第100話 魔女達の異変

文字数 3,230文字

 朧げな姿をした女性がマチルダとベルの体を擦り抜けていくと彼女達の体に異変が起きていたのである……。


「こ……これは……!」


 2人は強烈な倦怠感と疲労感が襲って来て立つこともままならぬ状態であった……。そして、マチルダとベルは薄れゆく意識の中でベスに向かって手を伸ばし喚いたのであった。


「助けてぇ……!」

「死にたく……ない……」


 彼女達は、そのまま地面に倒れ込むと、その顔には生気がなく肌が土気色になり皮膚が干からびたような状態になったのであった……。

 その光景を目の当たりにした双子とベスは何が起きたのか理解出来ずにただ呆然としていただけであったのだ……。


「え……?」


 双子が信じられないような表情で固まっていると、ベスは怒りの表情でその女性に向かって叫んだのである。


「貴女……彼女達に何をしたんですか!?」


 彼女の怒声に女性はクスクス笑いながら彼女達の方を見たのだ。そして、ニタァ~~と笑うとこう言ったのである。


「私は……魔女……オルガの……配下……エヴリン……」

「魔女オルガ!?」


 双子は驚愕の声を上げたが、ベスは冷静に淡々とエヴリンに問い掛けた。


「何故……彼女達をこんな目に……?」


 すると、彼女はクスクス笑いながら答えたのである。


「私はね……貴方達を……殺すように……命令されたの……たまたま……そこに……彼女達が……居ただけ……」

「それで……彼女達を殺したのですか……?」


 ベスが怒りに震えながら問い掛けると彼女はまた笑い出したのである。


「ふふふ……私が……体を……擦り抜けると……普通の……人間は……死ぬのよ……」

「貴女は許さない!」


 ベスは怒りを露わにしてエヴリンに詰め寄ると、彼女は両手を広げて言ったのである。


「まあ……貴女達も……すぐに……殺して……あげるわ……」


 そう言うと同時に彼女はベスの体を擦り抜けたのである。彼女が擦り抜けた後にベスは強烈な倦怠感と疲労感で膝を突いてしまっていたのだ……。

 しかし、人間ではないので1回擦り抜けられただけでは死ななかったのであった。


「ベス!」


 ニアは叫ぶと、エヴリンに向かって爪で切り裂こうとしたが、彼女の攻撃は空を切ったような感触でしかなかったのだ。


「ふふ……私に……攻撃は……無意味よ……」


 エヴリンは嘲笑いながら宙を飛び、ミラとニアの体を擦り抜けていった。すると、2人とも倦怠感と疲労感に襲われて膝を突いてしまったのであった……。



 エヴリンが双子とベスに襲い掛かっていた時、オルガは蹲っているランシーヌに近付いて行った。


「どう……悔しい……?」


 オルガがランシーヌに問い掛けると、彼女は顔を上げて睨み付けるだけであった。だが、オルガは余裕の笑みを浮かべていたのだ。


「最後の魔女になったら何が起こると思う……?」


 彼女はランシーヌにそう問い掛けると、ランシーヌは嘲るように鼻で笑ったのである。


「はっ! そんなの関係ない!」


 彼女はそう言うと同時に立ち上がると、オルガに向かって弓で殴ろうと襲い掛かったのであった。

 だが、オルガはランシーヌの攻撃が分かっていたかのように躱すと、彼女の足を払ったのである。


「きゃあ!!」


 彼女は叫び声を上げながら地面に倒れ込んでしまうと、オルガに足で踏みつけられたのであった。そんな彼女を見下ろしながらオルガは蔑むような目で見ていたのだった……。


「貴女もこれから起こる事を刮目して見るのよ……」


 オルガがそう言うと、空が急速に曇りはじめ、強風が吹き荒れだしたのである。そして、瞬く間に雷が鳴り響き、稲妻が走り始めたのだ……。


「これは……?」


 ランシーヌが困惑しているとオルガは彼女を踏み付けながら嘲笑ったのであった。


「これから私が真の魔女になるのよ……」


 オルガはそう言うと同時に……上空から青白い稲妻が落ちて来たのだ……!


「!?」


 突然、落ちて来た稲妻にオルガは驚愕の表情をし、感電していたのである。


「ぎゃあぁぁぁ……!?」

「キャァァ――!」


 ランシーヌも彼女と一緒にいた為、2人とも感電して痙攣していたのであった。そして、オルガとランシーヌは感電し気絶してしまったのだ……。

 稲妻が落ちて来た空を見上げれば急に風が吹き止み雲も晴れていき青空が見え始めていたのである。

 暫くすると、気絶していたオルガは髪や服が焦げながらも目を見開いたのである。


「……我の邪魔をするとは……不届き者め……」


 彼女は目を覚ましながら呟いていたのである。その隣ではランシーヌも同じく目を覚まし呟いていたのだ……。


「我の目的は……汝の邪魔をすることなり……」


 彼女達の姿はランシーヌ、オルガであるが口調や会話の内容が本人達とは異なっていたのであった。


「我が目的は、この世界を滅ぼし作り変えること……」

「思い通りにはさせぬ……」


 彼女達が会話しているのを近くで拘束の魔法を掛けられて地面に横たわっていたシャイラは驚愕していたのである。


「まさか……2人共、何者かに乗っ取られた……?」


 シャイラはそう呟くと、ランシーヌの姿をした者とオルガの姿をした者は上空に飛んで行ったのだった……。


「今回も我の邪魔をするか……!」

「我の目的は汝の思い通りにさせぬこと……」


 そして、魔法が解け自由になったシャイラは彼女達が飛んで行った方向をただ見詰めていたのだった……。



 一方、ラドリックとハーランは剣を構えお互いを睨み合っていた。


「お前が従っている魔女は異端の魔女だ……。最後の魔女にはなれない……。それでも戦うのか?」


 ハーランの問い掛けに、俺は答えたのである。


「ランシーヌに服従している訳じゃない……彼女は俺達の仲間だ。それに彼女が死んだら亡くなってしまう者達もいるからな!」


 俺の脳裏にはミラとニアの姿が浮かんでいた。


「そうか……じゃあ死ね!」


 ハーランはそう言うと同時に、剣を構えて向かって来たのだ。

 俺も同じく剣を構えると2人は衝突したのだ。その衝撃で砂埃が舞い上がったのである。そして、暫く鍔迫り合いが続いたのだ……。


「お前を斬る……」


 彼がそう言うと、俺はニヤリと笑ったのであった。


「望むところだ……!」


 そう叫ぶと、俺は剣を弾いてハーランを斬り付けたのである。だが、彼はそれを素早く躱し俺の剣は空を斬ったのだ。そして、2人は再び鍔迫り合いになったのである。


「さすがだな……」


 俺はハーランの技量に驚きながらも剣に力を込めた。すると、徐々に押し始めていき彼の剣を跳ね上げたのである。


「何!?」


 彼はそう叫ぶと、後ろに後退したのだ。


「貴様……!」


 ハーランは怒りの形相を浮かべたが、俺は容赦なく追撃し彼の肩目掛けて剣を振り下ろしたのだった……。

 その時である! 突如、彼の背の籠の短剣が俺目掛けて飛んで来たのである。そして、俺の背に衝撃が襲ったのであった……。


「ぐっ!?」


 俺は思わず膝を突き、背に刺さった短剣を取ろうとしたのである……。その隙にハーランは俺の首に剣で斬り掛かって来たのだ。


「死ね!」


 ハーランは勝利を確信した表情で言うと、首に剣を振り下ろしたのだ……。

 彼の剣の斬撃により俺の首は刎ねられコロコロと転がって行ったが、俺の体は膝を突いた状態から剣を下から振り上げたのである。


「!?」


 ハーランは異変を感じ取り、咄嗟に後方に跳んで躱したが腹部から胸にかけて切り裂かれていたのであった。


「貴様……まさか……?」


 彼は傷口を触りながら驚愕の表情で俺を見ると、俺の首はニヤリと笑って答えたのだ。


「ああ……そうだよ」


 俺がそう言うと同時に体が俺の首を掴み元に戻したのである。そして、驚きの表情を浮かべているハーランに剣先を向けて言ったのだ。


「俺は首を斬られても死なない体だ……」

「お前は何者だ……?」


 彼はそう叫ぶと、俺に向かって再び斬り掛かって来たのだ。俺も必死に反撃し、お互い膠着状態になっていたのである。

 そんな時、突然空が曇りだし、風が吹き荒れ稲妻が走り出したのであった……。
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