第９０話　酒場でランシーヌとカサンドラは

　カサンドラは黒髪の女性の集団のテーブルに近付くと彼女は問い掛けたのだ。


「ちょっと良いですか……？」


　カサンドラは黒髪の女性に話しかけるとその女性は少し驚きながら答えたのだ。


「何？」


　彼女は警戒した目でカサンドラを睨み付けたのだ。そして、彼女はカサンドラに言ったのである。


「貴女……普通の人間じゃないわね……」

「ええ……私は魔女のカサンドラよ……」


　カサンドラがそう答えると彼女は嬉しそうに微笑んだのだ。


「へぇ……貴女がオルガと言う魔女から聞いた噂の魔女ね……」


　そして、彼女は自己紹介したのだった。


「私はランシーヌよ……宜しくね」


　カサンドラは笑顔を作りながらも警戒していたのである。すると、ランシーヌと名乗った女性は彼女に言ったのだ。


「ねぇ……私達と一緒に飲まない？ 奢るわよ」


　すると、カサンドラは頷き言ったのである。


「ええ……喜んで……」


　そして、ランシーヌは彼女にお酒を奢ると2人は同じテーブルに向かい合わせで座ったのだ。他の者達も彼女達の近くのテーブルにそれぞれ座り様子を見ていたのであった。

　2人の魔女が向かい合うと、ランシーヌはカサンドラに話し掛けたのである。


「ねぇ……貴女、私達と戦うのよね？」


　カサンドラは酒を飲みながら答えた。


「ええ……そうよ」


　ランシーヌは酒を注ぎながら彼女に話し掛けたのである。


「オルガをどう思う……？」


　カサンドラは酒を飲むのを止めるとランシーヌを見つめて言ったのだ。


「さあ……私と貴方を戦わせようしている卑怯な魔女でしょ……」


　彼女は酒を注ぎ終わると彼女にグラスを向けて言ったのである。


「そう……。でも、私は貴女と彼女にも負けるつもりはないわ……」


　ランシーヌは酒を飲み干してカサンドラに言ったのだ。


「私もよ……」


　2人は暫くの間無言で酒を飲んでいたのである。すると、ランシーヌがカサンドラに話し掛けた。


「ねぇ……いつ何処で戦う？」

「そうね……。明日、町の外の人気がない所で……」


　カサンドラは頷き笑顔で答えたのだ。


「いいわよ……」


　2人はお互い不適に微笑んでいたのだ。そして、彼女達は解散したのである……。



　ランシーヌと酒場で別れカサンドラ達は教会に戻ると今後の方針を決める事にしたのだ。

　カサンドラが皆に向かって言ったのである。


「明日は早く起きて町の外に行き、そこで戦うわよ」


　ロシェルは頷きながら彼女に質問したのだ。


「あの魔女達に何か罠でも仕掛けておきますか？」


　カサンドラは首を横に振り答えた。


「いいえ……そんな事はしないわ……。私達は正々堂々と戦いましょう」


　サロメが手を上げて質問したのだ。


「では、どうやって戦うのですか？」


　カサンドラは答える前にサロメに視線を移し彼女に質問したのである。


「サロメ……貴女の得意な戦い方は何……？」


　すると、彼女は自信を持って答えたのだ。


「私は……接近戦が得意です」


「そうね……。確かに貴女は接近戦が得意ね……。だから、明日はそれぞれ得意分野で分かれて戦うわ……」


　カサンドラはそう言うと、今度はマチルダに視線を移し彼女に質問したのである。


「マチルダ……貴女の得意な戦い方は……？」


　マチルダは少しだけ自信無さそうに答えると、カサンドラは答えたのだ。


「私は……遠くから遠距離攻撃が得意です」

「そう……貴女は遠くからの毒攻撃が能力よね……」


　そして、最後にベルに視線を移し彼女に質問したのである。


「ベル……貴女の得意な戦い方は何……？」


　彼女は首を傾げながら答えたのだ。


「私は動物を操る事が出来ます」

「そうね……それが貴女の得意技ね……」


　そして、カサンドラは全員と目を合わせて言ったのである。


「明日の戦いに備えて今日はゆっくり休みましょう……。明日は正々堂々と戦うわ……」



　ランシーヌ達は宿に戻ると明日の戦いに備えての作戦会議を始めたのである。


「私はカサンドラと戦うから、明日は各々の得意な分野で戦いましょう」


　すると、ランシーヌはシャイラに質問したのである。


「シャイラ……明日はどのように戦うの？」


　シャイラはランシーヌに微笑みながら答えたのだ。


「私なら守護者を、なるべく早く倒そうと思うわ……。もし、カサンドラが守護者の正体を知っているのなら、ラドリックを狙うでしょう……」


　ランシーヌは頷くと彼女に言ったのである。


「分かったわ……。では、私はカサンドラの相手をするから、シャイラは修道士の男をお願い……」

「ええ……分かったわ……」


　2人は頷くと他の者達も自分の戦う相手を決め始めたのである。そして、次の日の戦いに備えたのであった。

　ランシーヌはカサンドラと2人だけで戦う事を望んでいたのだ。それは、彼女の力を示す為でもあったのだ。

　そして、彼女はラドリックに言うのである。


「ラドリックは大柄で筋肉質の戦士風の女を相手して頂戴……。彼女は普通の戦士じゃないと思うの……」


　彼は彼女が酒場でカサンドラ以外の者達も細かく観察していたことに目を見張りながら答えだのだった。


「ああ……分かった」


　彼は明日に備えて自分の剣を手に取り磨き始めたのだ。そして、他の者達も明日の戦いに備えて準備を始めたのである。



　夜になり、カサンドラ達は教会の旅人用の部屋で休んでいたのだ。そして、カサンドラは2つ借りた部屋の３人部屋にジェイコブと一緒にいたのだ。

　そして、ジェイコブに近付き話し掛けたのだ。


「ねぇ……ジェイコブ……」


　ジェイコブが彼女を見ると、カサンドラは妖艶な目で彼を見つめていたのである。そして、彼女はゆっくりと服を脱ぎ捨て全裸になったのだ。


「私を抱いて……」


　ジェイコブは驚きながらも彼女の体を見て興奮していたのである。彼は彼女に近付くと彼女の体に触れようとした時であった……。


「貴方も裸になって……」


　彼は頷くと彼女も服を脱ぎ捨て全裸になり彼女と抱き合い体を合わせたのであった。そして、2人は体を重ね合い暫くの間お互いを感じあっていたのだ……。

　もう１つ借りた部屋の中でサロメはジェイコブに対して嫉妬の念が沸々と湧いていた。


（ジェイコブが憎い……）


　彼女はそう思うと暫くの間、悶々としていたのだった……。

　２人の行為が終わると、カサンドラは裸のままジェイコブの腕に抱きつき耳元で囁いたのである。


「ねぇ……ジェイコブ……。私はこの戦いに必ず勝ってみせるわ……」


　ジェイコブも彼女の耳元で囁いたのである。


「……僕も貴女の為なら、命を投げ出しても構わない」


　2人は暫くの間お互いの温もりを感じあっていたのだ。そして、カサンドラは彼にありがとうと囁くと彼は強く彼女を抱きしめたのである……。



　次の日になり、カサンドラは仲間達と一緒に町の外に出て暫く歩くと、目の前にランシーヌ達がいたのである。

　そして、カサンドラがランシーヌに話し掛けたのだ。


「町の近くで戦うの……？」


　すると、ランシーヌはカサンドラに言ったのである。


「こんな近くで戦えば住民に気付かれるわ……。もう少し行けば荒れ果てた墓地に着くわ。そこで戦いましょう……」


　2人のやり取りを見て、サロメはロシェルに話し掛けたのである。


「あの者達は何か企んでいるのか……？」


　ロシェルは思い巡らし答えだしたのだ。


「企んでいるかも……気を付けましょう」


　2人はそう言うと、カサンドラと共に墓地に向かったのである。そして、長年放置されてしまい荒れ果てた墓地に着くとランシーヌが言ったのだ。


「さあ……始めましょう」


　ランシーヌはそう呟くと、他の者達も頷いていたのである。そして、ランシーヌはラドリックに視線を向けて彼女に言ったのだ。


「ラドリック……先にあの大柄な女と戦って……」


　彼は頷くとサロメに近付いたのだ。すると、カサンドラはサロメに視線を移し彼女に言ったのである。


「サロメ……貴女は剣士をお願い」


　そして、彼女はマチルダ、ベルにも視線を移して彼女に向かって言ったのだ。


「貴方達は金髪の双子と戦って頂戴……。ロシェル、貴女は残り2人のどちらかをお願い……」


　彼女達は頷くとそれぞれの相手に視線を移した。

　そして、最後にランシーヌはシャイラに視線を移すと彼女に指示を出したのである。


「シャイラ……貴女は修道士を倒して……」


　すると、シャイラは頷き答えたのだ。


「分かったわ……」


　シャイラは修道士を見て彼の前に対峙したのである。ベスは最後に残ったロシェルに視線を移し近付いたのだ。

　それぞれの魔女の配下達が直面し周りの空気が重くなり緊張が張り詰めていたのである。

　そんな状況の中、カサンドラはランシーヌに近付き話し掛けたのである。


「ランシーヌ……貴女の相手は私よ……」


　2人はお互い見つめ合うと彼女はカサンドラに言ったのだ。


「ええ……良いわよ……」


　そして、彼女達の戦いがこれから始まるのであった。