線に耐えられずに彼女は言ったのだ。
「昔の話よ……」
カサンドラは複雑な表情を浮かべてそう答えると、若い修道士は悩んだ末、言ったのである。
「もしかしたら、これも何かの運命かも……。分かりました貴方達の仲間になります……。私の名はジェイコブです」
彼はそう言うと馬車に乗り込んだのだ。そして、全員が馬車に乗り込むとサロメが御者台に座り手綱を持ったのである。
そして、マチルダがカサンドラに訊ねてきた。
「これから何処に向かうのですか?」
「そうね……。まずは近くの町に行って情報を集めないとね……」
「情報ですか……」
マチルダが首を傾げていると、ベルが何かに閃いたのか話だしたのである。
「町の酒場で話を聞くとかどうですか? 酒場なら人の出入りが多いので情報が集まりそうですよ?」
カサンドラはベルの提案に賛成し、ジェイコブに言ったのだ。
「そうね……。まずは近くの町に向かってくれる?」
「分かりました……。ここから近い町はルドレイですね」
ジェイコブは答えると、馬車は進みだした。そして、カサンドラ達はこれからの行動方針を話しあいながら旅路を進むのだった。