第37話 次への旅路
文字数 2,277文字
俺は彼女の処遇を、どうするか聞いてみた。
「それで、彼女はどうする?」
質問すると、ランシーヌが答えてくれたのだ。
「そうね……。とりあえずは、私達と一緒に来てもらうわ……」
俺は頷きながらシャイラに近づいて行った。彼女は、まだ呆然としている状態であったが俺が近づいても何も言わなかったのだ。
「シャイラだったな……。これから皆と一緒に来てもらうぞ……」
そう話しかけると、彼女は小さな声で答えてくれたのだ。
「……はい」
こうして、4人目の仲間が誕生したのである。俺達は彼女を連れてアンドレアの館から町まで帰ることにしたのであった……。
深夜の中、町に帰る途中に俺はランシーヌに小声で訊いてみた。
「クレムとの戦いで首を斬られても死ななかったんだが、どんな力を与えたんだ?」
彼女は少し考えてから答えてくれた。
「首無し騎士の能力よ……。首を斬られても死なないけど、心臓や頭部を攻撃されたら本当に死んでしまうから気をつけてね」
どうやら、首を切られたとしても死なないが頭部や心臓を攻撃されれば死んでしまうらしい。
「……わかった」
そう答えて歩いていると、俺は思い出したように、更に小声でランシーヌに耳打ちした。
「アレシアは疫病に罹って死にかけた所をアンドレアに救われたが、奴が死んだら力を失って亡くなってしまった。それは、君が死んでしまうと双子達も死んでしまうのか?」
「ええ。その通りよ」
ランシーヌは少し俯いて答えたのだ。彼女は複雑な表情をしていたのである……。
(双子達を生かすためには、彼女が死なないようにしないといけないな……)
「ついでに話しておくけど、魔女は守護者を殺されると再生能力が落ちていくわ……」
「そうなのか?」
「ええ、守護者を殺された魔女は、再生能力を徐々に失ってしまう……。エリノーラ、アンドレアと戦って分かったわ」
「なるほど、それでか……」
彼女が言った事に納得していると、彼女は心配そうな表情で聞いてきた。
「だから、守護者である貴方が死ぬと私も危ういの……。だから絶対に死なないでね……」
「ああ、当然だ……」
そう答えると、俺は彼女の手を握った。彼女は少し驚いた表情をしていたがすぐに微笑んでくれたのだ。
俺達は町の近くまで戻ってくると、ランシーヌが先頭に立って町に入っていったのだ。
因みに、彼女はアンドレアの館を出る時に兵士が捨て去ったマントを羽織って胸を隠していた。
町に入ると、俺達はクレムの屋敷に向った。
夜中だからなのか屋敷には明かりがなく静まり返っていた。
玄関の扉は鍵が掛かっておらず、俺達は屋敷の中に入っていったのだ。
屋敷の中は人の気配は無く、ただ静寂だけが支配していたのである。
「誰もいないのか?」
俺がそう聞くとランシーヌは答えた。
「もしかしたら……」
彼女はそう言うと、奥にある部屋の前で立ち止まったのだ。
そこはクレムの使用人が詰めている部屋であった。
ドアを開けると、真っ暗であったが床に人が倒れているのが確認できたのである。
「やはり、亡くなっているわね……」
彼女はそう言うと部屋の中に入っていったのだ。そして、倒れている人物を確認すると呟いたのだ。
「使用人達もアンドレアから仮初めの命を貰っていたのね……」
ランシーヌはそう言いながら、部屋を出て行き、俺も彼女の後に続いたのだった。
屋敷に明かりを灯してから、双子が話しかけてきたのだ。
「これからどうするの?」
ニアが質問してきたので、俺は答えようとしたのだがランシーヌの方が先に答えたのだった。
「とりあえずは、明日になったら考えましょう」
「そうだな……」
「そうね……」
「わかった……」
皆は疲れていたので反対意見はなかったのである。
それから、俺達はそれぞれの部屋で休むことにしたのだ……。
翌朝、俺は部屋の扉を叩く音で目が覚めたのだ。扉を開けるとランシーヌがいたのである。
彼女は眠そうに欠伸をしていた。寝癖がついた髪の毛を手で撫で付けていたのだが、俺はそのままの髪型が可愛らしく見えたので指摘する気にはならなかったのだ。
「おはよう……」
俺が挨拶をするとランシーヌも笑顔で返答したのだ。
「おはよう」
そして、彼女は用件を話してきたのである。
「早速だけど支度したら、この町を今日の昼には出て行くわよ」
彼女の言葉に俺は頷きながら答えた。
「分かったよ……」
全員起きて、準備を済ませると屋敷の外に出て見たのだ。すると、俺は人が少なくなっていることに気が付いたのである。
生きている町の人達が、あたふたしながら混乱していた。
「そう言えば……外が騒がしくなったようだな?」
そう聞くと彼女は答えてくれたのだ。
「アンドレアから仮初めの命を与えられた人達は死んだのでしょうね……」
おそらく、アンドレア達が死んだことでこの町を取り仕切る者がいなくなり混乱しているのだろう……。
俺達は、この状況を目の当たりにした事で、少し同情した気持ちになっていた。だが、今は早くこの町を離れることにしたのだ。
こんな様子では町の検問所は、まともに機能していないだろう。
町の出入り口である門が見えてきたので近付いて行くと、クレムが死んだことで検問所には兵士がいなかった。
俺達は、そのまま町の外に出ると街道を馬車で進んで行った。
暫くの間、無言でいたのだが、ランシーヌに話しかけてみたのだ。
「これから、どのようにして魔女を捜すんだ?」
「そうね……。とりあえずは、西に向かいながら情報収集するわ」
「了解した……」
そう言うと、俺は御者台に座って馬を走らせ西に向かうのだった。
「それで、彼女はどうする?」
質問すると、ランシーヌが答えてくれたのだ。
「そうね……。とりあえずは、私達と一緒に来てもらうわ……」
俺は頷きながらシャイラに近づいて行った。彼女は、まだ呆然としている状態であったが俺が近づいても何も言わなかったのだ。
「シャイラだったな……。これから皆と一緒に来てもらうぞ……」
そう話しかけると、彼女は小さな声で答えてくれたのだ。
「……はい」
こうして、4人目の仲間が誕生したのである。俺達は彼女を連れてアンドレアの館から町まで帰ることにしたのであった……。
深夜の中、町に帰る途中に俺はランシーヌに小声で訊いてみた。
「クレムとの戦いで首を斬られても死ななかったんだが、どんな力を与えたんだ?」
彼女は少し考えてから答えてくれた。
「首無し騎士の能力よ……。首を斬られても死なないけど、心臓や頭部を攻撃されたら本当に死んでしまうから気をつけてね」
どうやら、首を切られたとしても死なないが頭部や心臓を攻撃されれば死んでしまうらしい。
「……わかった」
そう答えて歩いていると、俺は思い出したように、更に小声でランシーヌに耳打ちした。
「アレシアは疫病に罹って死にかけた所をアンドレアに救われたが、奴が死んだら力を失って亡くなってしまった。それは、君が死んでしまうと双子達も死んでしまうのか?」
「ええ。その通りよ」
ランシーヌは少し俯いて答えたのだ。彼女は複雑な表情をしていたのである……。
(双子達を生かすためには、彼女が死なないようにしないといけないな……)
「ついでに話しておくけど、魔女は守護者を殺されると再生能力が落ちていくわ……」
「そうなのか?」
「ええ、守護者を殺された魔女は、再生能力を徐々に失ってしまう……。エリノーラ、アンドレアと戦って分かったわ」
「なるほど、それでか……」
彼女が言った事に納得していると、彼女は心配そうな表情で聞いてきた。
「だから、守護者である貴方が死ぬと私も危ういの……。だから絶対に死なないでね……」
「ああ、当然だ……」
そう答えると、俺は彼女の手を握った。彼女は少し驚いた表情をしていたがすぐに微笑んでくれたのだ。
俺達は町の近くまで戻ってくると、ランシーヌが先頭に立って町に入っていったのだ。
因みに、彼女はアンドレアの館を出る時に兵士が捨て去ったマントを羽織って胸を隠していた。
町に入ると、俺達はクレムの屋敷に向った。
夜中だからなのか屋敷には明かりがなく静まり返っていた。
玄関の扉は鍵が掛かっておらず、俺達は屋敷の中に入っていったのだ。
屋敷の中は人の気配は無く、ただ静寂だけが支配していたのである。
「誰もいないのか?」
俺がそう聞くとランシーヌは答えた。
「もしかしたら……」
彼女はそう言うと、奥にある部屋の前で立ち止まったのだ。
そこはクレムの使用人が詰めている部屋であった。
ドアを開けると、真っ暗であったが床に人が倒れているのが確認できたのである。
「やはり、亡くなっているわね……」
彼女はそう言うと部屋の中に入っていったのだ。そして、倒れている人物を確認すると呟いたのだ。
「使用人達もアンドレアから仮初めの命を貰っていたのね……」
ランシーヌはそう言いながら、部屋を出て行き、俺も彼女の後に続いたのだった。
屋敷に明かりを灯してから、双子が話しかけてきたのだ。
「これからどうするの?」
ニアが質問してきたので、俺は答えようとしたのだがランシーヌの方が先に答えたのだった。
「とりあえずは、明日になったら考えましょう」
「そうだな……」
「そうね……」
「わかった……」
皆は疲れていたので反対意見はなかったのである。
それから、俺達はそれぞれの部屋で休むことにしたのだ……。
翌朝、俺は部屋の扉を叩く音で目が覚めたのだ。扉を開けるとランシーヌがいたのである。
彼女は眠そうに欠伸をしていた。寝癖がついた髪の毛を手で撫で付けていたのだが、俺はそのままの髪型が可愛らしく見えたので指摘する気にはならなかったのだ。
「おはよう……」
俺が挨拶をするとランシーヌも笑顔で返答したのだ。
「おはよう」
そして、彼女は用件を話してきたのである。
「早速だけど支度したら、この町を今日の昼には出て行くわよ」
彼女の言葉に俺は頷きながら答えた。
「分かったよ……」
全員起きて、準備を済ませると屋敷の外に出て見たのだ。すると、俺は人が少なくなっていることに気が付いたのである。
生きている町の人達が、あたふたしながら混乱していた。
「そう言えば……外が騒がしくなったようだな?」
そう聞くと彼女は答えてくれたのだ。
「アンドレアから仮初めの命を与えられた人達は死んだのでしょうね……」
おそらく、アンドレア達が死んだことでこの町を取り仕切る者がいなくなり混乱しているのだろう……。
俺達は、この状況を目の当たりにした事で、少し同情した気持ちになっていた。だが、今は早くこの町を離れることにしたのだ。
こんな様子では町の検問所は、まともに機能していないだろう。
町の出入り口である門が見えてきたので近付いて行くと、クレムが死んだことで検問所には兵士がいなかった。
俺達は、そのまま町の外に出ると街道を馬車で進んで行った。
暫くの間、無言でいたのだが、ランシーヌに話しかけてみたのだ。
「これから、どのようにして魔女を捜すんだ?」
「そうね……。とりあえずは、西に向かいながら情報収集するわ」
「了解した……」
そう言うと、俺は御者台に座って馬を走らせ西に向かうのだった。